キャプテン・ミルクはやたらと詳しい
https://31064.mitemin.net/i781956/(作画 茂木多弥様)
<i606854|36721(作画 七海 糸様)
『ヘルニア卓也。ヤバイでがんすやんやん。ヤバイ奴、でしゃろかいなじゃんか。スゲェ奴が現れたら戸惑うとは本当だな。こやつはマジでスゲェよ。ぐすん、ぐすん』とフクラハギさとしは涙をこらえて次の質問をすることにした。
「ヘルニア卓也くん、好きな映画は?」
「『ゴースト/ニューヨークの幻』でぇす」とヘルニア卓也に扮装したキャプテン・ミルクは言った。
「知らないなぁ。どんな映画なのかな?」
「おばけなんてないさと思ったら、おばけなんているのさ、という現実を突き付けられた、あの世とこの世を繋ぐトロピカルな映画ですかねぇ〜」とキャプテン・ミルクははぐらかす。詳しいストーリーは言わない主義なのだ。
「もっと知りたいな。具体的にどんな映画か教えてよ」とフクラハギさとしは知りたがった。
「自分で調べなさいよ」とキャプテン・ミルクは素っ気なく拒否した。
「いやぁ〜、信じられなぁ〜い。めちゃくちゃ冷たい! 冷たいじゃん! 冷たすぎるよ!」とフクラハギさとしは怒鳴った。
「冷たいも何もさ。何でもかんでも楽して簡単に情報を得ようとする堕落と怠慢が蔓延る世の中と宇宙の今、溢れ返った情報に溺れて、はい終わりって言うのが1番いけ好かないじゃん! 本当に知りたいなら真剣に真面目に知りたがりなさい! 表面的に知りたがるのではなく!」とキャプテン・ミルクは面接官であるフクラハギさとしに何故か説教した。
フクラハギさとしは戸惑っていた。『面接官が怒られているだとぉ?! 何で怒られているんだろうか? 知りたがったからかな?』と自問自答になっていく。
「ちなみに僕が好きな映画は『E・T』です」とフクラハギさとしは言った。
「あっそう。ふ〜ん」キャプテン・ミルクは興味なく返事した。
「もっと『E・T』を知りたがりなさいよ! 『E・T』を知りたいと思い始めなさいよ! エリオットって言いなさいよ! BMXが大好きって言いなさいよ!」とフクラハギさとしは激しく怒鳴った。
「『E・T』はもう既に見ているんだよ! ナメんなバカ野郎! 名作を軽く扱うな! このにわかファンめ! バカ野郎めが!」とキャプテン・ミルクは面接官のフクラハギさとしを侮辱した。
『面接中に上司を侮辱した奴はヘルニア卓也しかいない。コイツ、ただ者じゃないな』とフクラハギさとしは思って動揺していた。
「ヘルニア卓也くん、他に好きな映画は?」
「はい、あります。『エマニュエル夫人』です」
「それも知らない。どんな映画なの?」
「エマニュエル夫人が、ひょっとしたら本格的にエマニュエル坊やを生むかもしれないなという血流とアドレナリンの増進を促す映画です」
「わかった! 妊婦検診間近の映画なんだろう! 母は強しという映画なんだな! 出産のドキュメントだな? 母は強いよな。女は子供を産むと変わるからな。母と子が成長する物語なんだな?」とフクラハギさとしは言った。
「おいおい。勝手な推測で映画を語るなよ!! この知ったかぶりのゲス野郎めが!!」そうなのだ。キャプテン・ミルクは映画の知ったかぶりが1番嫌いなのだった。
「ヘルニア卓也くん、頼むから『エマニュエル夫人』を教えてよ!」
「自分で調べなさいよ」とキャプテン・ミルクは素っ気なく拒否した。
フクラハギさとしは追い込まれていた。
『ヘルニア卓也はクールだ。やけに冷たすぎるよな。ハイカラな挨拶は出来るし、知らない映画にもめちゃくちゃ詳しいし、妙に迫力がありすぎるし。人手不足なので自分の都合で判断はしたくない。面接で質問するのは全部で3つある。1番はハイカラな挨拶、2番は好きな映画、そして最終判断の面接、3番は好きな物だ。ヘルニア卓也の好きなものを知りたい。どうしても知りたい。その前に、ちょっと軽く他にも色々と聞いてみるかな』とフクラハギさとしは強く思っていた。
「ヘルニア卓也くん、おばけについては、どう思う?」
「おばけはいます。フクラハギさとしさんは?」
「い、い、いないと思うね。いないいない」
「声、めちゃめちゃ震えてません? どうしたの?」
「ふ、ふ、ふ、ま、まったく震えてないよ。ヘルニア卓也くん、君は失敬だな」
「おばけはいますよ」
「ヒィー!! それはやめーて!! やめてやめてやめてやめてやめてぇー!!」フクラハギさとしはちゃぶ台の下に潜り込んだ。
「何、何?! フクラハギさとしさんよ、なしたの? どうしたのよ?」
フクラハギさとしは泣いていた。
「フクラハギさとしさん?」
「おばけなんてないさ!! おばけなんてな、いるわきゃないだろう! ヴェ〜ん」何故かしらんけどフクラハギさとしは泣いていた。
「フクラハギさとしさん、おばけが怖いの?」
「うん」
「何で怖いのよ?」
「おばけだから。ヴェ〜ん。怖いよ〜。ヴェ〜ん」フクラハギさとしは泣いてばかりいた。
「ヘルニア卓也くん、おばけなんてな、おばけなんてな、嘘っぱちさ!」フクラハギさとしはちゃぶ台の下でうつ伏せになっていた。
「でもさ、ヘルニア卓也くん。もしも、おばけがいたらさ、どうしよう?」フクラハギさとしはちゃぶ台の下から出てこなくなってしまった。
「おばけはいますよ」
「やめてやめてやめてやめて! おばけなんてないさという歌がおばけなんてないさと証明しているじゃん!!」フクラハギさとしは体を震わせていた。
「フクラハギさとしさん、何でそんなにおばけが怖くなったのか言ってごらんよ」
「言いたくないです。赤の他人に色々と聞くなんて失礼すぎます。ヴェ〜ん、ヴェ〜ん」フクラハギさとしは、ちゃぶ台の下でうつ伏せになって泣きながら動かなくなった。
☆続いちゃう☆
(作画 七海 糸様)




