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おちょぼ口

  挿絵(By みてみん)

 

  挿絵(By みてみん)

 

 

 

 

 「トム、喋れるか? 体調は大丈夫なのか? どうやってランニング巾着沈坊の魔の手から脱出できたんだ? 山胸豆子は?」キャプテン・ミルクは『凍てつかないでよ! 何でそんなに凍てつくのよ? そこまでして凍てつかないで。いちごミルクちゃん2』を飲みながら言った。

 

 「喋れるかと言われたら喋れるけども、なんせ歯を5本も失ってますので、おちょぼ口でなら話せます。おちょぼ口だと発音もクオリティーも高いです。キャプテン・ミルク、おちょぼ口で失礼します。あとは熱っぽくて。顔中痛くて」トムは血の涙を流しながらおちょぼ口で悲惨な現状を訴えた。

 

 「トム、おちょぼ口で良いよ。おちょぼ口で自分の気持ちを伝えてくれ。体温計がフロントにあるから図ってみろ」キャプテン・ミルクは体温計を持ってくるとトムに渡した。

 

 「はい」とトムはおちょぼ口で言って、左脇の下に体温計を入れるとボーッとした。

 

 「どうだ?」

 

 「まだ音がしてません」

 

ピピピッ

ピピピッ

ピピピッ

 

 「あっ、キャプテン・ミルク、平熱以下ですね。34.8℃です」とトムは品よく見せるタイプのおちょぼ口で言うと、光に反射して見えにくい体温計の数字を再度しかめっ面で確認をした。

 

 「あらららら。ずいぶんと低いんだねぇ。トム、普段からそんなに体温が低いのかい? そんな体質だったの?」

 

 「普段から低いですね。体温は低いのに火照りやすい体質でもあります。特に顔中が火照りやすいですね。体温が低いために頻繁に頭痛、肩こりを起こしてます」とトムは、おちょぼ口で言うと、腫れ上がっている顔でニカッとオシャレなManみたいに微笑んだ。

 

 「痛々しい顔だなぁ。トム待ってろ」とキャプテン・ミルクは言ってテレパシーで青空ウイングス子と工藤・サンセット・まなみを呼び寄せた。

 

 「キャプテン・ミルク、どうしました? あららららららら? あんた誰よ? 顔が変形しているわよ」青空ウイングス子はトムに駆け寄った。

 

 「トムです」とトムはおちょぼ口で言った。

 

 「ウイングス子、突然呼んでアレだが、トムの顔を治してほしい」

 

 「キャプテン・ミルク、分かりました。まなみ、手伝ってね」

 

 「師匠、了解です」工藤・サンセット・まなみはトムの顔を触った。

 

 「師匠、トムさんの顔が陥没骨折しています。頬骨と鼻骨と眉弓骨です」

 

 「あんた派手にやられてるわねぇ。よし、治したるわい!」青空ウイングス子は目を閉じて深呼吸をすると魔法の言葉を唱え出した。

 

 「2度目のカラワイフォニェーン!!」と青空ウイングス子は叫ぶと両手をトムの顔に当てた。

 

 トムの顔が一気に元に戻っていく。傷跡が消えてアオタンも消えて腫れ上がっていた顔が艶やかかな肌になっていく。陥没骨折していた部分が元の骨に戻っていく。が?

 

 「あらっ? トムってこんな顔だったっけ?」青空ウイングス子は治療魔法の最高峰『カラワイフォニェーン』を満遍なく顔に掛けすぎたのでトムの顔がティーンエイジャーみたいに若々しくなっていた。

 

 「ウイングス子、鏡を見せてよ」とトムはおちょぼ口で青空ウイングス子に言った。

 

 「はい」青空ウイングス子は化粧鏡をポケットから取り出してトムに渡した。

 

 「この顔は僕だけどもね、かつてティーンエイジャーの時に修学旅行に行った頃のヤングな僕だ。久しぶりに昔のヤングな自分を見たなぁ」トムは腫れ上がっていた顔から晴れやかな顔になっていた。

 

 「どうするトム? しばらく、このままにしても良いかい?」と青空ウイングス子は言った。

 

 「いやいや、今の僕の顔に戻してよ。ティーンエイジャーの時の、この未発達な顔は僕の過去の顔だから」トムはおちょぼ口のまま焦った。不甲斐ないティーンエイジャーの自分になんて絶対に戻りたくもないのに。

 

 「トム、しばらくこのままにしなさいな。あまりカラワイフォニェーンをさ、顔に掛けすぎても良くないからね。自然に元に戻っていくから」と青空ウイングス子は言った。

 

 「困るなぁ、ウイングス子」トムは仕方ないと思いながら照れ臭そうに顔を赤らめて、おちょぼ口で言った。

 

 「トム、一体どうやって、ランニング巾着沈坊から逃れてきたんだ? 山胸豆子はどうなった? キーポイントは豆子だな!」

 

 「はい。山胸豆子に助けてもらいました」

 

 「豆子はどうしたかも聞かせてくれるかい?」

 

 「はい。全て話します」トムはソファーに深く座ると『凍てつかないでよ! 何でそんなに凍てつくのよ? そこまでして凍てつかないで。いちごミルクちゃん2』を飲んでから息を吐いた。

 

 「僕は顔の痛みで目覚めると、鼻腔に生臭い臭いを感じました。天井から水滴が落ちてきて僕の頭に当たっていました。『ネズミタンでちゅよん』(説明しよう。『ネズミタンでちゅよん』はEARTHのネズミとほとんど一緒だお!)がチューチュー言いながら床を走り回っていました。『全てが臭いわ。どうやら地下室らしいな』と思い、自分の置かれている状況を把握しようと必死に考えました。身動きできない状態、体がロープで椅子に縛り付けられていて、足に鎖、手には手錠、更には目隠しされて、オマケに猿ぐつわもされていました。体をモジモジと動かしていたら『ようやく目覚めたようだな。貴様、ナニもんだ? キャプテン・ミルクとは、どういう関係だ?』とランニング巾着沈坊が僕の顔や体をムチでシバキながら言ってきました。頭にキタので魔法でぶっ飛ばしたいところでしたが、猿ぐつわに手錠ですからね。隙をみてこの2つを外さないといけない。隙を見たくても目隠しされてるから隙を見れない。外せない。頭にキタ、隙を見れない、外せない、頭にキタ、隙を見れない、頭にキタ、外せないという悲痛な自問自答の繰り返しでした。

 

 『そうだ! 良いこと考えたっ! テレパシーだ! テレパシーしかない!』と閃いたのでテレパシーをしました。こんな感じでね。

 

 『トムです。誰か応答願います。地下室なので、慣れないテレパシーが送りにくいのです。キャプテン・ミルク、応答せよ。返事なし。ダメかいな、じゃあ、月山コリーよ、応答せよ。ありゃりゃダメか。誰か、誰かいらっしゃいますか~?』とね。

 

 『トム?』と微かにテレパシーがあったので、『トムです。誰?』とテレパシーしたら『山胸です。山胸豆子です。トム、無事ですか? そこは何処ですか?』と豆子からテレパシーが来たんです! もうね、嬉しいのなんの。

 

 『豆子、地下室みたいなんだ。豆子は何処にいるんだ?』

 

 『トムの近くに来ていますが、ちょっと居場所が分かりにくくて。トムの「居場所通信サービス・システム・M3・フリー・厳密・局地的・テクニカル・メカニズム」がトムの左手の小指の爪に装着されているので、もう少し待ってくださいませ』といつも真面目な山胸豆子はいつも通りの真面目な顔をして真面目な声で言ってきました。

 

 『そうだった! そんなシステムがあった!』と大声でテレパシーをしたら、『うるさい!』と豆子に怒られちゃいました。テヘヘヘ」とティーンエイジャーの顔したトムは、おちょぼ口で言った。

 

 

 

 

   ☆続いちゃう☆

 

 

 

 

  挿絵(By みてみん)


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