誠意
2ヶ月以上ぶりの更新です。ブックマークを外さずに待っていてくれた読者様、ありがとう。大好きだよ✨
(作画 ひだまりのねこ様)
(作画 七海 糸様)
(作画 茂木多弥様)
立山立一は、一旦、携帯黒電話を耳から離して天を仰ぐと頭を振って気合いを入れ直した。
『何とか上手く交渉して、嫁のMasakoのウンコを買ってもらわないといけない』と思っていた。『Masakoの可愛い笑顔が頭に浮かぶ。2週間も頑張ってウンコを溜めに溜めたMasakoのために、旦那として一肌脱がないといけない。Masakoのウンコはスペース1なんだ。Masakoのウンコを無駄にはしたくない。Masakoのウンコを待っている農家のためにウンコを送り届けたい。僕のウンコはもうどうでもいいんだ。Masakoのウンコだけを認めてほしい。Masakoのウンコよ、永遠なれ、Masakoのウンコよ!』
「デッサンマンさん、今から直接お会いできませんか?」
「良いですよ」
「デッサンマンさん、ありがとうございます。どちらでなら、お会いできますか?」
「立山さんにお任せます」
「デッサンマンさん、それでは、亀頭大山Parkで会いましょうか」
「亀頭大山Park? ですか?」
「はい、玉垂駅の近くにある大きな公園なんです」
「立山さん、玉垂駅が何処にあるのか分からない」
「デッサンマンさん、前立腺不動道路という一本道は分かりますか?」
「ああ、分かります、分かります。今、私がいるスーパーの前にある道路が前立腺不動道路です」とホワイトチョコレートマンは言って窓の外にある道路の看板を見た。そこには確かに前立腺不動道路とあった。
「了解です。前立腺不動道路を北に真っ直ぐ行けば10分くらいで玉垂駅に着きます」
「立山さん、分かりました。それでは、今から前立腺不動道路に出て玉垂駅に行って亀頭大山Parkに向かいます」
「デッサンマンさん、宜しくお願い致します」
「いえいえ」とホワイトチョコレートマンは言うと携帯黒電話を切ってパチ凛太助に返した。
「ホワイトチョコレートマンよ、約束だ。早く降ろせ」と顔が紫色になっているパチ凛太助は涙ながらに訴えた。
「悪いが断る。貴様は頭に血が上って、そのまま死ぬのだ。全てはお前が悪い。まさか、悪の使者、稀に見る暴君と言われていたパチ凛太助がこんな無様な死に方をするとはな」
「堪忍してくれ。死にたくない。頼む」
「ハハ。パチ凛太助よ、まさかの命乞いとはな」
「このままで済むと思うのか? 俺のバッグにはジャム将軍がついているんだぞ。必ずやホワイトチョコレートマンを見つけ出して復讐を果たしてくれるはず」
「貴様はジャム将軍に嫌われているんだぞ。ジャム将軍が復讐なんか果たすかよ。笑わすな」
「嫌われてなんかないもん! 僕ちゃんは嫌われてなんかないもん! 僕ちゃんはね、僕ちゃんはね、絶対に嫌われてなんかないもん!!」とパチ凛太助は涙を溢れさせて子供のようにムキになって文句を言ってきた。まさか悪の使者が自分自身を僕ちゃん呼ばわりするとは。
「いいかい、そこの僕ちゃんよ。そこの僕ちゃんはね、間違いなくジャム将軍に嫌われているんだ。大人しく死を覚悟しろよ」とホワイトチョコレートマンは言ってスーパーから出ようとした。
「僕ちゃんは嫌われてなんかないもんね!!!! 好かれてるもんね!!!! 嫌われてなんかないもん!!!! 絶対に仲良しこよしだもん!!!! ウェーン、ウェーン、ウェーン。人の心を傷つけやがってさ。うわーん!! 酷いよ、あんまりだよな。酷い事言うなよ。うわーん!!!! 嫌いだ!! 死にたくない〜!」とパチ凛太助は言うと泣き出した。
ホワイトチョコレートマンはスーパーを出て前立腺不動道路を歩いた。前立腺不動道路は時折、肥大したり縮小したりと道に躊躇いと迷いがある作りをしていた。時折、前立腺道路肥大、前立腺道路縮小と事細かに書かれた小さな看板があるのはなぜだろうか。
ホワイトチョコレートマンはメインの前立腺不動道路の看板を読んだ。
『前立腺不動道路は40世紀に作られた立派な道路です。前立腺不動道路を大切にしましょうね。職人の手作りによって作られた繊細な道路です。前立腺不動道路に強い刺激を与えるのは控えてください』と書かれていた。ホワイトチョコレートマンは前立腺不動道路をジャンプしてみた。
「あはぁ〜ん、ウェルカム」と道路から声のような変な空気が漏れる事に気付いた。どうやら前立腺不動道路は柔らかな物質によって作られた職人の繊細な道路らしい。
しばらく歩いたホワイトチョコレートマンは前立腺不動道路の真ん中で寝っ転がって筆ペンでイタズラ描きをしている子供がいるのに気付いた。ホワイトチョコレートマンは子供の側に寄った。
「おい、ガキ。何してる? いくつだ?」
「4しゃい」と鼻水を口元にまで垂らしている男の子は答えた。
「この道路にイタズラ描きをするな」
「うん、わかった。えへへ」と鼻水の男の子は真剣な顔をして頷くと再びイタズラ描きをはじめた。
「ガキ、話を聴いてんのかよ!」とホワイトチョコレートマンは怒鳴りつけて鼻水の男の子の頭を強く叩いた。
「痛いよう! うわーん!」と鼻水の男の子は鼻水を指ですくって舐めながら走り去った。
ホワイトチョコレートマンは前立腺不動道路に描かれた星の絵を足の裏で消した。
イタズラ描きを消すたびに「あはぁ〜ん、ウェルカム」と前立腺不動道路の変な空気が漏れていく。
「おいテメェ! お前か。俺の息子の頭を叩いたクソ野郎はよう!」身長2メートルの大男は先ほどの鼻水の男の子を抱きかかえてやって来た。
「俺だ」ホワイトチョコレートマンは目を見開いて威嚇しながら言った。
「舐めた真似しやがって!」と大男は言うとホワイトチョコレートマンのみぞおちを殴った。
「ギャー!! 硬い! 染みる! 折れたわ!」と大男は叫んだ。大男の右手の小指が見事に骨折してしまった。
「俺を殴るなんて貴様は馬鹿だな。ここで死にたいのか?」とホワイトチョコレートマンは言って大男を持ち上げた。
「キャハハハハ」と父親と一緒に持ち上げられた鼻水の男の子は喜んで笑った。
「お前の息子は躾がなってない。前立腺不動道路にイタズラ描きをしていたんだぞ」
「えっ、それは本当ですか? すみませんです。最近、離婚して息子を引き取ったんですが、全く言うことを聞かなくてね……」と大男は恐縮しながら言った。
「息子を甘やかすな。厳しく育てろよ」ホワイトチョコレートマンは大男を地面におろした。
「は、はい」
「おい、玉垂駅はこっちか?」
「いやいや、逆方向ですね。こっちだと薄黒アワビ平原に出ますよ。薄黒アワビ平原を超えたら真っ黒アワビ村に出ます。真っ黒アワビ村は真っ黒なアワビが名産地なんです」
「わかった。ありがとう。息子を甘やかすなよ」
「はい、ありがとうございます」
「厳しく厳しく育てろよ。男の子は直ぐに調子に乗るからな。何か悪さしたら、気絶するまでボコボコにブン殴れよ」
「えっ、は、はい。ずいぶんとスパルタ教育なんですね」
「蹴り飛ばしたりもしろよ。子供の気持ちより親の気持ちだ。子供は甘やかすとな、つけ上がるし我儘になるからな。子育ては子供を甘やかすなが鉄則だ」
「は、はあ。分かりました」と大男は言って鼻水を垂らしている男の子を肩車しながら去っていった。
ホワイトチョコレートマンは来た道を引き返した。
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ようやく、玉垂駅に着いたホワイトチョコレートマンは『こちらに行けば亀頭大山Parkまで3分です』の看板を見て頷くと足を速めた。
亀頭大山Parkの広場にバカでかい大男が座っていた。バカでかい大男はホワイトチョコレートマンの姿を見て立ち上がった。バカでかい大男は駆け足でホワイトチョコレートマンの元に来た。
「デッサンマンさんですか?」とバカでかい大男は言った。
「立山立一さん?」
「そうです」
「ずいぶんと大きいですね」
「そうなんですよ。世間の噂だと15メートルはあると言われていますが、実際は23メートルなんです」
「バカでかいですね」
「ありがとうございます」
「早速ですが、立山さん、ウンコの流通は禁止になりました」
「本当に困ります。デッサンマンさん、どうか嫁のMasakoのウンコだけでも流通させてください。Masakoのウンコはスペース1番です。Masakoのウンコは凄いウンコなんです。ウンコの中のウンコなんです。Masakoのために宜しくお願い致します」
「立山立一さん、貴方は誠意がある。私も誠意を示したい。私はホワイトチョコレートマンだ」
「えーっ!! あの宇宙最強の殺し屋と言われているホワイトチョコレートマンですか?! 嘘でしょ?」
「本当にホワイトチョコレートマンだ」
「分かりました。Masakoのウンコの流通や販売はしません。ごめんなさい」
「いや。新しい提案をします。今まで農家に販売していた夫婦のウンコは、実は農家に販売していません」
「えーっ!!」
「パチ凛太助はジャム将軍の部下でして、今まで、夫妻のウンコはジャム将軍の武器である、強力なウンコ爆弾の要として利用されていたのです」
「えーっ!!」
「改めて立山夫妻のウンコは素晴らしいと言うのが分かりました。今後はキャプテン・ミルクのために力を貸してくれませんか? キャプテン・ミルク版のウンコ爆弾を作りたいのです。そしてジャム将軍をやつけたい。ジャム将軍のウンコ爆弾よりも強いウンコ爆弾を作りたいのです」
「えーっ!! キャプテン・ミルクにですか?」
「そうです」
「ホワイトチョコレートマンさん、分かりました。契約させてください」
「立山さん、キャプテン・ミルクと専属契約でよろしいですか?」
「は、はい」
「分かりました。2時間後に立山夫妻に契約書を送ります」
「ありがとうございます。ところでホワイトチョコレートマンさん、キャプテン・ミルクとはどんな関係ですか?」
「キャプテン・ミルクと俺の関係?」
「はい」
ホワイトチョコレートマンは立山立一の肩に手を置いた。
「キャプテン・ミルクは俺の兄なんです」
☆続いちゃう☆
(作画 七海 糸様)
ありがとうございました!