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『凍てつかないでよ! 何でそんなに凍てつくのよ? そこまでして凍てつかないで。いちごミルクちゃん2』

  挿絵(By みてみん)


  挿絵(By みてみん)



 

 

 「これでしばらくは、お母さん、姉ちゃん、爺ちゃんからの連絡はないのだい! あはははは」キャプテン・ミルクは、一旦、携帯黒電話をテーブルに置いて部屋を出た。

 

 キャプテン・ミルクはコックピットに行くと「キャプテン・ミルク! ただいま、戻りました!」誰だか分からない全体的に不潔すぎて汚ならしい男が敬礼したままキャプテン・ミルクの前にやってきた。

 

 「貴様! 止まれ! 誰だ? 何処から侵入してきたんだ?」キャプテン・ミルクは身構えてから正体不明の男に怒鳴った。

 

 「キャプテン・ミルク、私です。私です」正体不明の男は崩れ落ちるようにしてソファーに座った。

 

 「そののの、その、その声は、ト、ト、トム!! トム、すっかり人相が変わり果てちゃって!! トム、大丈夫だったのか?! 一体どうやって脱出したんだ?」キャプテン・ミルクはトムの顔を見つめた。

 

 すっかりも何も、男前が台無しになってしまったトムの顔は無惨すぎて目を背けたくなるほどに悪夢的に腫れ上がって変形していた。怪我の状態は詳しくは説明しない。あまりにもショッキングな怪我っぷりだからだ。

 

 「トム、待ってろ。水、ミネラルウォーターを持ってくる」とキャプテン・ミルクは言って自動販売機に行こうとしたらトムの声がした。

 

 「キャプテン・ミルク、すみません。ミネラルウォーターじゃなくて、愛星・サマー・えりかちゃんが大手の会社とコラボレーションした限定期間販売のジュース『凍てつかないでよ。私に対してそんなに凍てつかないでよ。お願いだから凍てつかないで。いちごミルクちゃん』にしてください。限定販売なので、400ヘンドリモンドリします」トムは顔の怪我は酷いがちゃんと積極的に喋れたので良かった。

 

 「高いぞ。ミネラルウォーターにしろ!!」キャプテン・ミルクは決してケチではない。贅沢している場合ではないのに高めのジュースを飲みたいというトムのナメた態度にキレ掛かったのであった。

 

 「水はいつでも飲めますが『凍てつかないでよ。私に対して凍てつかないでよ。お願いだから凍てつかないで。いちごミルクちゃん』は今しか飲めないんです。お願いいたします」とトムは必死に食い下がった。

 

 「まったく、しょうがない奴だな。トム『凍てつかないでよ! 何でそんなに凍てつくのよ? そこまでして凍てつかないで。いちごミルクちゃん2』という新作もあるみたいだぞ」キャプテン・ミルクは戸惑いながら言った。

 

 「2本にしてください」遠慮しないのがトムの性格だ。トムは物怖じしないタイプの男でもあるのだ。

 

 「合わせて800ヘンドリモンドリもするぞ!! ミネラルウォーターにしろよ! 後で自分で2つ買えばいい話だから。とりあえず、ミネラルウォーターにする!! わかったなトム!!」実はキャプテン・ミルクは札束入りの財布を持ってきてはいなかった。小銭はあるのだ。

 

 「分かりたくないけど分かりましたと言っておきます。キャプテン・ミルク、すみません。後で自分で買い求めます」トムは腫れ上がった痛々しい顔でうつ向いてしまった。

 

キャプテン・ミルクはミネラルウォーターのボタンを押した。

 

「♪チ-ンチ-ンチーン

 アブナイ 土下座➰

 チーンチーンチーン

 アブナイ 土下座➰

 チーンチーンチーン

 アブナイ 土下座➰

 当ったり 土下座➰♪」

 

 「何だか機械の声がしているよ。当たったみたいだな」キャプテン・ミルクは動揺した。かつて飲料水の自動販売機で連続で当たりを引きまくった事があったのを思い出していた。

 

「なかなかやるなぁ。逞しいぞ!」と機械の声は偉そうに言った。

 

「じゃあ、『凍てつかないでよ。私に対して凍てつかないでよ。お願いだから凍てつかないで。いちごミルクちゃん』」を押したキャプテン・ミルク。

 

「♪チ-ンチ-ンチーン

 アブナイ 土下座➰

 チーンチーンチーン

 アブナイ 土下座➰

 チーンチーンチーン

 アブナイ 土下座➰

 当ったり 土下座➰♪」

 

「まただわ」キャプテン・ミルクは動揺した。幸運体質を発揮させたくないのに発揮しちゃっていた。

 

「じゃあ、『凍てつかないでよ! 何でそんなに凍てつくのよ? そこまでして凍てつかないで。いちごミルクちゃん2』にする」キャプテン・ミルクはボタンを押した。

 

「♪チ-ンチ-ンチーン

 アブナイ 土下座➰

 チーンチーンチーン

 アブナイ 土下座➰

 チーンチーンチーン

 アブナイ 土下座➰

 当ったり 土下座➰♪」

 

 「また当たりだ」キャプテン・ミルクは苦悩した。

 

 「キャプテン・ミルク、当たりが続く限り、愛星・サマー・えりかちゃんが監修した飲料水だけを選んでください。お願いいたします! 限定販売のジュースだから」とトムは頭を下げながら言った。

 

 「一応、そうするつもりだよ」とキャプテン・ミルクは恥ずかしそうに言うとボタンを小指で押した。

 

「♪チ-ンチ-ンチーン

 アブナイ 土下座➰

 チーンチーンチーン

 アブナイ 土下座➰

 チーンチーンチーン

 アブナイ 土下座➰

 当ったり 土下座➰♪」

 

 キャプテン・ミルクは少し後ろめたい気持ちになって『凍てつかないでよ! 何でそんなに凍てつくのよ? そこまでして凍てつかないで。いちごミルクちゃん2』のボタンを押した。

 

「♪チ-ンチ-ンチーン

 アブナイ 土下座➰

 チーンチーンチーン

 アブナイ 土下座➰

 チーンチーンチーン

 アブナイ 土下座➰

 当ったり 土下座➰♪」

 

 キャプテン・ミルクはどうにでもなれ~、という気持ちで『凍てつかないでよ! 何でそんなに凍てつくのよ? そこまでして凍てつかないで。いちごミルクちゃん2』のボタンを押すと。

 

「♪チ-ンチ-ンチーン

 アブナイ 土下座➰

 チーンチーンチーン

 アブナイ 土下座➰

 チーンチーンチーン

 アブナイ 土下座➰

 当ったり 土下座➰♪」

 

 6回も連続で当ててしまった。さすがにキャプテン・ミルクもトムも引きまくっていた。

 

 「キャプテン・ミルク、ありがとうございます。次はハズレてください」顔が腫れ上がっているトムは言った。

 

 「ハズレたい」とキャプテン・ミルクは呟いてから『凍てつかないでよ! 何でそんなに凍てつくのよ? そこまでして凍てつかないで。いちごミルクちゃん2』のボタンを押すと。

 

「♪チ-ンチ-ンチーン

 アブナイ 土下座➰

 チーンチーンチーン

 アブナイ 土下座➰

 チーンチーンチーン

 アブナイ 土下座➰

 当ったり 土下座➰♪」

 

 「トム、また当たりだわ。次はトムが押せ」とキャプテン・ミルクが言い終えた瞬間、自動販売機専用監視カメラのシャッター音が鳴り響くと同時に声が聞こえてきた。

 

 「はいはい、そこのお兄さん、動かないでよ。こちら自動販売機の警備会社からです」と自動販売機に設置されているマイク機能からハスキーボイスな声が聞こえてきた。

 

 「お兄さん、今さぁ、この自動販売機のボタン押して7回も当たりを出したけど違法で当てたんだよねぇ? 何か工具か機械的な物を使って不正な方法で当てたんでしょ?」とハスキーボイスの声が言った。

 

 「お前の名前は?」キャプテン・ミルクは自動販売機専用監視カメラを睨みながら言った。

 

「乱高下ゲネツザイです」

 

 「不正な方法はしていない。運で当てたんだ」キャプテン・ミルクは素っ気なく言うと引き当てたジュースをトムに向かって投げた。

 

 「嘘をつくな。今からガードマン会社ランスからガードマンが行くから待ってろ! お前を捕まえてやるからな!」とハスキーボイスの乱高下ゲネツザイは怒りまかせに言った。

 

 「乱高下ゲネツザイよ、お前を大宇宙警察署にブチこんでやるぞ!! 俺は忙しい!! 俺はキャプテン・ミルクだ!!」とキャプテン・ミルクは疲れた声で言い返した。

 

 「キャプテン、キャプテン、キャプテン・ミルクだと!? あー、ごめんなさい。 すみません! すみません! すみません! キャプテン・ミルクなら運で当てたと思います」乱高下ゲネツザイはハスキーボイスで謝り続けた。

 

 「でも本当にキャプテン・ミルクなんですか?」と乱高下ゲネツザイは怯えたハスキーボイスで言った。

 

 「本物だよ。何だか悪いね。7回も当たりを出しちゃってさ」

 

「いやいや、キャプテン・ミルクなら大歓迎です。どんどん当ててくださいよ」

 

 「『凍てつかないでよ! 何でそんなに凍てつくのよ? そこまでして凍てつかないで。いちごミルクちゃん2』ばかりを7回も押したけど良いかな?」

 

 「えーっ! 困りますぅ。限定生産なので8本しか入手出来なかった貴重なジュースなんですぅ。ボタンを押してもわざと出ない仕組みにしたりしたのに。どうして、出たのかな?」と乱高下ゲネツザイは戸惑いながらハスキーボイスで言った。

 

 「運です。俺の運で出てきたんだと思います」キャプテン・ミルクは自分の幸運体質を嘆いた。

 

 「キャプテン・ミルク、もう押さないでくれませんか? 他のジュースなら押しても大丈夫ですから。あと1本だけ『凍てつかないでよ! 何でそんなに凍てつくのよ? そこまでして凍てつかないで。いちごミルクちゃん2』を残して欲しいのです」乱高下ゲネツザイはハスキーボイスで懸命に心の底から訴えていた。

 

 「分かったよ。もう『凍てつかないでよ! 何でそんなに凍てつくのよ? そこまでして凍てつかないで。いちごミルクちゃん2』は押さないよ」

 

 「ありがとうございますキャプテン・ミルク。愛星・サマー・えりかちゃんが監修した限定生産のジュースなので手に入れるのに苦労したんです。『凍てつかないでよ。私に対してそんなに凍てつかないでよ。お願いだから凍てつかないで。いちごミルクちゃん』が7本分。『凍てつかないでよ! 何でそんなに凍てつくのよ? そこまでして凍てつかないで。いちごミルクちゃん2』が8本分しかなくてね。キャプテン・ミルク、『凍てつかないでよ。私に対してそんなに凍てつかないでよ。お願いだから凍てつかないで。いちごミルクちゃん』は大丈夫ですか?」乱高下ゲネツザイは心配そうに聞いた。

 

「『凍てつかないでよ。私に対してそんなに凍てつかないでよ。お願いだから凍てつかないで。いちごミルクちゃん』は1本だけ買った。残りは無事だよ」

 

 「ありがとうございます。ガードマン会社ランスからのガードマンも呼び方戻しますので」乱高下ゲネツザイはキビキビハキハキと言った。

 

 「そうしてくれ」とキャプテン・ミルクが言ったところでマイクは切れた。

 

 

 

  ☆続いちゃう☆

 

 

 

 

  挿絵(By みてみん)

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