ホワイトブリーフ、そしてエトセトラ
(作画 ひだまりのねこ様)
(作画 七海 糸様)
(作画 茂木多弥様)
愛星・サマー・えりかちゃんの復帰記者会見で記者たちのくだらない争いが起こっている頃、別の惑星で緊急事態があったのだった。
超銀河系にある銀河内にての話。宇宙的に猛威を振るった謎のウィルスにより、湯タンポ銀河にあるチンティン惑星に住む約98兆宇宙人のうち、約8億宇宙人が亡くなったらしいとの危機的状況が、約三年、続いていた。実際の話、本当に8億宇宙人が亡くなったのかどうかは分からないそうだ。「8億人が亡くなった。ヤバいぞ」というチンティン惑星の政府の声明の他、別な意見として「そんなに亡くなっていない。おそらく、亡くなった数は5人が妥当な数だ。嘘つき政府を信じるな」と違う声明を出したチンティン惑星の7万人の医師たちよる緊急声明も出されて、チンティン惑星内では激しく2つの意見が対立していた。
宇宙ハウスの記者会見場にて。
「謎のウィルスは『ナツキャゼ』と命名されたぞよ」と自らチンティン惑星の偉大な大王と名乗る、マンゲリラ・チンゲリラ大王はキャメラに向かって宇宙人民に話し掛けた。
「どうすりゃいいのよ?」と宇宙ネットワークの新人記者、4649ちゃんは手を上げて偉大な大王、マンゲリラ・チンゲリラ大王に聞いた。
「宇宙国民の皆様、ワクチンを打てば謎のウィルス感染しないからワクチンを打て」とマンゲリラ・チンゲリラ大王は言った。
「おい、ハゲ! 破綻した発言をブチかますな! ワクチン接種を勝手に決めんなハゲ! おい、マンゲリラ・チンゲリラ大王よ、お前はワクチンを打ったのかよ?」と4649ちゃんはタメ口でマンゲリラ・チンゲリラ大王に言った。
「お、お、お、おい、お前、何処の記者だよ? 偉大な大王の私に向かってタメ口とは無礼なり!!」とマンゲリラ・チンゲリラ大王は4649ちゃんに睨み付けてキレながら言った。
「大王、はよ答えろよ。お前はワクチンを打ったのかっての!」4649ちゃんは全く動じずに偉大なる大王に言ったが、ガタイの良いボディーガードや兵士たち100人が4649ちゃんを取り囲んでいた。
「何で答えなきゃならんのじゃ? ワシの命より全チンティン宇宙人国民の命を考えているんだ!」とマンゲリラ・チンゲリラ大王は言った。
「話を逸らすなハゲ! お前はワクチンを打ったのかって聞いてんだつーの!」4649ちゃんはブチギレた。
「まずはワクチン接種は全宇宙人国民が優先だ。私は耐える。耐えられる。一刻も早くワクチンを接種をしてもらいたい。ワクチン接種は強制じゃないが出来れば今日せい。新型ワクチン接種の回数は5年間で200回接種しなければならない」
「くだらんシャレを言うなよ、200回だと!? ふざけんなハゲ! お前、さっきから話が破綻してるんだつーの! 辻褄が合わないし論理性に欠けた発言ばかりするなハゲ! とんだ茶番劇だよ全く!」と4649ちゃんは時計を見ながら苛立っていた。
「おい、ハゲ。本当ならな、俺は愛星・サマー・えりかちゃんの復帰記者会見に行きたかったんだよ。なのに、編集長に命令されてな、仕方なくお前の惑星まで嫌々飛んできたんだわ」4649ちゃんは噛んでいたスルメを地面に吐き出した。
「マジでイラつくわ」と4649ちゃんは言って椅子を蹴った。
「お前、偉大な大王のマンゲリラ・チンゲリラ大王をナメてるのか?」マンゲリラ・チンゲリラ大王はインタビュー席を立ち上がると4649ちゃんの側まで歩み寄って来た。100人のボディーガードと兵士たちがマンゲリラ・チンゲリラ大王を囲んだ。
「お前よう、偉大な大王って自分で抜かしているけどよう、ハッキリ言ってお前は糞だから」4649ちゃんは地面に唾を吐いてから味噌汁味のジュースを飲み干した。
「よし、決めた。先ずは、お前からワクチンを打たす。薬害になっても、一切、国も製薬会社も責任は取らないから。なぜなら、この新型ワクチンは絶対に副作用はないし、薬害にすらなり得ない素晴らしいワクチンだからだ。無料で打てるから大丈夫だ。ワクチンを打ったら、もれなく家や車や宇宙船が無料で手に入るからな。良かったな。ただでワクチンが打ててよう。ただで家や宇宙船が貰えるんだぞ。羨ましいなぁ~」とマンゲリラ・チンゲリラ大王が言うと手前にいた兵士に頷いた。二人の兵士が敬礼をすると4649ちゃんを羽交い締めにした。
「ワクチン接種のために、くだらん物で吊ろうとするな!! テメェ何をするんだよ!! 止めろよ!! おい、離せよ!!」4649ちゃんは焦った。『このままでは新型ワクチンではなくて、口封じの為に別なワクチンか薬物を入れられるかも。これは、かなりマズイ!』と4649ちゃんは思いながら兵士に向かって頭突きをした。兵士はヘルメットを前に出して防いでいた。
「よし、その生意気なガキに新型ワクチンをたっぷりとお見舞いしたれ! 製薬会社のために命を懸けて被験者になるんだ! 新型ワクチンは1日に何本打っても大丈夫だからね。本当に大丈夫だからね、あははははは!」とチンティン惑星の愚かな独裁者のマンゲリラ・チンゲリラ大王はヨダレを垂らしながら嬉しそうに笑った。
『白目向き沈黙ワクチン No.666444999』と恐ろしいネーミング付けられた未知なる新型ワクチンの入った注射器を持った若い医師が4649ちゃんの腕に刺す時に「海の幸である、しじみの御加護がありますように」と4649ちゃんの耳元で優しく呟いた。
その時てあった!
「待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て、待て~い!!」と叫ぶ全裸に近い白いブリーフを履いたオッサンが何処からか突然に現れた。
「なんだ貴様は!?」製薬会社とズブズブの独裁者、チンティン惑星の愚かな大王、マンゲリラ・チンゲリラ大王は叫び返した。
「俺はキャプテン・ミルクと関わりがある重要な人物とだけ言わせてもらおうかな。やいやいやい!」と白いブリーフを履いたオッサンは、自らの白いブリーフの中に右手を入れて激しめに股関を掻きむしった後、鼻先に右手を持ってきて匂い嗅いだ。
「はあん、臭いけど好きな匂い。君にもお裾分け」と白いブリーフを履いたオッサンは言って、素早い動きで右手をマンゲリラ・チンゲリラ大王の鼻の穴にズホッと突き入れた。
ボディーガードたちも兵士たちも防ぐ事ができない素早さだった。
「クサッ!! クサッ!! 臭いって!!」とマンゲリラ・チンゲリラ大王は頭を振り回しながら鼻の穴の指をほどこうとした。ボディーガードたちも兵士たちも、あまりにも素早い動きの白いブリーフのオッサンを捕まえられずに四苦八苦していた。
「おい、大王よ。新型ワクチン接種をすれば、無料で家や宇宙船が貰えるんだよな?」と白いブリーフを履いたオッサンは言った。
「そうだ。無料だ」マンゲリラ・チンゲリラ大王はあまりの臭さに涙目になっていた。
「お前ら動くな!! 『マハカサ・ツンポコリン』!!」と白いブリーフのオッサンは魔法を唱えると、合わせて100人のボディーガードと兵士たちが一斉にゴキブリ並みに縮んでしまった。
「おおーっ!! 凄い!!」と宇宙ハウスにいた記者40人が声を出して驚くとカメラのフラシュを撒き散らし始めた。
「あーっ! 貴様! 元に戻せ!」とマンゲリラ・チンゲリラ大王は、臭ささのあまり、よろめきながら言った。
「お勤めご苦労さん」と白いブリーフを履いたオッサンは新型ワクチンの注射器を持った若い医師に言うと若い医師を蹴り飛ばした。
若い医師は小さなバッグと持っていた新型ワクチンの注射器を地面に放すと遠くの果てまで飛んで行ってしまった。ちなみに宇宙ハウスは野外である。宇宙ハウスはかつての青空教室に近いのだ。酸素のない宇宙で、白いブリーフのオッサンも、マンゲリラ・チンゲリラ大王も、4649ちゃんも魔法にて酸素を取り込んでいるのであった。魔法の名は『酸素のさぁちゃん』というポピュラーな魔法なのだ。約78時間も宇宙で呼吸が可能な本当にありふれた魔法なのだ。
「よし。先ずはお前が見本を見せろ!」と白いブリーフを履いたオッサンは言うと、新型ワクチンの注射器を拾ってから、マンゲリラ・チンゲリラ大王の頭をヘッドロックして、迷わず頭に直接注射器を突き刺してポンプを下ろしていく。
「ああ~ん、わお~ん、あれ~、なんか体に入ってくるぅ~。オッサンもワクチン打つかぁぁい?」とマンゲリラ・チンゲリラ大王は白目を向いて半泣きの状態で言った。まさに、ネーミング通りに白目を向いているマンゲリラ・チンゲリラ大王なのであった。
「いや、どう見ても治験だから絶対に打たん。あんた、マンゲリラ・チンゲリラ大王よ、家や宇宙船が欲しいのかい?」と白いブリーフを履いたオッサンはマンゲリラ・チンゲリラ大王の耳元で言った。
「うん、ほしい~。家はいっぱいほしい~の」とマンゲリラ・チンゲリラ大王は言ったが白目を向き過ぎて目から血が出てきた。
「この新型ワクチンによる副作用や後遺症は絶対にないんだよな?」
「うん、なぁ~いよ~う。うふふふふん」マンゲリラ・チンゲリラ大王はラリっていた。
「本当に大丈夫なワクチンなんだよな?」
「うふん、だいじょうぶでぇ~すぅ」
「あと199回、ワクチンを打たないといけないんだよな?」
「うふん、そぉうだぁよぉう」
「さっき、若い医師が落としたバックの中に新型ワクチンの注射器が2本もあったよ。1日に何本打ってもいいワクチンとの事だから、今からまとめて全部打つかい?」
「うつぅ~」
「大丈夫?」
「わかんなぁ~い。けど無料だかあらぁ、うつぅ~」
白いブリーフを履いたオッサンは新型ワクチンの入った注射器2本を次々とマンゲリラ・チンゲリラ大王のこめかみに刺した。
「これだけ打てば謎のウィルスはやつけられるんだよな?」
「……」
「おい、マンゲリラ・チンゲリラ大王、大丈夫かい?」
「……」
「おい!?」
「……」
「マンゲリラ・チンゲリラ大王!? 大丈夫か? 新型ワクチン接種をしても副作用や後遺症がないんだよね?」
「……」マンゲリラ・チンゲリラ大王は白目を向き口から泡を吹いて僅か5分で息絶えていた。
「完璧に死んでる……。この新型ワクチンってさ、こりゃ劇薬だわな。よく見りゃ新型ワクチンの瓶に劇薬って書いてあるじゃん。こりゃ参った参った」と白いブリーフを履いたオッサンは言ってマンゲリラ・チンゲリラ大王を地面に横たわせると手を合わせた。
「50年に及ぶ、長き独裁政権が、こんな形で無事に崩壊しました。虚しい。虚しいけれども、取り敢えずはめでたいよね。マンゲリラ・チンゲリラ大王よ、あんたは新型ワクチンを打っても大丈夫だと言った。しかしだ、身をもって死んだじゃん。絶対にないと言い張った副作用や後遺症で死んで、薬害を証明したじゃん。ムキになって自らの過ちを正当化して自滅するなんて呆れちゃうくらいにバカだね。だいだいワクチン推進信者は自分の頭で物事を考えないから怪しい人物の話を鵜呑みにし過ぎている。悪巧みする人間の話や考えを疑うという事をしない。宇宙では性善説なんて絶対に有り得ないんだよ。簡単に人を信じるな、さ。それにしてもだ、宇宙にはバカしかいないのか。このマンゲリラ・チンゲリラ大王も大嘘つきさ。あんたは50年間も嘘つきだったよね」と白いブリーフを履いたオッサンは言って4649ちゃんに体を向き直した。
「オッサン、あ、あ、あんたは救世主だ。独裁者が自ら新型ワクチン接種を望んで死んだ。あんたは一瞬で独裁者と独裁政権を崩壊させた。あ、あんたは救世主だ」4649ちゃんは体の震えが止まらずにいた。
「いやいや、救世主だなんて。照れるっス。単なるオッサンですから」と白いブリーフを履いたオッサンは手を振りながら謙遜した。
「あんたの名前は?」4649ちゃんはメモ帳を開いて言った。
「いやいや。名乗るほどの者じゃないッス。照れるなぁ」と白いブリーフを履いたオッサンは顔を真っ赤にして言った。
「あっ、そうだそうだ。記者さんたちよ、さっき撮影したカメラ、消却してくれよ。消却しなければ、最悪だよ。記者さんたちの顔は全部覚えたから。もし、写真や映像を世間に発表したら、こうなるから」と白いブリーフを履いたオッサンは優しい声で言うと、縮んだままのボディーガードたちと兵士たちを踏み潰し出した。
「は、はい」と40人の記者たちはカメラを取り出して急いで消却を始めた。
「じゃあね。早くえりかちゃんの復帰記者会見に行かないとさ」と白いブリーフを履いたオッサンは言うと東の宇宙に向かって飛んで行った。
「オッサンもえりかちゃんのファンか。それにしてもただ者ではないオッサンだな。念のために調べてみるか」と宇宙ネットワークの新人記者、4649ちゃんは呟いて、飛び去る白いブリーフを履いたオッサンの汚い背中を見つめていた。
☆続いちゃう☆
(作画 七海 糸様)
白いブリーフを履いたオッサン、かなり強い魔法使いですね。強力な魔法使いかもしれません。「キャプテン・ミルクと関わる重要な人物とだけ言わせてもらおうかな」との驚異的な発言を残して、東の宇宙空間へ飛び去った謎のオッサン。
久しぶりの投稿でした。
ありがとうございました。




