キャプテン・ミルクはカッコいい
「トメさん、でかした! よく頑張ったぞ! ありがとう。後は俺と仲間たちに任せてくれ。トメさんと遥ちゃんは、この旅館に宿泊して体が回復するまで療養してくれ。費用の心配はいらん。俺が持つ。トメさんと遥ちゃんは、今、トイレにいる魔法使いで看護師の青空ウイングス子に任せる。何かあれば彼女に言ってくれ」キャプテン・ミルクはトイレ方面を見ながら言った。まだ青空ウイングス子はトイレから戻っていなかった。
「キャプテン・ミルクさん、いいんですか!? どうもありがとう。まさか憧れの安らぎと癒しのゆきあかり@温泉旅館に宿泊できるだなんて! まるで夢みたいです!」金木トメはラベンダー遥ちゃんを抱きしめて頬にキスをした。
「お婆ちゃん、くすぐったいよお~。きゃははは」嬉しそうに甘えた声を出すラベンダー遥ちゃんは金木トメの胸に顔をうずめた。
「はあ~、ちょっとしんどい。珍しく疲れたわ。久しぶりに使った魔法だからだね。はあ~」と青空ウイングス子は呟きながら猫背気味でトイレから戻ってきた。
「ウイングス子、ご苦労様。ありがとう」キャプテン・ミルクは青空ウイングス子の肩を叩いて労いの言葉を掛けると自動販売機へ行き『フレッシュ・リフレッシュ・リラックス、とっても美味しい選び抜かれたオレンジを搾って作った何らかのジュース』を買って青空ウイングス子に手渡した。
「キャプテン・ミルク、ありがとうございます。この何らかのジュース、美味しくて、今週だけでも8本も飲んでいます」青空ウイングス子は蓋を開けて一気に飲み干した。
「美味しい。少し体力が回復しました」と青空ウイングス子は言ったが顔色が青くてバテ気味なのは一目瞭然だった。
「師匠、私に任せてください。完璧に師匠の疲れを取ってみせます!」と工藤・サンセット・まなみは嬉しくなる言葉を青空ウイングス子に伝えると、数々の治療魔法を使ってきた偉大な師匠の温かい手を握り締めて、涙を堪えながら魔法の言葉を唱え出した。
「グワンサンバラ・アンダマ・パリププ、グワンサンバラ・アンダマ・パリププ、疲れた貴女を守りたいから、グワンサンバラ・アンダマ・パリププ、いくわよ! 『ぴょんピょ子ぴょんのピチピチぴょん』!」弱々しい師匠なんて絶対に見たくない、強く逞しく美しくてエレガントな師匠じゃなきゃイヤん、という強い思いから工藤・サンセット・まなみは『ぴょんピょ子ぴょんのピチピチぴょん』という癒し系の魔法を唱えた。(説明しよう。『ぴょんピょ子ぴょんのピチピチぴょん』という魔法は、医療関係者の間で最も使われている浸透力の高い基本的な緊急癒しの魔法なのだ。持続効果が1週間もあるという素晴らしい魔法でもあるんだよ)
「あらら!? あらいやだ。何か体がやたらと軽いわ。あらまぁ、何か驚いている自分がいて少しイヤだ。体が火照るカルフォルニアみたいな感じになってるんだけど。何コレ!? あらいやだ。急に踊りたくなってきた! ねぇ皆、ジャパンゴールデンウィークの伝統的なダンス、北海盆踊りをしちゃってもいい? 北海盆踊っちゃってもいいかしら?」青空ウイングス子は小さく回りながら手拍子を揃えて盆踊りの準備を始めた。
「ヤベェ、師匠に『ぴょんピょ子ぴょんのピチピチぴょん』を強めに掛けすぎたわ」と工藤・サンセット・まなみは頭を掻きながら照れた。シャイにハニかんだ。顔だって、ほら、ごらん。赤面なのさ。
「♪パン粉、チュンコ、ティンコ、チャチャンでチャン。茶柱~出~たからぁ、チャ、チャンコ、鎮魂♪」と青空ウイングス子はハイカラな歌に合わせて北海盆踊りという謎の躍りを開始した。
キャプテン・ミルクと仲間たちは、初めてハジけた青空ウイングス子の生々しい姿と、聞き慣れない歌を聴いて驚いていた。
「まなみ、あんた、癒し系の魔法が上手くなったんだね! やるじゃんかよ。凄いよ、まなみ~! アンタは偉い子ちゃん!」と青空ウイングス子は工藤・サンセット・まなみに言って北海盆踊りを本腰で踊った。
「あははははは! うんうん。青空ウイングス子が元気になってる。あははははは! 良かった! 愛でたし愛でたしだな! まなみさん、よくやったぞ!」キャプテン・ミルクは凄く嬉しかった。堪らなく嬉しくて、とってもはち切れんばかりに嬉しくて、本気と書いてマジと読むくらい嬉しいから、『嬉しいって幸せな気持ちに似ているんだなぁ。幸せだと泣けてくるよね』って素直に思っちゃっていた。優しいなぁ、キャプテン・ミルクはさ。
「よし、曲り角ぺぺ、レッド明凜。2人は、ゆきあかり@温泉噴水公園に行ってランニング巾着沈坊に会え。レッド明凜は金木トメに成り済ますんだ。曲り角ぺぺは様子見の為に隠れていろ。隙を見てからランニング巾着沈坊を捕らえて旅館に連れてこい。レッド明凜、勿体ぶった態度でランニング巾着沈坊を誘惑しろよ。決して相手を傷つけたりするなよ。生きて連れてこい。よし! 行ってこい!」明らかにキャプテン・ミルクの素早い行動力、判断力こそがリーダーシップの本質を示している。カッコいいよ、キャプテン・ミルク!
曲り角ぺぺとレッド明凜は直ぐに旅館から出発した。
「月山コリーとトムは旅館全体の警備に当たれ。川本さすおとSugar桜子ちゃんと胸山豆子はファンタジー・ドラゴン号に戻って出撃体勢を整えろ。パステル純とモモヒキ聡はファンタジー・ドラゴン号を見張れ。椎名・ミッシェル・ローズ・ユズキは俺とフロントにいて作戦会議だい!! 皆の衆、分かったかい?」
「分かりやしたー!!」と仲間たちは気合いを入れて叫ぶとそれぞれの持ち場へと飛んでいった。
「ウイングス子とまなみさんは、女将のピンク・ゆきあかり@温泉・夢子さんから、トメさん、遥ちゃんの部屋を借りる手続きをしてこい!」キャプテン・ミルクはカッコいい。カッコいいよなぁ。こんなリーダーが欲しい。
「キャプテン・ミルク、すみません。私が行ってきます。師匠は、ちょっと、今、魔法が効きすぎてテンションが高い状態でランナーズハイみたいだから」工藤・サンセット・まなみはハニかんだままスキップをすると、めちゃくちゃ早く走り去った。
キャプテン・ミルクは青空ウイングス子を見た。
「♪パン粉、チュンコ、ティンコ、チャチャンでチャン。茶柱~出~たからぁ、チャ、チャンコ、鎮魂♪」と青空ウイングス子は大声で歌い、夜が明けるまで踊りそうな勢いでジャパンゴールデンウィークの伝統的なダンス、北海盆踊りという謎の躍りを踊っていた。
「ウイングス子、その歌はなかなかパンチがあるなぁ」キャプテン・ミルクは青空ウイングス子をかなり心配していた。
「キャプテン・ミルク、そうなんですよ。ありがとうございます。はいっ! ♪パン粉、チュンコ、ティンコ、チャチャンでチャン。茶柱~出~たからぁ、チャ、チャンコ、鎮魂♪」」と青空ウイングス子は手拍子を揃えてめちゃめちゃ踊っていた。周りが引くほど踊っていた。
「ウイングス子、歌が上手いんだなぁ」キャプテン・ミルクは素直に褒めた。
「そんな滅相もない。ありがとうございますぅー。♪パン粉、チュンコ、ティンコ、チャチャンでチャン。茶柱~出~たからぁ、チャ、チャンコ、鎮魂♪」青空ウイングス子のボルテージが爆上がりした。女はいくつになっても褒められるのが嬉しかったりしちゃうのだ。
☆続いちゃう☆