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なつおちゃん

  挿絵(By みてみん)

https://31064.mitemin.net/i781956/(作画 茂木多弥様)


  挿絵(By みてみん)(作画 ひだまりのねこ様


  挿絵(By みてみん)

 (作画 七海 糸様)


  挿絵(By みてみん)

 (作画 茂木多弥様)






「おっさん、おっさん、ロボット壊れたよ!」父煮・チチチチチッは焦った。嫌な予感が一気にこめかみに響いてきた。


「ウン」


「早くロボットを直して、このヘルメットを外してくれ!」


「ぁぁ、ウン」


「おい、おっさん、ハッキリ喋れ! 声が小さいよ!」


「ぁっ、ウンウン」


「ロボットのやすたかちゃんを先に直してくれるんだよね?」


「コラ! やすたかじゃないよ! なつおちゃんだよ、なつおちゃん!」


「何でもいいけど早くヘルメットを取ってくれよ!!」


「わかった、わかった。あのよう、あのさ、お兄さんよ、ちょっとそこまで工具を買いに行ってくるから……。少しだけさようなら」と変なおっさんは言って、そそくさと出ていってしまった。


ウンコ臭すぎる地下室っぽい部屋に閉じ込めらている父煮・チチチチチッはうずくまっているロボットのなつおちゃんを見た。


「おい、なつおちゃん!」


だがロボットのなつおちゃんはうんともすんとも言わなかった。なつおちゃんは眠っているように見えた。


「なつおちゃん、起きろ!」


ロボットのなつおちゃんは旧型のブリキロボットだった。水色のボディーはアクリル絵の具っぽい雰囲気で塗られていて煌びやかで発光もしていたが非常にダサかった。顔が四角で目は丸く口は開いていた。頭にアンテナが伸びていて、手だけがリアルに人の形をしていた。


「なつおちゃん、頼む!! とりあえず、起きろーっ!」父煮・チチチチチッは絶叫した。


「ガガガ、ピキーン! おはようとともにほっとみるくだね」と起動を開始したブリキロボットのなつおちゃんは体をテカらせると起き上がったのだ!


「なつおちゃん、なつおちゃん。このヘルメットを取って取って! 早く取って取って!」


「さっきのはなしのつづきだけど、すぱいになりたいんだよね?」とロボットのなつおちゃんは言ってベッドに腰掛けた。


「なりたくない。車の免許を取るために合宿免許に参加しただけだ。あの変なおっさんは何者だ?」


「冷や麦浩二さん」


「冷や麦浩二は何者だ?」


「冷や麦浩二さんは冷や麦浩二さんだ。なんらかのぽりしー(ポリシー)をもってかつどうしているならずもの(ならず者)だよ。かれ(彼)って、めちゃくちゃばかなんだ」ブリキロボットのなつおちゃんはロボットダンスをしながら話していた。本物のブリキロボットによるロボットダンスは見応えがあって上手かった。ロボットダンス大会に出たら間違いなく優勝できるクオリティーを誇っていた。


「なつおちゃん、冷や麦浩二は宇宙・モツァレラ・酸っぱい・スパイス・スパイ局なのか?」


「ちがうね。ほんにんがそういったの?」


「ああ」


「ちがうちがう。うちゅう・もつぁれら・すっぱい・すぱいす・すぱいきょくにつとめているのはぼくのほうさ。僕がすっぱいだ」


「えーっ、なつおちゃんが?! マジで?! しかもモツァレラと略すんじゃなくて酸っぱいと略すの?」


「ああ、すっぱいとりゃくすよ」ブリキロボットのなつおちゃんはロボットダンスを終えるとジャパン・ゴールデンウィーク原産の国宝級ダンス、どじょうすくいを披露した。


「あーっ!! どじょうすくいだ!! 初めて生で見た!!」と父煮・チチチチチッは興奮しながら言った。


ブリキロボットのなつおちゃんは嬉しくなってどじょうすくいを休みなく披露した。ブリキロボットのなつおちゃんは一息つくとジンギスカンを踊り出した。


「じん、じん、じんぎすかーん。へい、だか、ほーろてか、へい、らいとあん、いんもうの、ばいてんにいこうかな、じん、じん、じんぎすかーん。えーだか、ぽーだか、ぴーだか、うんばらや、じん、じん、じんぎすかーん」とブリキロボットのなつおちゃんはサビの部分を繰り返して踊った。


「ジンギスカンは知らない。これは初めて見た」と父煮・チチチチチッは言ってメロディアスな曲に耳を傾けていた。


「なつおちゃん、なつおちゃん。ロープを解いてよ」


「いいよ」ブリキロボットのなつおちゃんは手だけリアリティーな作りになっていたのでロープを解く手つきが生々しかった。 


「あとこのヘルメットを取って」


「それはできない」


「なんでだよ?!」


「いま、ろーぷをほどいていたら、みぎてのなかゆびをつきゆびしたから。つきゆびしたらいっしゅうかんはかいふくしないんだ」


「えーっ?! 困るよ〜」


「ごめんね。つきゆびさえしなかったら、すぐにでもへるめっとをはずせたのにね。ごめんね。なつおちゃんはね、つきゆびしやすいたいぷなんだ」


「しかたない。治ったらヘルメットを外してくれるかな?」


「それもわからない」


「何で?」


「いちおう、冷や麦浩二にぷろぐらむにめいれいされているから。ぷろぐらむのせっていをとかないとはずせないんだよ。ごめんね」


「分かった。なんとかして冷や麦浩二に設定を解除させるよ」


「おにいさん、冷や麦浩二はどこにいるの?」


「工具を買いに行った」


「ふーん」


父煮・チチチチチッとブリキロボットのなつおちゃんは気が合った。なんとなく自然と仲良くなれていた。二人でどじょうすくいについて語り、ジンギスカンは美味いという話で意見が一致したり、色々と語っていた。


「おまえら!! 人がいない時に仲良くなりやがって!!」と冷や麦浩二は言ってウンコ臭い地下室っぽい部屋にドカドカと入ってきた。





 ☆続いちゃう☆





 挿絵(By みてみん)

 (作画 七海 糸様)

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