ルビデマンチョ子
https://31064.mitemin.net/i781956/(作画 茂木多弥様)
(作画 ひだまりのねこ様)
(作画 茂木多弥様)
「君、いやマンゲリラ太郎、一体、どこで、どじょう掬いを覚えたのよ?」とキャプテン・ミルクは驚きを持って聞いた。
「僕の通い詰めているスナック『アソコは秘密よ見ないでよ』のママから教えて貰いました。ママの名前は安達ミレイちゃんです。スナックの場所は『突き指惑星No.6』にあります」とマンゲリラ太郎は一生懸命にどじょう掬いをしながら言った。
「なるほど。安達ミレイちゃんは日本の方? つまりジャパン・ゴールデンウィーク出身の方なのかい?」とキャプテン・ミルクはどじょう掬いを披露するマンゲリラ太郎のおでこの汗を木綿のハンケチで拭いてあげなら言った。
「あっ、すみません。汗っかきでして。安達ミレイちゃんは日本人です。ジャパン・ゴールデンウィーク人。大学を卒業してから宇宙、惑星を放浪する旅に出たそうでして、中でも突き指惑星No.6がとても気に入ったみたいでね、『いつの日か、突き指惑星No.6に住みたいわ』と思ったそうです。そしてあの事件が……。あの事件があったからこそでもありますが」とマンゲリラ太郎は言って、どじょう掬いを止めると地面に座った。
キャプテン・ミルクも座るとチンゲリラ哲也も座った。
「安達ミレイちゃんが20歳になって成人式を迎える前日の話なんです」
◇安達ミレイちゃんの回想◇
ここは振袖レンタル専門店の『乙女未満、乙女以上』。
安達ミレイは『乙女未満、乙女以上』に母親と来ていた。
『ミレイは今日から大人の仲間入りだっぴ。嬉しいだっぴ。頑張るだっぴ。彼氏を作るだっぴ』と安達ミレイは思いながら大きな全身鏡に映る自分の姿と、自分に白色振袖を着せている母親、安達クリ子を見ていた。現在、安達クリ子は42歳。目に涙を溜めながら振袖の店員と共に一人娘のミレイに白色振袖を着せていく。
「たのも〜う!!」
突然、『乙女未満、乙女以上』に肌色のタートルネックセーター、肌色の腹巻、肌色の股引きを履いたおばさんが現れた。
「いらっしゃいませ」と店員の川崎アレンさんが出て丁寧に応対した。
「今、そこの女が着ている白色振袖を私に譲って欲しい」とおばさんは言った。
「お客様、申し訳ありません。先約でして明日以降なら大丈夫なのですが構いませんか?」と川崎アレンは頭を下げながら言った。
「私はお客様という名前じゃないわよ! 私はルビデマンチョ子よ。ルビデマンチョ子です!」とルビデマンチョ子は怒鳴って川崎アレンの顔を殴りつけた。川崎アレンは床に倒れると、そのまま気絶してしまった。
「さあ、娘さんよ、私に、その白色振袖を渡しな! 私だって成人式を迎えたい。本気で成人式になりたい。本気で成人式を受け入れたい。改めて成人式と向き合いたい。私は成人式をしなかったの。ずっと心の中で成人を迎える自分を恐れていたの。恐れて怯えて30年経過したわけなのよ。そしたらね、急になんだけどね、たまらなく成人式が愛しくて愛しくて。60歳になって、ようやく成人式をしようと決意したわけなのであります」とルビデマンチョ子は言って手を差し出した。
「ナメとんのか!!」と安達ミレイちゃんの母親、安達クリ子は怒鳴ってルビデマンチョ子の頬をビンタした。
ルビデマンチョ子はよろめくと安達クリ子にキッと睨み、ビンタを返した。
安達クリ子は床に倒れて頭を強打した。慌てた安達ミレイちゃんは母親の安達クリ子の元に駆けて行きたかったが、わりかし白色振袖が重くて動きが鈍かった。その隙にルビデマンチョ子は安達クリ子に覆い被ると耳元で「あたしに勝つなんて36年早いわ!!」と怒鳴った。安達クリ子は耳を押さえた。
白色振袖姿の美人な安達ミレイはテーブルに置いてあった花瓶を手に取ると、そのままルビデマンチョ子の頭を目掛けて力一杯振り下ろした。
ガシャーン!!
ルビデマンチョ子は頭から血を流しながら倒れてしまった。
安達ミレイは店員の川崎アレンさんの傍に行くと声をかけた。
店員の川崎アレンさんは目覚めると倒れている母親の安達クリ子とイカれたクソババアのルビデマンチョ子を見た。川崎アレンさんは慌てて警察に黒電話をした。
警察は5分で『乙女未満、乙女以上』に到着した。
タイミング悪くルビデマンチョ子が目覚めると肌色の腹巻から手榴弾を取り出して店内に投げ捨てた。ルビデマンチョ子は急いで店から逃げ出そうとしたが、倒れている母親の安達クリ子に足を引っ掛けられて入り口付近で倒れてしまった。丁度、今、自分が投げたかばかりの手榴弾が顔の側に転がってきた。
火事場の馬鹿力を発揮した白色振袖姿のナイスな女の安達ミレイちゃんは白色振袖が汚れても気にせずに母親の安達クリ子を抱きかかえると急いで裏口から出て店の外へと避難した。店内には警察官と、店員の川崎アレンさんと、イカれたクソババアのルビデマンチョ子が取り残された。
だが、手榴弾は爆発しなかった。手榴弾は手榴弾ではなくて手榴弾の形をした花火だったのだ。
ルビデマンチョ子は立ち上がると掃除用のモップを手に取って警察官に挑みかかった。警察官は迷わずにルビデマンチョ子に向って蹴りを入れた。ルビデマンチョ子はお腹に食らうと衝撃でウンコを漏らした。ルビデマンチョ子は痛くて、のたうち回っていたが何故か喜んでいた。そう、つまり、ルビデマンチョ子は2週間ぶりにウンコをしたのだった。2週間は非常にキツイ。2週間ぶりにウンコをしたので痛みよりも喜びの方が大きかったのだ。
「ありがとうございます」とルビデマンチョ子は警察官に言ったが警察官はルビデマンチョ子の腕に手錠を掛けた。
店内に戻ってきた安達ミレイちゃんは、呆然とルビデマンチョ子のウンコを見ていた。バカでかいウンコだったのだ。
「女が怖い。何をしでかすか分からない恐怖が女にはあるわ。女の私だって女には気を使う」と安達ミレイちゃんは思った。
「そうだわ! どじょう掬いを勉強して、どじょう掬いを踊れるようになりたい! どじょう掬いなら、どじょう掬いなら、私を許してくれるはず。成人式よりも、どじょう掬いが大事よ!」と安達ミレイちゃんは言うと母親の安達クリ子を振り切り白色振袖姿のまま店から飛び出して、どじょう掬い教室を探すために市役所に行くことにした。『市役所よりも区役所かな。区役所に行こうかな』と安達ミレイは思った。
安達ミレイはどじょう掬い教室に入会すると朝から晩までどじょう掬いに耽った。
結局、安達ミレイちゃんは成人式には行かなかった。その時、ふと『これじゃ私もルビデマンチョ子になるかもね』と思って微笑んだ。安達ミレイちゃんはどじょう掬いに命を懸けたのだ。
安達ミレイちゃんはどじょう掬いを踊って40年が経過した。母親の安達クリ子は亡くなり、あのウンコを漏らしたクソババア、ルビデマンチョ子も亡くなった。その頃に安達ミレイちゃんはスナック『アソコは秘密よ見ないでよ』を開店。そんな時にマンゲリラ太郎は安達ミレイちゃんに出逢ってどじょう掬いを学んだのであった。
◇続いちゃう◇




