キャプテン・ミルクと机
https://31064.mitemin.net/i781956/(作画 茂木多弥様)
(作画 七海 糸様)
「ヘルニア卓也くん、僕はこのムササビ・ジュニア号の2階の奥にあるトイレ掃除に行ってくるから。トイレット・ペーピャオン(説明しよう。『トイレット・ペーピャオン』とはトイレットペーパーの若い婚約者だ。いつの日か結ばれると固く誓い合ったカップルの端くれなのである! 未来の夫婦に祝福あれ!)を補給してくるよ」
フクラハギさとしはトイレット・ペーピャオン大量に紙袋に入れると、ちゃぶ台の上に置いてある『心霊写真集 おばけ大百科』を見てしまい動揺した。
「か、か、加奈子ちゃん、仕事に行ってきます。加奈子ちゃん、冷たくしてごめんね。ちゃんと成仏してね」とフクラハギさとしは涙声になりながら言うと『心霊写真集 おばけ大百科』に手を合わせた。ちなみに『心霊写真集 おばけ大百科』の表紙はヤマンバと雪女が仲良く肩を組んで読者に向かってメンチを切って睨みつけている絵でございます。
加奈子ちゃんなんていないのに。加奈子ちゃんは架空請求みたいに恐怖だけを残すバッタモンなのに。フクラハギさとしよ、君は怯えすぎだ。
「ではヘルニア卓也くん、皿洗いを頼むよ」
「はい、分かりました」
フクラハギさとしは頷くと用務員室から出ていった。
キャプテン・ミルクは深呼吸をした。
キャプテン・ミルクは皿洗いよりも用務員室の中を調べる必要があると考えた。まずは机の中を調べる事にした。
机は年代物の机だった。机の横にあるプレートには、こう書かれていた。『この机は47世紀の、とある18月47日に、職人・割箸乳首郎さんが90歳のヤングの時に制作した。割箸乳首郎はまだ387歳という若さで病死した』とあった。
割箸乳首郎。EARTHにあるジャパン・ゴールデンウィークの秋田県に生まれた職人のようだ。387歳とはね。あまりにも若すぎる死だったようだ。
キャプテン・ミルクは右側の1番上の引き出しを開けようとした。引き出しは全部で3段ある。
「痛い」と机が言った。
「えっ?!」キャプテン・ミルクは驚いて手を離した。
「コラッ。勝手に引き出しを開けちゃダメよ。めっ! 貴方、机の持ち主じゃないじゃん」と机は怒った。
「人工知能の机か?」とキャプテン・ミルクは珍しそうに言った。
「そう。私、リカよ。理科内梨香と言います。ちなみに14歳の女の子という設定でぇす。中2どぇす」
「どうもです。一応、ヘルニア卓也です」
「新入りね?」
「そうです、そうです」
「フクラハギさとしさんの許可なく勝手に机を開けることはデキないんでぇ〜す」
「そうですか。じゃあ、いいです」
「えっ?! 簡単に諦めてない? 中を見たくはないの?」
「新入りだから万が一のために中身を知る必要性があるかと思いましてね、引き出しに手を掛けたわけなんです。別に取って盗んだりはしませんよ。そういうのは面倒くさいからね。仕事のためなんです」
「そっかぁ。じゃあ、開けるね。見ても良いよ」人工知能の机、理科内梨香は思ったよりも、あっさりと引き出しを開けた。
「ありがとう。では拝見」キャプテン・ミルクは鋭い眼差しで引き出しの中を探っていく。引き出しの中には、
『恐怖 悪霊たちの叫び大百科』
『口裂け女の入籍大百科 〜私、お嫁にいきます。私の白無垢って綺麗? ウフフフフ〜』
『御宮クシオ クッシーを捕まえた件についての大百科』
『御宮クシオ ネッシーを捕獲した件についての大百科』
『御宮クシオ ヒバゴンと過ごした日々についての大百科』
『御宮クシオ 雪男と殴り合った大百科』
『御宮クシオ モスマンをぶん投げたらモスマンが死んだ件についての大百科』
『御宮クシオ 座敷童子と一緒にファミコンをしてたら負けそうになったので御宮クシオはリセットを連打した大百科』
『御宮クシオ 竜宮城に行ったがために老いるショック受けた大百科』
『衝撃! 霊魂大百科』
『貴方の背後霊と自縛霊が遂に対談した大百科』
『宇宙人大百科』
『UFO大百科』
『ファミコン大百科』
『心霊大百科』
『心霊スポット大百科』
『恐怖! 心霊現象大百科』
『恐怖が襲う! 心霊写真大百科』
『恐怖が迫る! 逃げろ! 心霊写真大百科2』
『恐怖に泣く! 私は見た心霊写真大百科』
全部で20冊の大百科が入っていた。どうやらフクラハギさとしは大百科が好きなようだ。
「梨香ちゃん、何でこんなに大百科があるの? 大百科だらけだね」
「そうなんですよ。フクラハギさとしさんは臆病なクセに心霊系の大百科を見ては泣きながら震えているんです」
「なるほどね。怖いもの見たさだね」
「そうそう。2段目の引き出しも心霊系の大百科ばかりなんです。3段目はね、ちょっと、厳重に保管している書類が1冊入っています」
「梨香さん、その書類って、なんですか?」
「言えませんし開けられません。御理解お願いしたいです」
「梨香さん、分かりました。ありがとうございます。僕は皿洗いをします」
「はい、ご苦労さまです」
キャプテン・ミルクは腕まくりをすると台所に向かった。
☆続いちゃう☆
(作画 七海 糸様)




