男のロマン
(作画 ひだまりのねこ様)
(作画 七海 糸様)
「ちょっと待って! ちょっと待って! あんた大丈夫? あんた~! ヒドイ目に合っちゃって可哀想に。ちょっと! おい、そこの薄汚いクソジジイ! よくも家の旦那にヒドイ事をしてくれたわね!」突然、会見場に裸エプロン姿の主婦が走って現れた。
会見場にいる800人の記者たちの熱気が灼熱と化し、ボルテージが一気に上がるのが感じられた。
創刊443年の大御所月刊誌「俺は強い豪快だ。ダハハハハ。掛かってこい。逃げも隠れもせん!」の編集長ダンディー・パイオニアは裸エプロンの主婦を睨み付けた。
裸エプロンの主婦は身長153センチ、体重78キロくらい、ふくよかすぎるスタイルの三段腹、膝頭が黒ずみ、脛に傷跡があった。大仏パーマを掛けていて右手にフライパンを持っていた。全裸で下着は付けていなかった。お尻に虫に噛まれた跡が見えた。横乳は見えていたが乳首は隠れていた。
「何だ? ババア?」と椅子にふんぞり返るダンディー・パイオニア編集長は腕を組んで裸エプロンの主婦を見上げていた。
「私は高橋名匠の妻です。高橋ワンパキ子と申しますぅ」裸エプロンの主婦、高橋ワンパキ子は意識を失っている高橋名匠の頭を撫でていた。
「そのカッコは何だ?」とダンディー・パイオニア編集長は言って薄ら笑いを浮かべていた。
「裸エプロンよ。文句あって?」
「ブヨブヨしたみっともない体して裸エプロン姿は恥ずかしくないのか?」
「人に暴力を振る愚かなあんたに言われたくないわね。恥ずかしいのはあんたの方よ!」
「何だと?」
「家の旦那は私の裸エプロン姿が大好きなんです。毎晩、私は裸エプロンで晩御飯の支度をしているんです。『ワンパキ子ちゃん、裸エプロンはね、男の夢がつまっているんだよ~』と新婚当時から言われていて、旦那の夢を叶えてあげたい、旦那のロマンを信じてあげたい、という私の健気な気持ちから裸エプロンを長年維持しているんです。若い頃の私は裸エプロンが似合っていて、めちゃめちゃスタイルも良かったから、毎晩、裸エプロンの私は旦那にベットに押し倒され続けて胸がときめいたし股間がジュンとしていたけれども、子供を5人も生んでからは裸エプロン姿の私に対して「寒くないかい? 大丈夫かい?」と労われるようになりました。そんな優しい旦那に暴力を振るうとはさ!! もうね、家の旦那はあんたの会社を辞めさせますから。何が創刊443年よ、バカみたい。400年以上も悪徳まみれのブラック企業のクセしてさ!」
会見場にいる800人の記者たちは静まり返って高橋ワンパキ子とダンディー・パイオニア編集長のやり取りを見守っていた。
「何だと!? 奥さん、あんたを抹殺するぞ!」
「やれるもんならやりなさいよ! あんたみたいなワンマンタイプ、独善的で自分勝手な独裁者にビビる私ではないわ!」
「テメェ、女だからって甘くみているとナメ事ばかりほざきやがって!」ダンディー・パイオニア編集長は椅子から立ち上がろうとした瞬間だった。高橋名匠の妻、裸エプロン姿の主婦、高橋ワンパキ子は右手に持っていたフライパンでダンディー・パイオニア編集長の頭を思い切り殴った。
「あたぁぁぁぁぁー!!」とダンディー・パイオニア編集長は頭を押さえて床に座り込んだ。頭から血が噴出していた。
「食らえ! この糞ジジイ!」と高橋ワンパキ子は叫んでフライパンでダンディー・パイオニア編集長の頭をしつこく殴り続けた。
「あたぁぁぁぁぁー!!」とダンディー・パイオニア編集長は悲鳴をあげながら逃げ回った。
「待てこの糞ジジイ!」と高橋ワンパキ子は走って追い掛けたが不思議な事にエプロンは翻ることなく微動だにしなかった。
「待って待って待って待って待って。俺は凄い大御所なんだよ!」と血まみれで逃げ惑うダンディー・パイオニア編集長は後ろを振り返りながら叫んだ。
「だから何よ糞ジジイ!! バカでないの!!」と高橋ワンパキ子は恐れ知らずの返事を返した。
「ちょっと待って待って待って待って待って。俺は大御所中の大御所なんだよ! 業界を牛切る俺が怖くないのかよ!」
「全然全く怖くない!!」
「ちょっと、待って待って待って待って待って待って待って待って待って! 俺は頭が痛いんだよ!!」
「だから何!! やられたらやり返す!! それが私のモットーなんです!! 家の旦那の仇を取る!!」
高橋ワンパキ子は鬼の形相でダンディー・パイオニア編集長を追いかけ続けた。
☆続いちゃう☆
(作画 七海 糸様)




