厳重注意
https://31064.mitemin.net/i781956/(作画 茂木多弥様)
(作画 七海 糸様)
(作画 茂木多弥様)
「ところで、なつおちゃん。なんでアンテナから話せるんだい?」とキャプテン・ミルクは言った。
『実はアンテナになつおちゃんのテクノロジーである本体が存在してましてね、心臓部メカと意識部メカと帰宅部メカが備え付けられていたんです。秘密は秘密のままが良いかもなんですが、無理に本体をさらけ出すのは弱みを握られるようなものだしね。バレない範囲で欺くような、カモフラージュのような、ストップを掛けるような、モーションを見せる素振り。そんなやんちゃでやるせない秘密が、なつおちゃんにはあるのでした。行方が分からない懐かしき友の心模様に触れるのは気が引けるけど知りたくはないかな』と涙に濡れたアンテナのなつおちゃん本体は言った。
「つまりだ。極秘的な秘密の花園というわけなんだな」とキャプテン・ミルクはピッシャリと難解な事を言った。
『極秘的な秘密の花園?』
「背徳がある極秘な世界に胸を踊らせたロマンスが秘密の花園を掻き分けて散歩する少年少女のセレディピティという運命に翻弄された悲しき願いを痛感する夏の思い出という夢なんじゃないのかい?」とキャプテン・ミルクはリズミカルに言った。
『ちょっと、すいません。本当にすいません。意味が分からないです。すいません』と、なつおちゃんは困惑しているんだね。
「都合よく分かろうとするな! ニュアンスを感じ取るんだよ! 心で感じれや!」とキャプテン・ミルクは言った。さっきは『感じるな! 考えろ!』と心の中で言っていたけれどね、『臨機応変になるなら感じる事を恐れちゃ、めっ!』ですよという事を言ってるんだと思うのである。感じたきゃ感じりゃいいじゃん、考える時には血が滲む思いをするほど考えることじゃんかよう、という事じゃん。考える、感じる、悶える、モンモンとする、やっぱり、行動あるのみなのさ。感じる行動をする、考える行動をする事が大事になってくるわけなんだ。
『なんだが、おっしゃってることが、いわくありげな禅問答みたいで、す、す、凄く怖いです』とブリキ・ロボットのなつおちゃんは震えてた。
「ほら、でた。何でもそうだ、自分が理解出来ないものを拒絶するのは差別に繋がるんだぞ! 今は夏の言葉なんだよ!」
『な、夏の言葉?』
「なっ、夏の言葉なんて全く意味が分かりにくいだろう?」
『はい』となつおちゃんは言ったんだ。
「先ほど、なつおちゃんはさ、『秘密は秘密のままが良いかもなんですが、無理に本体をさらけ出すのは弱みを握られるようなものだしね。バレない範囲で欺くような、カモフラージュのような、ストップを掛けるような、モーションを見せる素振り。そんなやんちゃでやるせない秘密が、なつおちゃんにはあるのでした。行方が分からない懐かしき友の心模様に触れるのは気が引けるけど知りたくはないかな』と人をたぶらかすような事を言っちゃってたよね? ハッキリと言っちゃってたよね? 自分は高尚な奴だと思われたいのかもしれないけどさ」とキャプテン・ミルクは毅然と言った。
『凄い! 一言も間違いなく、なつおちゃんの言葉を覚えて言っていますね!』
「ありがとう。話の続きだけどさ、難解な事を言ってさ、賢くみられたいのかもしれないけどね、そんなのクソだから。分かりやすい言葉で自分を語れ!! だからこそ、あえて俺も変てこりんな言葉で、なつおちゃんに囁いたわけ」そうなのである。キャプテン・ミルクはね、なつおちゃんに厳重注意をしたのであった。
「わかりました。気を付けます。よくよく考えてみたら、ちょっと、昔々、近所に住んでいたアバズレのキチガイ淫乱女みたいに口先だけでイキってました。口だけになっていました。自分の能力を過信して口先だけになってました。自意識過剰の口先だけの女みたいな、自分の事は棚に置いて口先だけのやかましいアバズレの嫌な女みたいになっていました。生意気にイキってました。すみません、ありがとうございます」となつおちゃんのアンテナは反省の意味を込めてオレンジ色に点滅した。
「早い話、ブリキロボットのなつおちゃんはアンテナが命ということなんだね?」
「はい、そうなんです。3年間、何も知らずにいた父煮・チチチチチッが爪楊枝代わりにアンテナを使用したのが幸いしましてですね、実は水分がブリキ・ロボットのなつおちゃんの動力源なんですね、唾液によって3年間生かされていたというわけなんです。しかも唾液によってバッテリーも満杯に回復していました。バッテリーは満タンなので、体はなくてもハートは残るという状態にあります。いつか体を作り直してくれたら幸いです」
「ブリキ・ロボットとしてかい?」
「もちのろんです」
「カッコイイ、ロボットに生まれ変わりたくはないの?」
「ブリキ・ロボットとして性を全うしたいです」
「ふーん、性をねぇ。生じゃなくて?」
「はい、性の方です」
「なるほどね」とキャプテン・ミルクは言った。
「よし、なつおちゃん、父煮・チチチチチッのヘルメットを外す手助けをしたい。外す方法を教えてくれ」
「わかりました。その前にあなたはだれですか?」
「俺は俺さ。名前なんて気にするな」
「わかりましたよ。なんて呼べば良いのか分からなくて聞きました」
「そうか。じゃあ、ブルースマンと呼んで」とキャプテン・ミルクは言って口笛でブルースを吹いた。
「ブルースマン、ではヘルメットを20回、思いっきり殴ってください」となつおちゃんは言った。それを聞いた父煮・チチチチチッは完全に血の気が引いてしまった。
「なつおちゃん、待って待って。20回はしんどい。嫌だ。もっと優しく外す方法にしてよ」と父煮・チチチチチッは早口で言った。
「ダメです。20回殴られた後、解除コードが出てきます。出てきてからがモザイク無しの本番なんです」となつおちゃんは厳しく叱るような声で言った。
「わ、分かったよ」父煮・チチチチチッはうなだれてヘルメットを手で抑えた。
「よし、殴るぞ」とキャプテン・ミルクは言って右手で拳を握ると「ハァー」と息を吹き掛けて気合いを高めていった。
☆続いちゃう☆
(作画 七海 糸様)




