蓋の内側
https://31064.mitemin.net/i781956/(作画 茂木多弥様)
(作画 七海 糸様)
(作画 茂木多弥様)
「イチャイチャすんじゃねぇよ! なつおちゃんよ、壊れたフリをしてたのか? ナメんなよな!!」冷や麦浩二は地団駄を踏んだ。
「おい、冷や麦浩二よ」父煮・チチチチチッは腕組みをして言った。
「な、なぜだ? なぜワシの名前を?! なつおちゃん!! バラしたのは、なつおちゃんだな!!」
「お前は嘘つきだな。何がモツァレラだよ」
「な、な、なんだと?!」と冷や麦浩二は激しく驚き、焦りが激しかった。
「酸っぱいじゃねぇクセによ!! 嘘つき!!」
「酸っぱい? 酸っぱいと略すのかよ? 通ぶってよ。ナメんなよな、モツァレラと略せよ!」
「冷や麦浩二、正確には酸っぱいと略すのが公式であり正式なんだよ!」
「お前が最初にモツァレラと言ったクセに!!」
「学んだんだ。大人は学ぶものなんだよ」
「ワシはモツァレラでいく!!」
「冷や麦浩二、酸っぱいが公式なんじゃい!!」
「モツァレラで慣れてきた自分もいる。モツァレラで通したい。モツァレラ、バンザーイ!!」冷や麦浩二はバンザイをしながら言った。
「冷や麦浩二、酸っぱいだよ!! 宇宙・モツァレラ・酸っぱい・スパイス・スパイ局は酸っぱいと略すのが真実だ!!」
「モツァレラでも構わない!! なあ、なつおちゃん?」
「すっぱいがこうしきです。ごりかいねがいたい。だいたい、冷や麦浩二はしったかぶりばかりでナンセンスです。ゆびがいたいなぁ」 となつおちゃんは言って突き指した指をさすった。
「わ、分かった。ワシも素直になるか。酸っぱいだな」冷や麦浩二は渋々と言った。
「おい、冷や麦浩二、嘘つき!!」
「確かにワシは酸っぱいじゃない。だが酸っぱいになってみせる。酸っぱいになって酸っぱいに貢献してみせる」
「それはむりです」なつおちゃんは強めに断言した。
「なに?! なつおちゃんに何が分かるのよ?」
「冷や麦浩二は酸っぱいには、はいれません」となつおちゃんは言った。
「必ず入ってみせる!! なつおちゃん、なつおちゃんならできるだろう? ワシを酸っぱいに入れる事ができるのはなつおちゃんの力があればだ!! なつおちゃんの推薦があればワシは酸っぱいに入局が可能だ!!」
「なぜですか?」なつおちゃんは静かに言った。
「ふん、知っているんだぞ。なつおちゃんが宇宙・モツァレラ・酸っぱい・スパイス・スパイ局に勤めていることをな!!」
「いつしったんですか?」
「さっきだ!! なつおちゃんが気絶した時に背中のフタを開けて中の配線やらメカやらを整備しようとしたら、背中のフタの内側に『宇宙・モツァレラ・酸っぱい・スパイス・スパイ局製 なつおスカウト本部長』とシールが貼ってあったんだ! 明らかに酸っぱいに関わりがあるのは明らかだ!! なつおちゃん、白状しろ!! なつおちゃんは酸っぱいだ!!」
「たしかになつおちゃんは宇宙・モツァレラ・酸っぱい・スパイス・スパイ局で働くスパイです」
「なぜだ? なぜ隠していた? このニ年間なぜワシに黙っていた?」
「なつおちゃんが冷や麦浩二と出会ったのは、居酒屋『脱ぎ捨てたシャツ』でした」突然なつおちゃんは漢字を話せるように毅然としていた。今のなつおちゃんは凛々しい。さっきまでどじょうすくいをしていたなつおちゃんはそこにはいなかったのだ。急にだ、急になつおちゃんは漢字を使いだしたのだ。おそらく、作者が、ひらがなだと読みにくいし、書きにくいと気付いた事の方が大きいために漢字を使いだしたと思われる。
「冷や麦浩二、2年前、あんたは居酒屋で宇宙・モツァレラ・酸っぱい・スパイス・スパイ局のあることないことデタラメを周りの酔っぱらいに語りまくって吹きまくって散々侮辱していたよな。その様子をリアルタイムで、なつおちゃんの上司に映像をダイレクトに送っていたんだ。しかも冷や麦浩二は酸っぱいに勤めているとまでホラを吹きまくっていた。この侮辱罪に偽証罪め!! 冷や麦浩二、本日、お前を捕獲します!! 緊急逮捕です!! 他になつおちゃんに対する長年のパワハラ、いじめも含まれております! ニ年間、冷や麦浩二はタダのクズだと判明しました!! ニ年間、泳がせてきたのは今日の日が来ることを待っていたからです!!」なつおちゃんは冷静に言うと左足の付け根から手錠を取り出した。
「待て待て。見逃してほしい。ワシは酸っぱいに入りたいだけなんだよ。酸っぱいに入ってみせる。必ず必ず酸っぱいの役に立つから! 頼む見逃してほしい。そして、なつおちゃんがスカウト本部長ならば是非とも折り入って頼みがある。ワシをスカウトしてほしい」
「断る。なつおちゃんは決めた。この若者をスカウトする!」となつおちゃんは言って父煮・チチチチチッの肩に突き指していない手を乗せた。
「えっ? ぼく?」父煮・チチチチチッは驚いていた。
「うわあああああ! 羨ましい!!」と冷や麦浩二は絶叫をすると、買ったばかりの工具箱の中から大きいスパナを取り出してブリキロボットのなつおちゃんの頭を一撃した。
なつおちゃんは顔を真っ赤にすると冷や麦浩二の体を掴んで持ち上げると地面に叩き落とした。再び冷や麦浩二の体を持ち上げると素早く床に叩き落とした。もう一度、冷や麦浩二の体を抱き抱えると床に強く叩き落とした。
冷や麦浩二は死んだように倒れた。いや、たぶん、死んだかもしれない。死んだように眠っているように見える。生きているのか、気絶しているのか、死んでいるのかは分からない。ただ、答えは風だけが知っている。いや、通りすがりの風も答えは知らないのかもしれない。風は答えに答えられない答えに答えようとする努力に答えたいと願う美風が優しく吹いているだけが答えだった。
☆続いちゃう☆
(作画 七海 糸様)




