シンデレラタイムにあい・うぉん・ちゅー
https://31064.mitemin.net/i781956/(作画 茂木多弥様)
(作画 ひだまりのねこ様
(作画 七海 糸様)
(作画 茂木多弥様)
「えりかちゃん、丁度、真夜中のシンデレラ・タイムに築320年の賃貸マンションに住む我が家のエンター・ピョーン(説明しちゃうよ。戸惑うけど説明しよう。皆して私のナレーションを忘れているかもという不安の中に私はいます。頼むよ、私を思い出してくれよな。本当に、ここにきて、だいぶ申し遅れてアレだけど私は雨宿りレインという者なんでした。名乗り出るのが遅くなって、すまん。前のナレーションは辞めたんだ。さてさて、エンター・ピョーンだがね、エンター・ピョーンはインターフォンの血を引きし物のことだ。つまり、ほとんどインターフォンと変わらん! そうさ、インターフォンだわ。全くインターフォンなんだわ!! 同じなんだわっ!!)が鳴ったのでした。私とクラリネット茜は真夜中まで20世紀の遺産のポートピアに夢中でしてね、えっ? ポートピアって何ですかって? 結論から言うとポートピアはヤスが犯人なんですよね。犯人は間違いなくヤスです。ヤスの野郎、あの野郎め。ヤスの優柔不断さと卑劣さが今も思い出すと気に食わないでいます。ポートピアの他には、スペランカーのオープニングの怖い曲を聞きながらナーバスになってしまって落ち込んだり、ミシシッピー殺人事件で頻繁に落とし穴に落ちて遊んでばかりいたり、ミネルバトンサーガのオープニングでの父親との最後の会話に胸を痛めながら父親のご冥福を祈ったりしていました。テヘッ、何のこっちゃですよね。本当に何のこっちゃだわな。でね、真夜中の訪問者を確認してみたら、なんと、アイツがいたんです」
「アイツ、ひょっとして去勢されたプロデューサー?」
「凄い! えりかちゃん、大正解です! さすがえりかちゃん!! 去勢された元芸能プロデューサーの米珍遅漏と、その母親でした。母親は桃色の木綿のハンカチーフで涙を拭きながら何度もエンター・ピョンを連打していました。『はい? どちら様かな?』と私は言いました」
☆回想☆
「はい? どちら様かな?」
「大変遅い時間に申し訳ありません。わたくし、米珍遅漏の母親の米アンダーヘアー子です。伝奇惑星の伝奇星人でして、アンダーヘアーをみつ編みにするのが伝統の伝奇星人と言えば分かるかもです」
「は、はあ」
「あのうですね、マラカス貴子さんを襲った挙げ句に何者かに去勢されたと家のバカ息子が泣きながら告白しましてですね、あのう、わたくし、密かにマラカス貴子さんを推していたものですから、めちゃめちゃ頭にきまして、息子を拳で200発殴りつけました。それでですね、マラカス貴子さんの所属事務所の『優しい豆電球事務所』に問い合わせ致しまして、社長様に、わたくしの事情を全てお伝えしましてマラカス貴子さんの住所を聞きました。宇宙船で5時間掛かりました。あのう、お詫びに来ました」
「そうですか……」
マラカス貴子は玄関の扉を開けた。
赤いストレートヘアーのカツラに紫色の着物を着せられた米珍遅漏は泣きじゃくっていた。
「ホラ! 謝りなさい!」と米アンダーヘヤー子は怒鳴った。
「マラカス貴子さん、ごめんなさい」
「……」
「しばらく私は宇宙船の中で待っているから! 謝りなさいよ!!」と米アンダーヘヤー子は言って宇宙船の中へと消えた。宇宙船の操縦席には米珍遅漏の父親らしい人がいてマラカス貴子に会釈をした。
「マラカス貴子さん、本当にすみませんでした」
「……」
「ワイはエテ公でしたが、急激に女になってしまいました」
「……」
「ワイは謎の宇宙人5人に去勢されてから道ばたに捨てられるように釈放されて、ワイは、意識が半分、朦朧とする中で、何とかして満員電車で自宅に戻ろうとしたら、電車内で変なオッサンにお尻を触られるという痴漢をされてしまいました。ワイは怖くて声が出ませんでした。ワイは赤いストレートヘアーのカツラと紫色の着物を着ていますが、これは5人の謎の宇宙人に着せられたものです。どうやら、一生着せられる魔法を掛けられたみたいで二度と脱げないし取れません。変なオッサンはハアハア言いながらワイのお尻を撫で回しまくりました。ワイは怖くて怖くて。満員電車で身動きが出来ないし、声も出せないし。30分もお尻を触られたんです」
「……」
「ワイは痴漢されて悔しかった。声を出して『このオッサン痴漢です!』と勇気を出せない自分を許せなかった。ワイは、ワイは、今まで約2000人の女をセクシャルハラスメントしてきた。今にして思うと、なんてワイは身勝手だったんだろうか? なんてスケベ野郎なんだろうかって思った。ワイはワイは、もうオッサン、男たちから痴漢されたくないんです」
「……。」
「ワイは今までエテ公の猿やったけど、もうこれからのワイはエテ公の猿ではない。ワイは女だ。去勢されて女性として生まれ変わった女です。女として生きていきます。今後はセクシャルハラスメントを撲滅するための仕事をしていきたい。が、しかし、今までセクハラしてきた2000人の女性たちに一気に告訴されまして、早い安い上手いという裁判所の決定が出てしまいましてね、残念ながらにも程がありますが、ワイは全被害者に対して80兆ヘンドリモンドリの損害賠償を支払う判決と懲役500年が出されました」
「……。」
「何とかして裁判所と司法取引が出来まして、80兆ヘンドリモンドリを全被害者たちに支払った後に自らの推薦で尼寺に行く事になりました」
「懲役逃れのための尼寺ですね?」とマラカス貴子は言った。
「えっ?!」
「自分の身を守るための尼寺ですよね?」
「えっ?!」
「反省していないんじゃないかなと」
「えっ?!」
「去勢されても性格や性質は簡単には去勢されませんよね」
「チッ!!」と米珍遅漏は舌打ちをするとマラカス貴子の胸ぐらを掴んだ。
「マラカス貴子、お前のせいでワイは去勢されたんだぞ。ワイはエテ公だったんだぞ。本物のエテ公だったんだぞ。ナメやがってよ! チッ!」
「……。」
「オイソノテヲハナセ。オマエハヤッパリダメナエテコウダナ。モウイチドオマエヲシュジュツスル。ワレワレハオハマエミタイナクソヤロウヲキョセイシテウチュウノヘイワヲマモルカツドウヲシテイル。セクシャルハラスメントヤパワハラヤサベツヲスルスベテノヤツラヲキョセイシテヤルカラナ。イチニキョセイニニキョセイサンシガイラッシャイデゴニキョセイダ!!」
突然、宇宙船が現れると空から声がした。
マラカス貴子と米珍遅漏は空を見上げた。
☆続いちゃう☆
(作画 七海 糸様)
ありがとうございます。




