マサ子
「あっ、またもや赤電話です! 誰からでしょうか? 出ますね。もしもし?」割り箸で鼻先をいたぶられて見事なまでに男として全宇宙に恥をさらした銭湯乃湯船内モラスンは話を変えたくて赤電話に出た。
「もしもし、こちら『7特殊部隊』の宇宙隊長、マサ子だ」
ここで説明しよう。『7特殊部隊』は全宇宙最強クラスの特殊軍隊だ。つまり、宇宙モツァレラ・酸っぱい・スパイス・スパイ局のライバルであり、大宇宙警察よりも立場が上で強い軍団なのだ。膨大な数の組織があるが、中でも大宇宙で強い組織のランキングをコソッと教えちゃおう。
1位 宇宙モツァレラ・酸っぱい・スパイス・スパイ局
2位 7特殊部隊
3位 大宇宙警察
4位 ブルーパンツ乙女組
5位 チチ・チチ・グループ
この五大組織が今のところ大宇宙を守っている指折りの強い組織なのだ。ちなみに先ほどの森本チン太・グイーングイーングイーンのいる組織『『輝く未来の脱糞エネルギー暗黒組』はランキング外だ。奴がほざいた嘘の組織であろう。1ミリも存在しない組織である。
「はあ、とんでもないお偉いさんからの赤電話です! マサ子さん、女性の方なんですか? まさか女性の宇宙隊長がいるだなんて! 信じられないです! 50世紀になっても辛うじて男性優位宇宙社会なのに」銭湯乃湯船内モラスンは失言したことに気付いてはいなかった。
「お前、ふざけるな! 女性の社会であり男性の社会でもあるんだよ! お互い様の社会を合わせて大宇宙社会は成り立っているんだよ! 時代錯誤のふざけた発言をするなら家賃無しの牢屋にブチこむぞ!」と7特殊部隊の宇宙隊長、マサ子は怒鳴った。
「マサ子さん、すみませんでした。気分を悪くしたなら謝ります。早く気分爽快になってください」と銭湯乃湯船内モラスンは赤電話の受話器を持ったまま撮影キャメリャに向かって頭を下げた。
「分かれば宜しい。マラカス貴子さんに代わってくれますか?」と直ぐに冷静さを取り戻したマサ子は言った。
「はい、了解しました」と銭湯乃湯船内モラスンはマラカス貴子に歩み寄り赤電話の受話器を渡した。
「もしもし、私はマラカス貴子です」
「マラカス貴子さん、初めまして、マサ子です」
「初めまして」
「早速なんですが、我が7特殊部隊に入りませんか?」
「えっ?」
「マラカス貴子さんの度胸が気に入りました。一緒に大宇宙の平和を守りましょう」
「でも私は地方の売れないアイドルなんです」
「なら話が早い。さっさとアイドルは諦めて我が7特殊部隊に入れば直ぐにトップに登り詰められますよ。あなたの血の気の多さが必要なんです」
「こ、こ、困ります」
「何故ですか?」
「私はアイドルになりたくて上京してきたんです。最初はアイドルになってチヤホヤされたかったのですが、全然、チヤホヤされなくて。諦めかけていた時にテレビラリン・チュラララリンで愛星・サマー・えりかちゃんに出逢ったんです。『えりかちゃんに認められるようなアイドルになりたい!』と思い始めてからは、ポジティブになれたんです」
「なるほど。我が7特殊部隊は、今、その愛星・サマー・えりかちゃんを捜索する命令が下されたばかりなのです」
「えっ?」
「一緒に愛星・サマー・えりかちゃんを見つけ出しませんか?」
「マサ子さん、困ります」
「力を貸してください」
「困ります」
「解りました。素敵なアイドルになれるように御祈り致します。マラカス貴子さん、頑張って下さいね」
「はい、マサ子さん、すみません」
「いえいえ。大丈夫です」
「あのう、マサ子さん、愛星・サマー・えりかちゃんはわたくし個人でも探してみても大丈夫ですか?」
「構いませんとも。今、あらゆる方々が捜索に乗り出しています。7特殊部隊やブルーパンツ乙女組もね。何か分かれば私に連絡を下さい」
「はい、マサ子さん、すみません。どうもありがとうございます」
「それに7特殊部隊に入りたくなったらもね」
「へへへ。はい」
「それじゃ、銭湯乃湯船内モラスンに代わって」
マラカス貴子は赤電話の受話器を銭湯乃湯船内モラスンに手渡した。
「おい! 女性蔑視や差別をしたらブチ込むからな! 覚えていろよ、ハゲ!」と7特殊部隊の宇宙隊長、マサ子は怒鳴った。
「はい、すみません」と銭湯乃湯船内モラスンは撮影キャメリャに向かって再度頭を下げ続けた。
☆続いちゃう☆
女は強し✨