うんばらぼー、と笑う
「お姉ちゃん、無事にサスランポンチ巣が回復しました。本当にありがとうね」
「よかったな。あんた今から何処に向かうのよ?」
「ちょっと待ってくれ。お姉ちゃん、その前に聞きたい事がある」
「なによ?」
「お母さんの話だよ。お姉ちゃん、お母さんが携帯黒電話では言えない話ってなんなのよ?」
キャプテン・ミルクのお姉ちゃんはニヤニヤし出した。
ニヤニヤニヤニヤしっぱなした後、お姉ちゃんは、薄ら笑い、吹き出し笑い、ニヒルな笑い、意味ありげな笑い、皮肉な笑い、アイドルぶりっ子笑い、切な気な笑い、バカ笑いを繰り出した。
「むひょひょひょひょ。だははははは!」とキャプテン・ミルクのお姉ちゃんは品のない笑いをした。
キャプテン・ミルクは思った。
『こんなに、まぬけ面してアホみたいに笑ってばかりいる笑い上戸だから嫁に行き遅れるんだよ』とキャプテン・ミルクは思いながら黙って見ていた。
「だだだだだーっ。ぱふぁふぁふぁふぁーっ。すはははははっ。ガハッ。うんばらぼー。ひょひょひょひょひょ。うんばらぼー。うんばらぼー。うんばらぼー」とキャプテン・ミルクのお姉ちゃんは意味不明な語源を発して笑いまくりながらスキップしていた。
「お姉ちゃん、笑いすぎだって! 早く教えろよ」
「私の口からは言えん」
「何でよ?」
「言えんから言えんのだ」
「教えろよ!」
「言えんのだ」
「久しぶりに再会したんだから教えろって!」
「言えんのだよ。ワトスン君」
「はい?」
「ワトスン君、いや今夜は極めて危険な場所に行くんだよ、ワトスン君。ワトスン君、僕はねライヘンバッハの滝壺には落ちずに、一泳ぎしたから助かったのだ。背泳ぎだ。濡れたままのカッコでダートムア高原に行き、変な犬に餌付けしてきたのだよ、ワトスン君」とキャプテン・ミルクのお姉ちゃんは意味不明な言葉を発してから「モリアーティのバカ野郎!」と叫びポケットから本を取り出してキャプテン・ミルクに見せびらかした。
「お姉ちゃん、何の本よ?」
「『シャーロック・ホームズの冒険』と『シャーロック・ホームズの思い出』って本よ。お姉ちゃんね、探偵になるから。探偵になって悪い奴をボコボコにするんだ」とお姉ちゃんは目をキラキラさせながら言った。
「『シャーロック・ホームズの冒険』? 『シャーロック・ホームズの思い出』? 全く知らん。お姉ちゃん、探偵になる前にお母さんの話だよ。お母さん、何の話なんだよ?」
「言えんのだ。ワトスン君」
「ワトスン君って誰よ?」
「シャーロック・ホームズの友達」
「あっそう。本の話は分かったからさ、お母さんの話をしようよ」
「ラメタップだ」
「はい?」
「エ・タール!!!! お姉ちゃんの好みのタイプはエ・タールだ!!!!」
「もう! うるさいなぁ! 今度は何よ?」
「じゃあ、お姉ちゃんは帰宅するからね、バイバイ」
キャプテン・ミルクのお姉ちゃんはキャプテン・ミルクの話を遮りバタバタしながら自家用愛船『チョコミルクたん号』に飛び乗りクラッキチュンチュン(宇宙船についてる警報音)を鳴らした。『チョコミルクたん号』はピンク色の煙を出しながら宇宙へ飛び去った。キャプテン・ミルクのお姉ちゃんの運転は荒いが運転技術は、なかなかのモノがあるのだった。
「まったく。毎回、お姉ちゃんの誤魔化し方は奇抜すぎるんだよ。ラメタップ、エ・タールって何なのよ。全く意味がわからん。もう何か疲れた」とキャプテン・ミルクは言って、お姉ちゃんが置き忘れた『シャーロック・ホームズの冒険』と『シャーロック・ホームズの思い出』を手に取りページを開いた。
☆続いちゃう☆




