人影とワルツ
(作画 ひだまりのねこ様)
(作画 七海 糸様)
(作画 茂木多弥様)
「トム、どうだい? レーダーに人影は映っちゃってる?」厳しい顔付きでレーダーを見ていたトムは苛立っていた。
「あっ、キャプテン・ミルク、人影は映っちゃってます。怪しいさ満杯で映っちゃっていて、バズーガー砲でぶっ飛ばしたい所だけど、ジャム将軍に気付かれたらオジャンだし。どうします? キャプテン・ミルク?」
「よし、俺が話す」キャプテン・ミルクはスペース・メガホン・ストレート版を使って人影に話し掛ける事にした。スペース・メガホン・ストレート版とはコンパクトでストレートに相手の耳たぶに向かって届く優しくて切ないメガホンのことである。
「おい、七生・素直・リアルラヴ・スターダストとやらよ。わざわざお忙しい中、御苦労様です。乗組員大募集中の記事は半年前の記事なので現在募集はしておりません」とキャプテン・ミルクは丁寧に断りを告げた。
「アンタは誰さ?」嫌でもレーダーに映っちゃう人影は腕を組んでファンタジー・ドラゴン号に近付いてきた。
「ストップだい! それ以上近付くと撃つよ。ドカンと一発、ミサイルを撃つよ!」キャプテン・ミルクはミサイルボタンに上に指を置いた。
「アンタは誰さ? 教えてけれよ?」
「キャプテン・ミルクだ」
「マジでマジでマジで!? 憧れのアンタを探しに探して探し続けたんです! 就職活動中です! 僕を雇ってください! 宜しくお願い致します! 好きな食べ物は八朔です!」七生・素直・リアルラヴ・スターダストは必死にアピールをした。
「八朔!? 渋いねぇ」
「他には金平牛蒡です!」
「金平牛蒡だって!? これまた渋いね! 君は渋いねぇ!」
「ありがとうございます。他にはお吸い物やイカの塩辛、ピーマンが好きです! セロリとレタスは苦手です!」七生・リアルラヴ・スターダストは苦手な食べ物を思いを浮かべて口に手を当てた。
「好き嫌いなく食べてください。セロリとレタスを克服する勇気を見せて欲しいです。食べることが出来ますか?」恐ろしきキャプテン・ミルク! まさか苦手な食べ物を食せよだなんてさ、恐ろしき!
「いや、ちょっと無理」七生・リアルラヴ・スターダストは一気に吐き気が出てきた。
「好き嫌いある子は立派な大人になれません!」キャプテン・ミルクはいつになく厳しかった。
「白状します。白滝や漬物も苦手なんです。でもね、乗組員にしてくれるなら克服したいです!」七生・素直・リアルラヴ・スターダストは頑張って言ってみたが足は極度に震えていた。
『白滝、漬物、レタス、セロリが怖い。物凄く怖い』七生・素直・リアルラヴ・スターダストは歯をくいしばり耐えていた。
「頑張ってもらいたい。そこだけは頑張って欲しい所です」キャプテン・ミルクは食べ物の有り難みを人一倍知っているので簡単に拒絶する事を許せなかった。
『食べもせずに好き嫌いだけで食べ物を判断したら、結局、人や宇宙人も見た目だけで判断する奴になっちまう。宇宙ではね、心開く奴になってもらわにゃ困るんだい!』とキャプテン・ミルクは思いながらレーダーに映っちゃってる人影と話した。
「掛け算は得意か?」キャプテン・ミルクはいきなり数学の話をし出した。
「えっ!? いや、4と7の段が凄く苦手です!」七生・素直・リアルラヴ・スターダストは悔しさでいっぱいだった。まさか、ここにきて掛け算の話が飛び出るとは!
「映画は好きかい?」
「はい! 映画マニアです!」
「ほほう! 好きな映画は?」
「『溢れる秘匿の夢物語、禁断の対決が遂に実現! あばずれ対未亡人 怒りのデスマッチ』です!」
「聞いたことない。何のジャンルかは察するけれどもね、今はね、ちゃんとした映画の方の話をしているんだよ!」
「あっ、すいません。『E.T.』です! 好きなセリフは『E.T.、家、電話』と『エリオット~!』です! 何度も見ている映画です!」
「ほほう! なかなか見所があるぞ! 他に好きな映画は?」
「『エクソシスト』です! 一時期、リーガンに激しく恋をしていました!」
「ほほう! 七生・素直・リアルラヴ・スターダストくん、良い趣味だな。リーガンは頑張ったよな!」
「はい! リーガンは大変だったけど頑張っていました! もし映画の中に入れるならリーガンを助けにいきたいです! あの悪魔をボコボコにしたいです! 僕なら出来ます! ヤツに勝てます!」
「魔法を使えるとか?」
「はい! 空を飛べて、見えない世界を見通す千里眼があって、地面を深く潜れます!」
「よし、君は渋いし、頑張り屋さんだし、真面目だから、その頑張りに免じて合格とします! おめでとう! 今日から乗組員だよ! ただし、好き嫌いを早急に克服せよ! あと3つばかり質問するよ」
「はい!」
「コロンボとシャーロック・ホームズはどちらが優れていると思う?」
「個人的にはコロンボです! コロンボはヤバいです! あんなに手強いヤバい人間はいません! ホームズは優れてはいますが多少屈折していて素直な奴には見えません!」
「なるほど」
「コロンボにはカミさんがいますが、ホームズにはいません! 僕は家庭がある男性のマジな強さというのを凄く知っていますので、ホームズの大人になりきれていない面が、かなり気にくわない所の1つです!」
「なるほどね。二つ目の質問だ。右ききと、左利き、どちらが優れている?」
「個人的には左利きだと思います! 理由は左利きはカッコいいからです!」
「どうカッコいいの?」
「左利きは個性的でエキセントリックに見えてカッコいです!」
「最後の質問だ。君は宇宙をどう思う?」
「宇宙は広いし、凄く頼もしいなぁと思っています! いつか宇宙にも酸素でいっぱいに満たしたいです!」七生・素直・リアルラヴ・スターダストは全力を出して疲れはてた。
「ところでファンタジー・ドラゴン号の姿は見えているのかい?」
「はい! 丸見えです! あんな所や、こんな所まで、モザイクやボカシなしでハッキリと鮮明に丸見えです!」
「キャプテン・ミルク! キャプテン・ミルク! 大変だわ! ごめんなさい!」と突然パステル純が叫んだ!
「どうしたのよ! パステル純よ!?」キャプテン・ミルクは後ろを振り向いて言ったがパステル純は横にいた。
「この2週間、ずっとファンタジー・ドラゴン号の透明化ボタンを押し忘れていました! ごめんなさい! ごめんなさい! ごめんなさい! 今からウンコしてきます!!」とパステル純はお尻を押さえながら謝った。
「ズゴッ!!」とキャプテン・ミルクは言ってコケた。
☆続いちゃう☆
(作画 七海 糸様)