翻弄されず、一々反応せず、何を言われても全く動じない男
揺れが収まるとキャプテン・ミルクは、運転席、またはコックピット、またはワイワイ集いのメッカまで一直線にダッシュした。
「モモヒキ聡、パステル純! どうした!? 一体何事だ!?」キャプテン・ミルクはモモヒキ聡とパステル純の胸ぐらを掴んで強く揺さぶりながら言った。
「キャプテン・ミルク、ファンタジー・ドラゴン号の前に、突然、不審な宇宙船が横入りしてきて煽ってきたんですよ。何ですか、あのちんちくりんな宇宙船は!」とモモヒキ聡は言った。
キャプテン・ミルク前を向いて暗黒の宇宙を見た。
ちんちくりんな黄色の宇宙船が停船していた。
ちんちくりんな宇宙船の後部には何か書かれた旗が風もないのに、無理くりして、はためいていた。
『淫乱上等、酒乱天下、悪妻自覚、弱者差別主義者、前張りヒロコ参上!』と書かれてあった。
「前張りヒロコ? 一体誰だ? 女か?」とキャプテン・ミルクは言ってちんちくりんな黄色の宇宙船に向かって「どでかいメガホン」を使い前張りヒロコとやらに話し掛けた。
「前張りヒロコとやら、邪魔だ。どけ!」
「うっさいボケ。私の宇宙船を煽りやがってよ! 和解として高額金をよこせ!」
「前張りヒロコとやらよ、淫乱なのか?」
「ああ淫乱だよ! 文句あるのか?」
「前張りヒロコとやら、酒乱なのか?」
「ああ、酒乱さ! 私の話を聞いてくんないかい?」
「なんだ?」
「私はね悔しいのさ。昔から憎まれていたからね。毎日、酒を飲んで暴れてるのがどこが悪いって言うんだい! 私はネグレクトでもあるんだしさ! 畜生め! あんな子供なんか生まなきゃ良かったよ。クソッ。早めに中絶すれば良かった。子供がいたら私の時間が失くなるからね。対して好きでもない一夜限りの関係を持った男の子供だからね。毎日、子供の顔や性格が男に似てきて憎らしいのさ。先日、私の子供を、ある惑星に住む組織に売ったんだよ。はした金でね。酒の金にもなりやしないんだよ。「お母さん、お母さん、行かないで! お母さん!」と子供は泣きながら言って私の足を掴んで離れなかったけど、蹴り飛ばしてやったさ。邪魔な子供、望まれていない子供だからね。私って淫乱だから仕方ないけれどね。また一夜限りの関係をして妊娠したら中絶するよ。私って淫乱だから頭が悪いのさ。子供なんて親のペットみたいなもんさ。いやアクセサリーかな。親のエゴを満たすために子供を作るんだ。とにかく、子供のせいで私の時間が失くなるのが1番困るんだよ。私にとって子供は迷惑な存在なのさ。全ての女性はさ、子供を生めない体に去勢すればいいんだ。子供のいない世の中を想像しなよ。静かで素晴らしいだろう? 子供は面倒くさい生き物なのさ」
「前張りヒロコよ、とにかく邪魔。消えろ!」キャプテン・ミルクは迷わずにちょっとしたミサイルを撃った。
ちんちくりんな黄色の宇宙船は爆発した。
前張りヒロコは死んだ。
「よし、イカれた邪魔者は消えたぞ。皆の衆、迷わず出発進行だい!」とキャプテン・ミルクは言って乗組員に簡単な指示をすると自室に戻った。
キャプテン・ミルクはソファーに座ってサスランポンチ巣について考えた。
『サスランポンチ巣か。うーん、素晴らしいエネルギー源であるのは確実に間違いないが、減りも早い。減りが早いと切迫感がでちゃうから神経質になっちゃう。神経質になると気が張り詰めちゃうから気持ちが澱んじゃう。澱んじゃうと気持ちが散漫になっちゃう。かえって悩みすぎて変に気にしちゃう。気にしちゃうと、もっともっと気にしちゃう。気にしないようするには気にすることを気にしないようにすることだ。つまり、気にすることを気にしないようにしようという話になってきちゃうわけ。サスランポンチ巣を増幅させる技術があれば良いがそれはズルだからいけないね。不正はいけない。サスランポンチ巣よりも、新たなエネルギー源の開発、発掘、生み出す時期なのかもしれないな』とキャプテン・ミルクはふんふん言いながら考え込んでいた。
キャプテン・ミルクは前張りヒロコについて微塵も心に留めていなかった。
イカれた考えを持つ者に対して、聞き耳を持つ必要性が全く無いからだった。イカれた考えを持つ者の屁理屈とは、単なる雑音、すかしっ屁、ゲップ、寝言、歯ぎしりと同じ、同一と見なしているからなのだった。
一々、くだらない考え方に出会って翻弄されたりする時間が無駄だからでもあった。戯言、妄言、思い込み、勘違いのせいで、愚かな思考に染まりたくないのも一因であった。イカれた考えを持つ者は大体人のせいにする事が多い。自分の事を棚に上げて人のせいばかりにする。まさに愚者。愚者はぐしゃっとした性格なのだ。何でも人のせいにするなよとキャプテン・ミルクは基本的に考えるタイプのman。
キャプテン・ミルクは決して悪い輩や悪い連中の色には絶対に染まらない男なのであった。変な考え方に反応するのも時間の無駄だと割り切っちゃってる男でもある偉い子ちゃんなのだ。動じない男、キャプテン・ミルク! ビバ、キャプテン・ミルク! ファンタスティック、キャプテン・ミルク!
翻弄されず、一々反応せず、何を言われても全く動じない男、それが我らのヒーロー、キャプテン・ミルクなのだった。
ジリリリリン
キャプテン・ミルクの携帯黒電話が鳴った。
「はい」
「ミルク?」
「はい? 誰だ?」
「姉ちゃんだよ」
☆続いちゃう☆
翻弄されず、一々反応せず、何を言われても全く動じない男って、ナウいじゃん!✨✨✨✨✨