ファントム幸子ちゃん
https://31064.mitemin.net/i781956/(作画 茂木多弥様)
(作画 ひだまりのねこ様)
(作画 茂木多弥様)
「なるほどねぇ。安達ミレイちゃんの勇気ある選択かな。どじょう掬いによって明るくなれたり救われたなら素敵だよな」キャプテン・ミルクは微笑みながら言った。その微笑みは慈愛の微笑みそのもので慈愛に満ち溢れた慈愛の男の姿があった。
「そうですよね。そう言っていただけるとミレイちゃんも喜びますよ」マンゲリラ太郎は嬉しそうに笑った。すっかりキャプテン・ミルクに心を開いていた。
「日本の文化や歴史や伝統を愛してくれる宇宙人に感謝だよな」とキャプテン・ミルクは慈愛に満ち溢れたまま言うと、慈愛の微笑みを浮かべながら慈愛に輝いていた。
「本当にそうですよね。ちょっと相談なんですけども」マンゲリラ太郎は言った。
「何だい?」
「日本犬についてなんですが?」
「日本犬?」
「はい、人面犬が欲しくて」
「またシビアな犬を選択したね。人面犬はうるさいよ。スピッツ並にうるさいよ」少しキャプテン・ミルクは慈愛が潜んだが慈愛の輝きが漏れていた。
「人面犬は改良されて大人しくなったそうですよ」
「へぇ~。初耳だい」
「実は秋田犬も欲しくて」
「秋田犬はめちゃめちゃ強いよ。熊と格闘するくらい気が強い大和魂を持つ勇者みたいな厳格な性格の犬なんだ。飼い主に忠実な犬でもある。面倒見の良い最高に素晴らしい犬だよ」
「そうなんですよね」マンゲリラ太郎は頷いた。
「秋田犬はお薦めです」キャプテン・ミルクは自信を持って言った。
「土佐犬はどうですか?」
「土佐犬は荒ぶる犬だから。管理が厳しくなるよ」とキャプテン・ミルクは警告気味に忠告を与えた。
「紀州犬も良いなぁと思っていまして」
「紀州犬は秋田犬と同じくらい頭が良いし賢いよ。喧嘩も強い犬だね」
「おい、待てや! 仲良く話しやがってよ! 俺だけ除け者にしやがって! 仲間に入れてちょーだいよ!!」とチンゲリラ哲也は話に割り込んできた。
ふたりは無表情でチンゲリラ哲也を見た。
「俺ってな、日本犬を飼ってるんだぜ」と突然、スキャンダル的に発言をするチンゲリラ哲也だった。
「なに!? 嘘だろう? 本当か?」とキャプテン・ミルクは言ったよ。
「驚くなよ。土佐犬だぞ」とチンゲリラ哲也は自慢気に言うのさ。
「な、な、なに!? と、と、土佐犬だと!!」キャプテン・ミルク、驚く。
「土佐犬さ」とチンゲリラ哲也は言った。
「うーん」
「写真みたいか?」
「あるのか? 見せてくれ」
写真にはグレー色のソファーに座る小っこいマルチーズが写っていた。マルチーズは両耳にピンクのリボンが付けられていてウェディングドレスを着せられていた。なんとも愛らしくて可愛いマルチーズだった。
「可愛い土佐犬だろう? めちゃめちゃ勝ち気で強い女の子だよ。名前はファントム幸子だ」
「チンゲリラ哲也、君は土佐犬だと思ってるのかい?」とキャプテン・ミルクは冷静に諭すように慈愛を消して言ったさ。
「間違いなく立派な土佐犬だ。ペットショップで店員さんが土佐犬だって言ってた」
「……。マンゲリラ太郎はどう思う?」キャプテン・ミルクは体を向けてマンゲリラ太郎に言った。
「いやぁ〜、わからないです。僕は土佐犬なんて見たことも聞いたこともないですから。確認するための基準がイマイチわからないですね」マンゲリラ太郎は困ったように言った。本当に土佐犬を知らないみたいだった。というよりもだ。50世紀に土佐犬は記録にも僅かしか残っていないのだ。土佐犬はマニアックな犬好きにしか知られていない存在ではあった。
「おい! 俺の土佐犬に文句言うなや!」チンゲリラ哲也はキレた。
「土佐犬か。チンゲリラ哲也よ、君は土佐犬だと思っているのか?」キャプテン・ミルクはあえて言った。
「ああ、土佐犬だと思うよ。20〜21世紀にEARTHのJAPANに存在した日本犬の土佐犬さ。ファントム幸子ちゃんを生きた化石とは言わせないぜ!」とチンゲリラ哲也は言った。
「チンゲリラ哲也よ、もしファントム幸子ちゃんが土佐犬じゃなかったらどうする?」キャプテン・ミルクは厳しい視線を見せて言った。
「そんなこと考えられるかよ!」
「少しは考えてみろ!!」
「捨てるね。山奥に捨てるね」
「このチンカス野郎!! 大馬鹿野郎のチンカス野郎め!! お前みたいな極悪な宇宙人は下痢野郎だ!! このチンカス下痢野郎め!! チンカス、チンカス!!」とめちゃめちゃキャプテン・ミルク、ブチキレる。
キャプテン・ミルクはチンゲリラ哲也のお腹を、もの凄く強く蹴った。
「く、く、く、苦しい」
「苦しいのはファントム幸子ちゃんだい!!」
「えっ!? ど、どういう意味だよ?」とチンゲリラ哲也は困惑の顔を浮かべてお腹をさすりながら言った。
◇続いちゃう◇




