キャプテン・ミルクは仕事中3
https://31064.mitemin.net/i781956/(作画 茂木多弥様)
ヘルニア卓也、いやキャプテン・ミルクは皿を洗いながら壊れにくいレディオを聞き流し鼻歌を歌うという割と自由な感触で仕事をしていた。おまけに思索に耽れる。思索は心に満たす泉のようなもの。考えることの大切さを学べる。
『Mr.ワカサギの「これが人間の心模様」、あと少しとなりました。先程のアイリス明子さんなんですが、アイリス明子さんが携帯黒電話を切ってしまいましたので、ほっときます。さてさて。今日、最後の相談者です。イリオモテ片栗粉大学1年生のアンプ真美子さんです。真美子さん、どうぞ』
『あのうですね、私18歳なんですが、色々とやりたい事がありすぎて脳内オーバーヒートを起こすんですよね。どうしたらいいですか?』
『アンプ真美子さん、具体的にどんな事をしたいの?』
『わからないんです』
『あらららら』
『どうしたらいいんですかね? やりたい事がいっぱいあるはずなんですが、何がやりたいのかイマイチパッとせず』
『うーん。アンプ真美子さん、本当はやりたい事がないんじゃないのかな?』
『そんな感じもします』
『アンプ真美子さん、本当にやりたい事が見つかったら、気持ちが、それに一直線になるから。一直線になれるものを見つければいいよ』
『一直線ですか?』
『一直線ですね』
『私、一直線になりたいなぁ』
『アンプ真美子さんよ、是非ともなりなさいよ! 一直線になってしまいなさいって』
『私、一直線になります! 絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に、一直線になりまっすぅ!』
『アンプ真美子さん、頑張って一直線になってくださいね!』
『あと、もう一つ相談があります』
『なんですか?』
『わたし、』
その時だった!!
「おい! テメェコラ!」
キャプテン・ミルクは皿洗いを止めて後ろを振り返った。頭にリーゼント、年季のある学ランを着たおっさんが用務員室の入口に立っていた。
なんと50世紀になってもツッパリは存在していたのだ。恐るべし。
ツッパリはツッパる事しか出来ないのだ。ツッパって、ツッパって、メンチを切ることしか出来ない不器用でナイーヴな奴の事をツッパリというのである。
「テメェコラ!」ツッパリはキャプテン・ミルクにめちゃめちゃメンチを切った。
「なんですか?」とキャプテン・ミルクは優しさに満ちた声で言った。
「テメェコラ、なんだよ、この野郎! テメェコラ!!」とツッパリは言葉足らずで文句を垂れた。
「そうカリカリしないでくださいよ。貴方は誰ですか?」とキャプテン・ミルクは言った。
「何だとこの野郎! テメェコラ! やんのか? おい、昼休みの合図で鐘がティコンカンコ〜ン、ティコンカンコ〜ン、キンコンカンコ〜ン、キンコンカンコ〜ン、チンコンチンコ〜ン、ティンポ〜ン、ティンポ〜ンってな、鳴るんだわ」とツッパリはよく分からない話をしてきた。
「へっ?!」とキャプテン・ミルクは相手の言葉を全く理解出来ないでいた。
「テメェコラ! ナメてんのかよ! この宇宙船は昼休みの合図で鐘が鳴るんだって言ってんだよ! 鐘が鳴ったら、この用務員室から出ていけって話だよ!! お前、不法侵入だろ?」とツッパリはキャプテン・ミルクに歩み寄りながら言った。
「いえ、違います」
「家? 家が違うのは当たり前だろうが! この宇宙船がテメェの家に見えるか? テメェコラ! この野郎! ナメんな! テメェコラ! テメェこの野郎! ぶっ飛ばすぞ、テメェコラ! テメェこの野郎! ナメんな、テメェ! コラ! テメェ、この野郎! やんのか! この野郎!」 このツッパリは話が通じないタイプのようだった。
☆続いちゃう☆
(作画 七海 糸様)




