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鍵を出す

  挿絵(By みてみん)

https://31064.mitemin.net/i781956/(作画 茂木多弥様)


  挿絵(By みてみん)

(作画 ひだまりのねこ様)


  挿絵(By みてみん)

 (作画 七海 糸様)


  挿絵(By みてみん)

 (作画 茂木多弥様)







「いきなりは付き合えないです。が、私と結婚してから付き合ってくださいませんか?」とソネ川マキは言って頭を下げた。


「は〜ぁ?! それは無理ですよ。いくらバツ82の僕でも、いきなり結婚だなんて戸惑いますよ」と三ヶ崎珍位くんは口を尖らせて話した。


「分かりました。では駆け落ちしてから結婚しませんか?」


「あ〜。ナイスなアイデアじゃないですか。それは良いかも!」


「じゃあ駆け落ちしてから新居を見つけて、結婚に向けての準備をしてから付き合い始めて、プロポーズをモブっぽくサプライズをして頂いてから、貴方がひざまついて私に指輪を差し出して、私が指輪をハメてプロポーズを受けた3日後に指輪を失くしたフリをして質屋に売り飛ばす、というプランでいけたらと思うんだけどもね、どう?」


「それなら納得です。シナリオがあった方が楽しいです。じゃあ、今から駆け落ちしましょうか。門番の仕事はさっさっ辞めて。どうせ牢屋の鍵を失くしているし。さあソネ川マキさん。駆け落ちしましょう。サウンド・オブ・サイレンスを歌いながら。逃げましょうか」と三ヶ崎珍位くんは笑いながら言うとソネ川マキの頭にハンカチーフを乗せて手を握りしめて階段を駆け上り駆け落ちしてしまった。


「私達、今、新たな門出を迎えることになります。珍位くん、結婚しようよを歌ってもいいですか?」とソネ川マキは乙女な顔つきになって微笑ましく言った。


「知らないです。どんな歌なんですか?」


「では歌います。♪僕の髪がぁ〜肩から伸びてぇ〜君の親父に会ったらぁ〜約束どおり〜君の親父に〜結婚しようと言うはめに〜♪ という感じの歌詞だったような気がします。うろ覚えですみません。なんせめちゃめちゃ古い歌みたいですから」


「ずいぶんと複雑な歌なんですね」と三ヶ崎珍位くんは神妙に言って歌詞の意味を吟味した。


「さあ、この非常階段の扉を開けて脱出しましょう。私達の未来のために!」とソネ川マキは嬉しそうに言った。


「マキさん、もう一度、結婚しようよを歌ってくれませんか?」


「♪僕の髪がぁ〜肩から伸びてぇ〜君の親父に会ったらぁ〜約束どおり〜君の親父に〜結婚しようと言うはめに〜♪」とソネ川マキは真っ白なギターを弾くイメージを真似て歌った。


キャプテン・ミルクは素早く壁から降りると階段を早足で降りていった。地下室の扉の前に来たキャプテン・ミルクは深呼吸をしてから静かに扉を開けた。扉を開けると微かにサイケデリックな音楽が聞こえてきた。重苦しい歌声の後にキーボードの音が高らかに奏でる音楽だった。


キャプテン・ミルクは腰を屈めて歩き出した。


「出してよ」


「お腹すいたー」


「早く出して!」


「お母さん、助けて!」


「風呂に入りたいよ!」


という声があっこちから聞こえてくる。


キャプテン・ミルクは声がする方に向かって走った。


牢屋の前に着くと悪臭が充満していた。若い女性たちが100人近くいた。女性たちの悪臭の原因のほとんどはワキガからだった。ワキガクリームがあればワキガを封じ込む事が出来るのだが、拉致され誘拐された薄汚い場所にあるはずはなかった。女性たちの鼻の感覚は麻痺しているようだった。ワキガの他に頭皮からの悪臭も酷かった。『ティモテがあれば綺麗サッパリになれるのに』とキャプテン・ミルクは一瞬思った。


牢屋の中にいる女性たちは、皆、疲れ果てていた。誰もがうめき声をあげていて、床に横たわるものが多かった。床を叩いて血塗れになった手を舐めている女性、壁に頭を打ちつけてブツブツと言っている女性、ずっと笑い声をあげている女性、自分の頭を何度も何度も叩いている女性などがいた。髪を抜いて食べている女性、床をのたうち回る女性も数人はいた。女性たちは全員裸の状態だった。歳も10代から30代のピチピチの女性が多いようだった。


キャプテン・ミルクはあまりにも凄惨で悲惨な光景に言葉を失っていた。


キャプテン・ミルクは視線を移した。牢屋の奥に壁に向かってあぐらをかいている人影が目に入ってきた。


キャプテン・ミルクはポケットをまさぐると水色の牢屋の鍵を取り出した。





   ☆続いちゃう☆





  挿絵(By みてみん)

 (作画 七海 糸様)



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