2本で千円、つまり1本だと五百円という通貨かも!とキャプテン・ミルクは思った
https://31064.mitemin.net/i781956/(作画 茂木多弥様)
(作画 七海 糸様)
キャプテン・ミルクは一旦、用務員室の扉を静かに締めた。
『たーけやー、さお〜たけ。さーおたけー、布団ざおっ。物干し竿の大安売り。2本で千円。2本で千円だよ』
扉越しでもザラザラしたマイルドな声が聞こえてきた。
キャプテン・ミルクは好奇心旺盛なティーンエイジャーみたいなピュアすぎる男なので、黄色のフルフェイスヘルメットを被った男と話したい衝動に駆られた。
その時だったッス!!
「すみませ〜ん。さおたけくださいな」とおばさんみたいな声がしてきたのだ。
キャプテン・ミルクは静かに扉を5センチほど開けて外の様子を伺った。
「さおたけは2本で千円です」と黄色のフルフェイスヘルメットの男は軽トラックから降りて言った。
男の身長は165センチくらい、全体的に痩せてはいるが筋肉質で腹だけが狸小路商店街にある狸様のお腹みたいにポンポコリンだった。安物の白いシャツに安物の青い短パン、ピンク色のサンダルを履いていた。目を凝らしてよく見てみると、青い短パンから右の片玉、もしくは片金だな、片金が少しだけ飛び出ていた。時折、黄色のフルフェイスヘルメットの男は、さり気なく片金をしまうのだがこぼれるように片金が出ていた。
おばさんは全く気付いてはいなかった。
「さおたけくださいっ」とおばさんは言ってポシェットから銀色の財布を出して中から1枚の紙幣を出した。キャプテン・ミルクは見たことのない紙幣に注目した。どうやら偉人らしい絵が紙幣に載っているようだった。
「卑弥呼の2千円札を受け取りましたぁー」と黄色のフルフェイスヘルメットを被った男は言った。
どうやら2千円札には卑弥呼という歴史上の人物が載っているようだ。卑弥呼は何処の惑星の人物だったかとキャプテン・ミルクは考えたがパッとは出てこなかった。
「はい、お待ちどう。2本で千円のさおたけです」と黄色のフルフェイスヘルメットの男は言って軽トラックの荷台からさおたけという長い棒を取っておばさんに渡した。
「ありがとう。丁度さ、さおたけが真っ二つに折れちゃってね、使えなくて大変だったのよん。おほほほほ」とおばさんは言って口元に手を当てて笑った。
「そりゃ大変でしたね。あはははは。さおたけがないと干せないからね。あはははは」と黄色のフルフェイスヘルメットの男は言って笑顔は見えないが肩を揺らして笑った。
「室内で服を干すと乾いても生臭いでしょ? やっぱり、外の空気や陽射しを浴びて乾かさないとさ。おほほほほ」とおばさんは言って手で口を隠して笑った。
「お兄さん、じゃあね。また、さおたけが真っ二つに折れたら新しく買いに来ますんでね」とおばさんは言ってさおたけを右の肩に乗せて担ぐと歩いてムササビ・ジュニア号の非常階段を上った。
黄色のフルフェイスヘルメットの男は軽トラックに乗り込もうとした。
その時だったんだわ!!
「おい、この野郎!」と海パン一丁のイカついオッサンが現れて黄色のフルフェイスヘルメットの男を運転席から引きずり出した。
「オッサン、突然、な、なんですか?! さおたけは2本で千円、2本で千円です!」と黄色のフルフェイスヘルメットの男は怒鳴り返した。
「今よう、家の女房と何を話していたんだい? 不倫か?」と海パン一丁の男は言って、黄色のフルフェイスヘルメットの男、さおたけ屋さんのお兄さんを脅した。
「奥様は2本で千円のさおたけを買っただけですよ。何も特には話していないです」と黄色のフルフェイスヘルメットの男は言い返した。
「いやいや、この野郎! 家の女房と笑顔で話していただろう!!」と海パン一丁の男は言って軽トラックのドアを蹴った。
「オッサン、蹴らないでくれますかね!」と黄色のフルフェイスヘルメット男は言って海パン一丁の男の胸を突き飛ばした。
「この野郎! 俺の乳首に触れたな!!」と海パン一丁の男は言って手で自分の乳首を隠した。
「触れてませんよ!」
「いや触れた!」
「触れてません!!」
「いやいや、触れたね! ちょっと感じたもん!」
「気色悪っ!」
「てめえこの野郎! 俺の女房と不倫するし、俺の乳首には触れるし!」
「不倫してないし乳首に触れてない! オッサンの気がふれているけどね!」
「て、てめえこの野郎! よくも侮辱したな! ぶっ飛ばすぞ!!」
「オッサン、落ち着けよ!」
「落ち着いてるわい!」
「オッサン、全然、落ち着いてないじゃないかよう! よく聞けよ! 不倫してないし、オッサンの乳首にも触っていない!!」
「いやいや、俺の乳首に触ったね!! いや俺の乳首をつまんだね!! キュってつまんだ!! だって感じたもん!!」
「はぁ〜っ?! おい、話を変えるなよな!! オッサン、あんた被害妄想だな!」
「てめえこの野郎! また侮辱したな!!」と海パン一丁のオッサンは言って黄色のフルフェイスヘルメットの俺のヘルメットにツバを掛けた。
☆続いちゃう☆
(作画 七海 糸様)




