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キャプテン・ミルクは震えた

 挿絵(By みてみん)

https://31064.mitemin.net/i781956/(作画 茂木多弥様)

 

 挿絵(By みてみん)

 (作画 ひだまりのねこ様)

 

 挿絵(By みてみん)

 (作画 七海 糸様)

 

 挿絵(By みてみん)

 (作画 茂木多弥様)








ロマンティック茂木多弥はファンタジー・ドラゴン号にある大浴場で潜水をしていた。既に30分も潜水していた。海を愛する男は水に強いのだ。


ロマンティック茂木多弥は湯船の中でパンチを繰り出した。普通の人間や宇宙人だと出来ない無理な技術だ。ロマンティック茂木多弥は漁をする時、大抵はパンチをして獲物を捕獲した。25メートル級のプレシオサウルスもボコボコにできるパンチを持っていて捕獲するのはお茶の子さいさいだった。確かな技術があるのだった。最近はボレーキックで獲物を捕獲していた。たまに回し蹴りやヒールキックでも魚の捕獲を開始していた。


ロマンティック茂木多弥の友達に半魚人の中村悟という半魚人がいた。半魚人は海の使者と呼ばれているのだが、その半魚人の中村悟にも勝った男なのだ。中村悟よりも強い半魚人の浅村健太にも勝ったし、浅村健太の友達の史上最強の半魚人、足崎牡蠣たらさきかきちゃんにも勝っていた。どんな戦い方、勝負事なのかは一切不明なのだが、とにかく、半魚人界でも話題になる強さを誇るのがロマンティック茂木多弥なのだ。


キャプテン・ミルクはファンタジー・ドラゴン内にある大広間に行った。乗組員全員がお昼寝タイムで寝ていた。※1安心毛布を握りながら寝る奴、唇を噛みしながら寝る奴、パンダのぬいぐるみを抱きながら寝る奴、親指をしゃぶりながら寝る奴、目を開けたまま寝る奴、鼻ちょうちんを膨らませながら寝る奴、寝言で卑猥な言葉を言いながら寝る奴などなど、バラエティーに富んだ姿で皆寝ていた。


「ママ、オッパイちょうだぁーい」と乗組員の一人が寝言で言った。誰が言ったかは秘密だ。乗組員のプライバシーに関わるからね。


指をしゃぶりながら寝ている乗組員は笑いながら指をしゃぶって寝ていた。それなりの年齢だが実に健やかな顔をして寝ていた。


キャプテン・ミルクはロマンティック茂木多弥が大広間にいないことに気づいた。『新入りだから、まだ、お昼寝タイムには馴染めないのだろう』と思った。


お昼寝は大事な時間だ。幼児や子供だけがお昼寝をするんじゃなくて大人もお昼寝をする社会にならなければならないのだ。キャプテン・ミルクはそう決意してから宇宙全体にお昼寝を広めてきた伝道者でもあるのだった。そのおかげで宇宙人はお昼寝をするのが日課になってきているのだ。


キャプテン・ミルクは大浴場に向かった。


ロマンティック茂木多弥はまだ湯船の中にいてパンチの練習をしていた。ロマンティック茂木多弥は驕ることなく努力家な海の男なのだった。フンドシ一丁で湯船の中にいた。


「おい、ロマンティック茂木多弥よ」


慌てて湯船から飛び出したロマンティック茂木多弥はキャプテン・ミルクに頭を下げて挨拶をした。


「ロマンティック茂木多弥よ、リフレッシュしたかな?」


「リフレッシュを更にフレッシュさせてからリフレッシュしました」


「そうか、良かったな」


「キャプテン・ミルク、ありがとうございます」


「お昼寝タイムはどうした?」


「何だか寝れなくて」


「馴染めないのかい?」


「いえいえ、キャプテン・ミルク、それは大丈夫です。僕はお昼寝は好きですから」


「ロマンティック茂木多弥よ、君は海の男だよな?」


「はい、海の男です」


「頼みがあるんだよね。バッテラって持ってるかな?」


「バッテラ? あっ、はい、バッテラありますよ。待っててね」とロマンティック茂木多弥は言うと、フンドシ一丁のまま自分の部屋に行きバッテラが入った食べかけのお寿司のセットを持ってきた。


「ありがとう! 良かった! バッテラがあった!!」とキャプテン・ミルクは言ってバッテラを見ていた。


「ロマンティック茂木多弥よ、何処で寿司セットを買ったんだい?」


「パック2の通信販売で買いました」


「ふーん」キャプテン・ミルクはよく分からなかった。


「ありがとうな。バッテラだけを頂くよ」


「いえいえ」


「ロマンティック茂木多弥よ、お昼寝タイムに参加するんだよ」


「眠くなったら参加します。キャプテン・ミルク、お昼寝タイムは何時間あるんですか?」


「4時間睡眠を推奨しているんだ」


「4時間は長いね!」


「寝る子は育つだからさ」


「キャプテン・ミルク、一人でジャム将軍に立ち向かうのは大丈夫なんですか? 僕も一緒に行きましょうか?」


「ありがとう。その気持ちだけを頂くよ。任せてくれ」


「分かりました」


ロマンティック茂木多弥は後ろを向いてフンドシを直すと気合いを入れて自分の頬を叩いてから、キャプテン・ミルクに向かって歌い始めた。


「♫海はよ〜、海はよ〜、海の中でぇ〜、小便をすりゃ〜、たまらん、たまらん、気持ちよか〜。

海はよ〜、海はよ〜、海の中でぇ〜、小便をすりゃ〜、至福至福ときたもんだぁ〜、

海はよ〜、海はよ〜、海の中でぇ〜、小便をすりゃ〜、極楽、極楽に行けるんだぁ〜、

海はよ〜、海はよ〜、海はよ〜、海はよ〜、海はよ〜、

海はよ〜、海はよ〜、海の中でぇ〜、小便すんな、あの娘が潜水してるからぁ〜さ、

今はよ〜、今はよ〜、あの娘のために小便すんな、早く泳ぎ去れと祈るんだぁ〜、

海はよ〜、海はよ〜、海はよ〜、海はよ〜♫」歌い終えたロマンティック茂木多弥はキャプテン・ミルクに一礼した。


「『男の海はよ〜(結局、男も女も海の中で小便すんなよ)』という演歌なんです」とロマンティック茂木多弥は言った。


「この歌を歌ったり聞いたりすると元気になれるんです。だからキャプテン・ミルク、元気でいてください!!」とロマンティック茂木多弥は思いやりの言葉を言った。


キャプテン・ミルクは唇を震わせて大浴場の天井を見上げていた。一筋の涙なのか、天井から滴る水滴なのかはわからないが、キャプテン・ミルクの目が濡れて光っていたのだった。


※1プライバシー保護のために明かせません。ご了承をお願い致します。



 ☆続いちゃう☆





 挿絵(By みてみん)

 (作画 七海 糸様)


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