友のお手紙
https://31064.mitemin.net/i781956/(作画 茂木多弥様)
(作画 ひだまりのねこ様)
(作画 七海 糸様)
(作画 茂木多弥様)
ラジオの収録を終えた松永寄せ書きゼリーはスタジオ内にあるレストランで食事をすることにした。松永寄せ書きゼリーはポケットから手紙を出して読み始めた。
『拝啓。松永寄せ書きゼリーくん、久しぶりだね。さて早速、捜索の報告を致します。忍び足であちこちを探し回りましたが、誠に残念ながら愛星・サマー・えりかちゃんを見つけられませんでした。『お兄ちゃん、ダサっ! 忍者のくせに、忍者のくせに』と妹に散々めちゃめちゃバカにされましたが、妹も、くノ一なんです。妹も愛星・サマー・えりかちゃんを探していましたが、結局見つけられなかったので、兄である僕に八つ当たりをしてきたんだと思います。何か嫌な事があると直ぐ僕に八つ当たりするバカな妹なんです。短気な妹なんです。気ままな妹なんです。ワガママな妹なんです。本当に妹のじゃじゃ馬ぶりに困ってます。
さて話を戻しまして、2週間前に愛星・サマー・えりかちゃんは味噌惑星にいるんじゃないのかという情報をキャッチしたので、早速、宇宙船で味噌惑星に移動しまして、味噌惑星にあるお吸い物町に到着後、直ぐに忍び足で探しました。探しましたが全く愛星・サマー・えりかちゃんは見当たりませんでした。味噌惑星は、本来、味噌汁惑星だったそうですね。現地の通行人がそう教えてくれました。
まだ捜索を続けようと思っていますが、20日前に林の中を駆け抜けていた時に手裏剣を落としてしまって大変な思いをしました。5時間探しても、なかなか見つからず、諦めかけた時に、たまたま下を見てみたら、なんと水たまりの中に沈んだ状態の手裏剣を無事に発見しました。梅雨のために、あちこちに水たまりができていて道も林の中も泥濘んだ酷い状態だったんです。偶然、下を向いて本当に良かったです。現在、手裏剣の数は30枚あります。前は60枚ありましたが錆び付いてしまい金曜日の燃えないゴミの日に捨ててしまいました。惜しかったです。本当にさ、水たまりの中を見て良かったよ。なかなか殺傷力の高い手裏剣で長年使用している愛用品なので失くしたら相当落ち込んだと思います。幸運に感謝です。
味噌惑星は快適な惑星で平年気温が23℃と穏やかなんですよ。味噌人が住んでいて、かなり民度も高いんです。到着後に思ったんですが、どうやら味噌惑星のお吸い物には愛星・サマー・えりかちゃんはいないような感じがしていたんですよ。直感は当たりやすい。
僕はお吸い物町から西にある味噌町に行くことにしました。
味噌町は前に2回行ったことがあります。味噌町は今純ぴーぽろという方が開拓した町です。今純ぴーぽろは想像力のある方で、今純ぴーぽろの想像力によって半年で味噌町を作り出したんだそうです。
味噌惑星の味噌町なら、ひょっとして愛星・サマー・えりかちゃんかいるかもしれないと少しだけ期待を込めて忍び足で探しましたが、残念ながら、やはり最初のお吸い物町にいないという直感が重なっていてね、残念なことに、ここにもいませんでした。
一旦、今後の捜索について真剣に考えるタイミングだと思い宿屋に宿泊することにしました。宿泊は2泊3日の予定でした。
部屋でぼーっと手裏剣を磨いていたらね、たまたま味噌町で味噌町長の選挙の期間だったようで、外で町長立候補者の街頭演説が始まったので部屋の窓を開けて聞くことにしたんだよ。
『登竜門アヂルです。私、登竜門アヂルが町長になったら全てのモザイクを外します。無修正にして、ありのままにして真実を見せます。モザイクを外す理由は元気になって欲しいからです。大学まで義務教育にします。税金を廃止にして、消費税も廃止にして、給料をアップさせます。時給1時間300万ヘンドリモンドリにします。学費も無料、医療費も無料、3000万ヘンドリモンドリ級の高級新築も無料にします。おまけに新車もプレゼントします。ヨロシクだよ』と言っていたのは町長に立候補した登竜門アヂルさんという方でした。
この登竜門アヂルさんは何度も味噌町の町長になっている方のようでした。
対してもう1人、町長の立候補者がいたので演説が始まったので聞くことにした。
『今晩は。どうも、俺はジョニー・ハキケデゴンだ。ジョニー・ハキケデゴン、ジョニー・ハキケデゴン、ジョニー・ハキケデゴンをよろしく、よろしく。俺が町長になったら、変なことは何もしたくねぇ。余計なこともしたくねぇ。したくねぇ理由は言わねぇよ。とりあえず隣にいるおっさんみたいに口先だけの公約を言って町民を騙すのはウンザリなのさ。俺さ、隣の登竜門アヂルさんに、一発、ブチかますから。命、張るから。よろしく』とジョニー・ハキケデゴン候補は簡単なアピールをしたんだ。なかなかのハンサムで若い女の黄色い悲鳴があっちこっちから飛び交っていたよ。
続いて簡単なアピールを終えた二人の候補者による討論会が始まったんだ。
『ジョニー・ハキゲデゴンくんは若いから政治的な経験がない。経験がない青二才の生意気な小僧には町民の気持ちが理解出来ないのです。私なら政治的な経験は豊富だし夜の営みの経験も豊富です。経験がある方が町民の期待に答えられます』と登竜門アヂルは力強く言って手を振っていたんだ。
一方、
『おっさん、おっと失礼。登竜門アヂルさんよ、あんた町長になった途端、公約を何一つも果たしてこなかったじゃないかよ。嘘つきは政治家の始まりって言われる所以はアンタみたいな半端なおっさんが原因なんだぜ。いつまでも権力にしがみついていないでさ、そろそろアンタのカミさんのケツにしがみつく歳頃なんじゃないのかい?』とジョニー・ハキゲデゴンは言って地面にツバを吐くと眩しそうに空を見上げたんだ。
『わ、わ、私が改めて町長になったら色々と勉強します! こんな生意気な若僧に味噌町は任せられません!』
『おっさんよ、いや登竜門アヂルさんよ、町長になってから政治的なことを勉強したって遅いし全く意味がないんだよ。逆に準備や思想が不足した奴が当選したと思われるのがオチだからな』
『私は大学院を卒業した高学歴者であり、友達には有名な俳優やタレントがたくさんいっぱいいて皆から慕われています。聞いたところによると、この生意気な小僧、ジョニー・ハキゲデゴンには友達が1人もいないとのことです。つまり、バカな若者なんです』
『おっさん、だからなんだ? それがどうしたんだよ? 友達なんて幻想なのさ。結局、人間は1人なんだ。誰しも話し相手なんかいやしないし、孤独を生きているんだ。登竜門アヂルさんよ、芸能人がおっさんに近付くのはな、おっさんの権力を利用するためだからだ。決して友達だからで近付いてはいない。芸能人はズル賢しい連中ばかりなんだ。あとな、自惚れて高学歴を自慢すんな。高学歴なんて何の意味もないから。高学歴な奴らが、大体、世界を複雑にして歪めすぎているんだ。物事をシンプルに考えられないのは考えすぎで頭でっかちだからなのさ。それとよう、さっきテメェよう、俺の事をバカ呼ばわりしたよな?』
『してない』
『したよ』
『してない!!』
『テメェ、俺をおちょくってんのか?』とジョニー・ハキゲデゴンは言って登竜門アヂルの顔にツバを吐いたんだ。
『うわっ、くさい!!』と登竜門アヂルは怒鳴るとジョニー・ハキゲデゴンに向かってマイクで頭を殴りつけたんだ。
『テメェ、この野郎!!』とジョニー・ハキゲデゴンが怒鳴ると登竜門アヂルの後ろに回って首を完全にロックして締め上げたんだよ。
『ギブ、ギブ、ギブ、わかった、わかった。悪かった、悪かった、ごめんごめん、謝る謝る。ごめんごめん』と登竜門アヂルが直ぐにギブアップをすると、作り笑顔を町民に浮かべて手を振りながら『私に清き一票をよろしくお願い致します! 私は体が強い男です! 20年間風邪を引いていません! 病気も私に恐れています!』と懲りずに訳の分からんアピール絶叫をしたら『この嘘つきの弱虫!!』、『偽善者!!』、『嘘をつくのが政治家の仕事なのか?』 『弱すぎる奴に町長は任せれられない!!』、『公約も守らんクセによ!!』、『アンタよう、3年前に猩紅熱になって入院していたじゃないかよ!!』、『この嘘つきのろくでなし野郎め!!』と次々と町民から登竜門アヂルに非難の声が殺到していたね。
それでも『ありがとうございます、ありがとうございます、ありがとうございます』と登竜門アヂルは笑顔を振りまいてめげずに図々しく町民に手を振っていたんだ。
結局、翌日の投票日の結果はジョニー・ハキゲデゴンが町長になったんだよ。なかやか見どころのある青年だったね。
登竜門アヂルの方は投票日に緊急で盲腸を発症してね、直ぐに動物病院に入院していたよ。何で動物病院に入院したのかと言うとだね、味噌町にある唯一の病院、佐々木病院に患者が多くてベッドが足らなかったからなんだってさ。聞いたところによるとね、登竜門アヂルは土佐犬のチカちゃんがいる部屋に入院したんだってさ。チカちゃんは血気盛んで唸り声が凄くて気が荒くて強い娘なんだってさ。何かの弾みで襲いかかる事がよくあるバイオレンスなメスだとのことです。
とりあえず、明日、僕は味噌惑星から、緑茶カフェインゼロ美味旨味惑星に向かうことにするよ。長旅だ。今度は愛星・サマー・えりかちゃんがいるといいなぁ。近いうちに捜索報告をしますね。松永寄せ書きゼリーくん、またね、バイバイ。
忍者 秋風忍より
☆続いちゃう☆
(作画 七海 糸様)
忍者ってカッケー!!




