空から降る声音
(作画 ひだまりのねこ様)
(作画 七海 糸様)
(作画 茂木多弥様)
「こ、こ、この野郎! 新妻なんだそ! この野郎! サカリマクリン星人ってさ、見境なく盛るとは本当の事なんだな! ダッセーな!」と立山立一は怒鳴り散らしたが体が震えていた。
「盛って何が悪いんだよ! 何でこんなに盛るのか自分でも分からないけどもサカリマクリン星人としての本能だわな。他には血筋や遺伝だとは思うけどもさ、男はな、侘しくて儚いもんなんだよ! 女は老いても益々元気になるじゃん? 喧しくなるじゃん? 顔つきが男性化してオジサンみたくなるじゃん? 男はその逆でな、そこまで元気じゃないじゃんよ! 下半身以外はね! ぶはっ、ふへへへへ!」とサカリマクリン星人はやけっぱちな感じで言った。そう、まるで思春期みたいな屁理屈に聞こえた。
「なんだコイツ? 変態野郎だな」と立山立一は言ってMasakoの前に立ちはだかった。妻を守るためにだったが体は震えていた。
「奥さん、そんな震えまくってビビっている旦那と別れてさ、ワシと一緒にやろうぜ! ふへへへへ!」
「御断りしちゃいます! サカリマクリン星人なんて気色悪いです。キモいです!」
「宇宙人差別をすんなよな! ふへへへへ!」と
サカリマクリン星人が言って笑いました。なんて汚らしい笑顔でしょうか。
「ちょっとあんた! チンチロウくん! なにしてんだい!! このバカタレが! チンチロウくん! そんな女の何処がいいのよん!」
突然に上から声が降ってきたので全員が空を見上げた。
小型の宇宙船に乗った女が窓から手を出して喚いていた。小型の宇宙船、ニスオナパルス・マスタカキン号3952だった。女がよく乗るポピュラーな宇宙船だ。
「出たぁー! 喧しい女、いつもヒステリーのヒステリック女! 何でワシの居場所が分かった?!」とサカリマクリン星人のチンチロウくんが縮み上がって言った。
「3日前にひっそりとね、AIWDをあんたの携帯黒電話に付けちゃったからね。逃げられやしないんだよ!」と女は喚きながら言って小型宇宙船を着陸させた。
説明しよう。AIWDとは『あんたの居所なんか分かるんだい!』という頭文字の略でして、AIWDをミプルして携帯黒電話に付けられているのだった。ミプルとはアプリの子孫なのだ。
「うるせー! 雪代朝立知! 雪代、もう別れてくれや! 頼む、別れてくれや〜!」チンチロウくんは半分泣きながら言った。
「別れないわよ! 別れてたまるかつーんだ!」雪代朝立知はプリプリしてふくれていたし、むくれてもいた。
「頼む、別れてくれや! 嫌なんじゃい!」
「何が嫌なのよ?」
「非常に言い辛い!」
「言いなさいよ!」
「じゃあ、言うぞ。雪代、お前の名前が嫌なんじゃい! 雪代朝立知だなんてよう、女のお前が朝立ちしてどうする!」
「雪代朝立知の名前の何処が悪いのよ! 独創的じゃないのよ! 四六時中、盛っているチンチロウくんよりマシだわよ!!」
「雪代、お前のほうが変だ!」
「雪代、雪代ってね、いい加減に私を名字で呼ぶのを止めてよねっ!! 私の名前は朝立知だから!! 私の母親が『朝にビシッと起立してから太陽に「おはようさんのSUN」と言える物知りな女の子に育ってほしい』というインテリジェンスな願いを込めれたハイカラな名前なのよ!! ナメんな、盛り野郎!!」
「だから嫌なんだよ!!」
「チンチロウくんって、考え方が古いわ」
「雪代、何処か古いのよ?」
「だから私を名字で呼ぶなっつてんべ!!」
☆続いちゃう☆
(作画 七海 糸様)
夏ですな✨




