キャプテン・ミルク仕事中
https://31064.mitemin.net/i781956/(作画 茂木多弥様)
(作画 七海 糸様)
キャプテン・ミルクは台所に行った。汚れた大きな皿が50枚もあった。『これは大変だな』とキャプテン・ミルクは思った。
キャプテン・ミルクは弱酸性の洗剤をタワシに掛けて皿にも掛けると手際よく磨いていった。
『俺は何かに打ち込んでいるときになる無の境地が好きだ。禅のような瞑想のような研ぎ澄まされた集中力と無意識だけしか存在しない。そう、俺が求めるのは神秘的な無意識と集中力だ。これに想像力を加えれば俺は宇宙からのエナジーを受け入れる事が出来て、愛の世界に生きることが出来るようになるんだ。そうさ、すべては愛に繋がるんだ。愛だけが死に勝てるんだ。死は愛には勝てない。死は永遠の愛には絶対に勝てないんだ。俺は愛のために生きるぜ』とキャプテン・ミルクは考えながら皿を磨いて鼻歌を歌った。
「ティモテ、ティモテ、マイルド〜、ティモテ、ティモテ、マイルド〜、ティ・モ・テ!」とキャプテン・ミルクは得体の知れない歌を歌う。
キャプテン・ミルクは棚の上に茶色の小型の壊れにくいレディオがあるのに気付いた。キャプテン・ミルクは壊れにくいレディオを付けた。
『はーい、どうもです。こちら「Mr.ワカサギです。今日のリスナーからの相談は28歳の新妻からの相談だ。今ね、黒電話が繋がっているので、さっそく、話そうと思ってる』
『ハーイ、Mr.ワカサギです。貴女のお名前を』
『はずめまして。わたし、柑橘その江です』
『ドーモ、その江さん。ではでは話してね』
『はい、わたし、結婚して2週間なんですが、早くも旦那の性質を疑っているんです』
『おやおや』
『旦那は変態なんですが、愛してしまった以上、仕方無しに性癖や変態を受け入れたのですが、最近、わたし、目が覚めてきまして』
『あららら。旦那さんはどんな感じで変態なの?』
『例えばですね、全裸で泣きながら映画の「エクソシスト」を見たりですね、全裸でカバディをしたり、全裸でわたしとケンカしたりするんですよ』
『全裸で過ごす事が多いと?』
『そうなんですよ。旦那の親戚の葬式にも全裸で行きましたし』
『えっ?!』
『本当なんですよ。結局、親戚に止められて喪服に着替えましたけどね』
『それは困りますね』
『昨日もケンカしたんですよ。「お願いだから全裸で過ごさないでよ。ちゃんと服を着てよ!」と言ったら、旦那が「俺にとって全裸が服なんだ。皮膚と筋肉が俺の服なんだ」と訳のわからない事を言っているんです』
『確かに旦那さんは変態ですね』
『変態ですよね。「俺が棺桶に入るときに服を着させてくれたら、それで十分なんだから。生きている間はオシャレにヘンドリモンドリを使いたくない。大体ねオシャレなんてのは無駄遣いだ!」と言って聞かないんです。「あんた、宇宙人の平均寿命は500歳なんだよ。500年間も全裸で過ごすの?」と言ったら「うん!」と嬉しそうに旦那が笑うんですよ。わたし、500年間も結婚生活に耐えられそうになくて』
『その江さん、男性で好きなファッションは何ですか?』
『ジェームス・ディーンが「理由なき反抗」で着ていた赤いジャンパーに白いシャツ、ブルージーンズと革のブーツのスタイルです』
『分かりました。あのね、その江さん。僕の友達にね、彫師がいるんですよ』
『はあ』
『おもにカジュアルなタトゥー専門なんですがね、変態の旦那さんが熟睡しているときにですね、旦那さんの体に赤いジャンパーと白いシャツとブルージーンズを真似たタトゥーを入れてあげようかなと思うんですけども、どうですか?』
『それは嬉しいです。是非、旦那に彫ってやってください!』
『いいんですか?』
『いいですよ』
『じゃあね、後で僕の連絡先を教えますから話を進めていきましょうね』
『はい、ありがとうございます』
『その江さん、タトゥーを入れる前夜に旦那さんには酒をたらふく飲ませて泥酔させた後に、旦那さんの体を亀甲縛りにして、お待ちくださいね』
『はい、分かりました』
『その江さん、それでは後ほどです』
『はい、Mr.ワカサギさん、どうもありがとうございました』
『ここで一旦、コマーシャルです』
キャプテン・ミルクは夢中になって皿を磨き続けていた。
☆続いちゃう☆
(作画 七海 糸様)




