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なかなかのチンタくん

 「よし、ペペ、そろそろ俺はファンタジードラゴン号に戻る。ペペもレッド明凜も一緒に来るかい?」

 

 「えっ!? 良いのかい? 助かるよ。ありがとう。レッド明凜、行くぞ」

 

 「はい、ペペちゃん」

 

 「えっ!? レッド明凜、僕を『ちゃん』付けで呼んでいたっけ?」

 

 「はい」

 

 「えっ!? ウッソ!? そうだったっけ? 違う気がするけど。ま、まあ、良いか」

 

 キャプテン・ミルクとペペとレッド明凜は一緒に『夢子の恋を甘く見んといてぇよね』というジャパンゴールデンウィークの古い歌を歌いながら歩いた。(説明しよう。『夢子の恋を甘く見んといてぇよね』は25世紀に流行した「田村メンコちゃん」が歌っていたもの。話は飛んでね、早くファンタジードラゴン号に戻るために『頭スカイ』を貸してあげれば良いと思われるかもしれないが、『頭スカイ』はキャプテン・ミルクの物しかないのだ。キャプテン・ミルクの超能力『スターレボルューション』は今は詳しく言えないが、これまたNGなのだ)

 

 しばらく歌を夢中で歌っていた3人は、落ちていたストーンを拾って水溜まりに投げた。水しぶきの高さを競ったのだ。1番はキャプテン・ミルク、2番はレッド明凜、3番は曲角ペペだった。勝者に対する褒美は特になかった。単なる遊びに過ぎないためだ。

 

 キャプテン・ミルクはお腹をさすり始めた。辺りを見回すと20メートル先に公衆トイレがあった。

 

 「おいペペ、公衆トイレを発見。ちょっと行ってくるわ。外で待っててくれ」

 

 「了解」ペペとレッド明凜は公衆トイレから少し離れた所にあるベンチに座ってくつろいだ。

 

 キャプテン・ミルクは小走りでトイレに入っていった。

 

 公衆トイレは薄暗かった。電灯が点滅していて小さな虫が宛もなく弱々しく飛んでいた。窓ガラスが割れていて風が入ってくる。タイルが割れた床にトイレットペーパーや雑誌が散乱していた。洗面台の鏡には赤いルージュで『この番号に掛けてよ。あたし寂しいの』と書いてあったが番号は書かれていなかった。

 

 キャプテン・ミルクは用を足しながら目を閉じていると個室のトイレから寝息が聞こえてきた。思わず目を開けて後ろを振り返ると右側の扉が閉まっていた。いびきと寝息が交互に聞こえてくる。聞き取れない寝言も聞こえた。

 

 キャプテン・ミルクは洗面台で手を洗うと個室の前に行き扉に耳を当てた。

 

 『人をだましやがってよう、ムニャムニャ』と言ったかと思うと『なんとか助かったしさ、ムニャムニャ』と誰かは知らないが寝言が聞こえた。

 

 「酔っ払いかな。起こすか。あのう、すみません、大丈夫ですかー?」キャプテン・ミルクは優しく扉をノックしながら言った。


 「えっ!? 入ってます。寝てません、寝てませんから。ウンコ中でぇ~す。ごめんなさいね。ムニャムニャ、ぐーっ」と寝ぼけた声が聞こえた。

 

 「他の方も使うので早めに出るようにしてね」キャプテン・ミルクは優しく言って公衆トイレから出ようとした。

 

 「うっうっ。うぇ~ん」今度は泣き声がしてきた。

 

 キャプテン・ミルクは扉の前に戻った。

 

 「おっさん、どうしましたか?」キャプテン・ミルクは扉を開けようとしたが鍵が掛かっていた。

 

 「うぇ~ん、うぇ~ん」おっさんは声をあげて泣き出した。

 

 「おっさん、何で泣いてるの? 出てきて外の空気を吸いなさいよ」

 

 「うぇ~ん、うぇ~ん。うっうっ。大丈夫です。泣いてません。うっうっ」

 

 「おっさん、明らかに泣いてるでしょう。出てきてくださいよ。かなりウンコ臭いから脳内にウンコ臭が蔓延しているんですよ」

 

 「ありがとうございます。大丈夫です。泣いてませんし、完全に寝てもいないのです。お兄さん、私の事を気にかけてくれて嬉しいです。うっうっ。うぇ~ん、うぇ~ん」

 

 「おっさん、今、確かに、泣いてるでしょう?」

 

 「絶対に泣いてませんから。大丈夫です。うっうっ。うぇ~ん、うぇ~ん。うわ~ん、うわ~ん」

 

 「ほら、おっさん! 今、泣いてるでしょうが。出てきなさいってば。何があったか話してごらん」

 

 「お兄さん、ありがとうございます。泣いてませんし。うわ~ん、うわ~ん」

 

 「泣いているんだっちゅーの!」

 

 「絶対に絶対に泣いてませんから! うっうっ。ぶへっ。うっうっ。ブホッ」

 

 「何で認めないのか知らないけれど、そこから出てきてごらん。おっさん、お酒とか飲んでいるのかい? 二日酔いかな?」

 

 「ビール大瓶2本なんか飲んでいませんし、ジャパンゴールデンウィーク酒7杯も飲んでいませんよ。一切酒は飲んでいません。オェッ。何か口が酸っぱい」

 

 

 ゴロゴロリンコ♪

 

 

 扉の下の隙間からビール瓶2本がキャプテン・ミルクの足元に転がってきた。

 

 「おっさん、明らかにビールを飲んだでしょう? 公衆トイレでのアルコール飲料は禁止だよ」

 

 「お兄さん、飲んでいませんし、絶対に酒に飲まれていませんよ~。にゃははは。オェッ。うぇ~ん、うぇ~ん。ビール瓶は最初からここにあったような気がする。オェッ。酸っぱいなぁ。何か胃が辛い。吐きたい。にゃははは」

 

 「おっさん、とにかく、もう出ておいで。顔を見て話そう」

 

 「お兄さん、ありがとうございます。このままで少し話を聞いてくれますか?」

 

 「うん、良いよ」

 

 

 

 オープニングテーマソング

 

『最高にイカしたクールなハンサムマンのあんちくしょう☆キャプテン・ミルクの楽しい大冒険☆』

 

 作詞 蒼井真ノ介

 作曲 蒼井真ノ介

 編曲 蒼井真ノ介

 歌  えりかちゃん




宇宙に行こうよ 

宇宙の果てにはさ

光の壁があるって話よ

ツルッと光よりも輝く

あんちくしょうに夢中よ

あたい月よりアイツ好きさ 

あたい星よりアイツ好きさ

 

あたいナウい船長と

ナウい宇宙船の持ち主の

あんちくしょうがさ 

とぅきでぇ~す(好きで~す)

 

痒い背中に孫の手が欲しい

痛いお尻に座薬と塗り薬よ

朝から晩まで歌っている鳥

お願いシャラップだい!

 

好きなあいつに付きまとい

好きなあいつに睨まれて

好きなあいつにドキドキ

ラブレターをあげちゃった

偶然のフリして

無理矢理鉢合わせたのさ

 

恥ずかしいけどもさぁ

あたいのLIFEは色々と初体験の連続だい!

 

ファンタジードラゴン号『ワオッ』

ファンタジードラゴン号『ワオッ』

 

我らの我らの我らの我らの我らの我らの我らの我らのキャプテン・ミ・ル・ク~☆

 

 

 「お兄さん、実は私はある組織にもの作りを頼まれたんです」

 

 「それは素晴らしい」

 

 「半年間で『ある物』を作れと頼まれましてね、色々と契約をしてから組織に寝泊まりする形で半年間働いてきました」

 

 「凄いじゃないですか。しーっ」

 

 キャプテン・ミルクの後ろには曲角ペペと男子便所だがレッド明凜も来ていて、おっさんの話に耳を澄ませていた。

 

 「汗水、鼻水、時には下痢に悩まされましたがね、半年間、必死に働きましたよ」

 

 「凄い凄い」

 

 「なんとか『ある物』を無事に完成させると、驚いたことに、完成させた私に報酬は支払われない、先の契約金も支払われていない、組織と今後20年間、報酬もない専属契約を結ぶという、勝手で横暴な契約を結ぼうとしてきたんです」

 

 「あらら」

 

 「私は逃げられないように、朝から晩まで毎日、独房に閉じ込められてしまって、食事も1日1回のスープのみで命の危険を感じながら2ヶ月も独房にいました」

 

 「どうやら話が変わってきたな。おっさん、続けてください」

 

 「私は独房から脱出する方法はないかと悩みながら考えました。1日1回、スープを運んでくるチンタくんという人の良さそうな新人の兵士と仲良くなることから、脱出の切っ掛けを掴もうとしたんです」

 

 「なるほど」

 

 「チンタくんは純朴な青年でした。チンタくんと仲良くなるにつれてお互いに友情が芽生えました」

 

 「うんうん」

 

 「2ヶ月後のある日、チンタくんは新人研修のために北の惑星に移動するんだと言っていました。私は『残念、あと一息だったのに』と思いましたが、チンタくんは「独房の鍵を開けておくから早く逃げな」と言ってくれて鍵を開けた後、チンタくんは笑顔で独房から出ていきました」

 

 「おお、チンタくん、やるな!」キャプテン・ミルクは力を込めて言った。

 

 「私は夜中を待って独房から脱出成功しました。闇夜を走り抜け1週間掛けて、この公衆トイレまで必死に逃げてきました。途中でビール瓶とジャパンゴールデンウィーク酒を恵んでもらったり、道の真ん中で寝たりして難局を乗り越えました」

 

 「よく頑張ったね!」

 

 「ところが、先ほど、『ラルルラボン祭り』に行ってみたら、いたんです!」

 

 「誰が?」

 

 「追っ手が迫っていたんです!」

 

 「おっさん、追っ手は誰なんだ?」

 

 「こればかりは言えません。私、奴等に殺される」

 

 「大丈夫です。俺がおっさんを保護して守りますから」

 

 「お兄さんに出きるはずがない」

 

 「残念ながら簡単に余裕のよう子ちゃんで出きるんです」

 

 「お兄さん、本当ですか?」

 

 「本当に本当です」

 

 「本当に本当に本当ですか?」

 

 「本当に本当に本当に本当にです。大丈夫です」

 

 「本当に本当に本当に本当に本当ですか?」

 

 「本当だって! しつこいな!」

 

 「ジャム惑星のジャム将軍です」

 

 「な、なんだって!! おっさん、何でまたジャム将軍と関わったのさ?」

 

 「すみません。こればかりは。金銭的に余裕がない時期に、たまたま先方から連絡が有りまして、会ってしまったんです。まさか、ジャム惑星のジャム将軍だとは知らなかったです。依頼人の正体はチンタくんに教えてもらったんです」

 

「おっさん、臭いトイレから出てこい。大丈夫だから」

 

 「……」

 

 「おっさん、俺の話を聞いてるのか?」

 

「どけてください」レッド明凜はキャプテン・ミルクと曲角ペペを押し退けると個室の扉の前にきた。レッド明凜は迷わずに無表情で、あの偉大なオッパイビームを出して扉を破壊した。

 

 ドガーーーーーン!!

 

 扉の向こう側には耳を押さえて身をすくめている怯えきった川本さすおがいた。

 

 

 

☆続いちゃう☆

 

 

 

 エンディングテーマソング

 

『恋したり愛したりキスしたりハートの赴くままに』

 

作詞 蒼井真ノ介

作曲 蒼井真ノ介

編曲 蒼井真ノ介

歌  えりかちゃん



気持ちを抑えて

貴方を見つめると

涙が溢れてたまらんわ

好きな気持ちを隠して

辛くてもう嫌になるわ

 

お月さん

お月さん

応答願います

お星さま

お星さま

寂しくて参っちゃってさ

ねぇねぇ

私の話を聞いてくれる?

お願いします 

 

やけ食いしたら負けよ

夜食を我慢して

ダイエットしようかな?

ダイエットしてさぁ

絶対に綺麗になるからね

綺麗になってウホホホホ

 

負けてたまるかやったるで

甘いお菓子なんかにさ

こっちからバイバイキーン

本当にバイバイキーン

バイバイキーンのバイバイキーン 

 

好きな人を想いたいの

毎日抱きしめていたいの

貴方の笑顔を守りたいの

私は貴方が好きなのよ

ねぇ本気になってよ

こんにくしょう

私に振り向け振り向け

こんにくしょう

 

夜更かしばかりして

本当に困っちゃう~

 

恋したり愛したりキスしたりハートの赴くままに

恋したり愛したりキスしたりハートの赴くままに

 

それがあたいよ

あたいの姿なのよ

 

好きでぇ~す

エヘヘヘヘ

好きでぇ~す

ウフフフフ

好きでぇ~す

"LOVe"

 

恋したり愛したりキスしたりハートの赴くままに

恋したり愛したりキスしたりハートの赴くままに~

是非、ブクマをよろしくお願いします!

どうもありがとうございました!

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― 新着の感想 ―
[一言] ジャム将軍 → 無性にジャムパンが食べたくなるのです!
2021/04/28 17:42 退会済み
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