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キャプテン・ミルクと壊れにくいレディオ

 挿絵(By みてみん)

https://31064.mitemin.net/i781956/(作画 茂木多弥様)


 挿絵(By みてみん)(作画 ひだまりのねこ様)


 挿絵(By みてみん)

 (作画 七海 糸様)挿絵(By みてみん)(作画 茂木多弥様)





「少し落ち着いてください」とキャプテン・ミルクはなだめるようにツッパリに言った。


「何だとコノヤロウ!! 最初から落ち着いているわ! バカにしたな! バカにすんな! ナメんなバカ野郎! コラー! この野郎! テメェコラ! この野郎! テメェ、ナメんな! コラ!」ツッパリはツッパた。何故、そこまでしてツッパるのかは分からない。


「テメェ、コラ! 僕はタクラUMA蝶だ」とツッパリは自己紹介をした。


「ヘルニア卓也です」


「テメェ、コラ! なんで勝手に皿を洗ってんだよ! フザケンなや!」


「新しく入りました。新入社員なんです」


タクラUMA蝶は黙った。


「そういえば、ボスのフクラハギさとしさんが何か言ってたな。へっ、何だよ、そうかい。最初から言えよな。何で最初に言わんのよ?」とタクラUMA蝶は照れ臭そうに笑った。


「リーゼントに学ランとは。珍しいファッションですね」


「まあな。これがツッパリのスタイルなんだ」


「何歳なんですか?」


「68歳だ。現在、高校ニ年生だ」


「えっ?!」


「50年間ずっとダブリ続けている」


「えっ?! 50年も?」


「そんなに驚くなよな。照れるべ。ずっと高校2年生でいたいだけなんだ。職業、高校2年生と言っても過言ではない」


「ふ〜ん」


「歳を重ねた高校2年生がいてもいいじゃん? 若い高校2年生がいてもいいじゃん?」


「まあ、そうですかね」


「歳を重ねた高校2年生こそ本物の高校2年生だと思うんだよ」


「なるほど。タクラUMA蝶さん、高校3年生にはならないのですか?」


「ならない。やはり高校2年生なんだよな。高校2年生は完璧に高校生のシンボルだからね。1番輝いた時間が高校2年生だから。絶対に高校3年生にはなりたくないね」


「タクラUMA蝶さん、高校2年生なのは分かりましたが、フクラハギさとしさんとの関係や、今、この用務員室にいるのは何故ですか?」


「だって、僕も用務員だもん。高校2年生であり用務員なんだよ。おもに床掃除を担当しているんだよ」


「なるほどね。話を戻して。高校を卒業したくはないんですか?」


「昔々に卒業して何がわかるんだって言ってたミュージシャンがいたんだけどさ、全くその通りさ。卒業しても分からないんなら分からないまま生きていこうかな、なんてさ、思ってるんだ」


「ふーん」


「だからさ、僕は高校2年生でいたいんだ。何回も何回も修学旅行に行きたいし、何回も何回も先生と喧嘩して職員室に呼ばれたいんだ」


「へぇ〜」


「ちなみに僕の伯父が校長先生なんだよ」


「はっ?! タクラUMA蝶さんの叔父が?」


「そう。伯父がいるから、いつまでも高校2年生でいられるってわけなのさ」


「そりゃ凄い」


「ドライビング駅前高等学校って言うんだよ」


「へぇ〜。凄いね」


「ヘルニア卓也くん、68歳の高校2年生がいてもいいよな? 死ぬまで高校2年生でいてもいいよな?」


「いいんじゃないですか?」


「僕は、ただ、ずっと、ずっと高校生でいたいだけなんだよ。グスン、既に僕の両親は他界しているけど、僕は高校生でいたい。残念なのは両親に卒業した自分の晴れ姿を見せれなかったことさ。グスン」とタクラUMA蝶は言うと泣き出した。


「泣かないでくださいよ」とキャプテン・ミルクは言った。


「泣いてないやい! バカにすんな! この野郎!!」とタクラUMA蝶は怒鳴ると用務員室の扉の窓ガラスを叩いて割った。


壊れにくいレディオから舟木一夫の『高校3年生』が流れてきた。


タクラUMA蝶は黙って壊れにくいレディオを見つめていた。タクラUMA蝶は学ランに手を這わせると第二ボタンを引きちぎった。第二ボタンを固く握りしめて壊れにくいレディオに合わせて『高校3年生』を歌うと第二ボタンをボンタンのポケットの中に入れた。





 ☆続いちゃう☆





 挿絵(By みてみん)

 (作画 七海 糸様)


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