第十語 難聴
皆様こんにちは、語部です。
さて、この語り部草子もついに第十語目ですね。
といっても、別視点を入れてしまえば語りをした回数は十数回ですね。
では、前座も程々に今回の語り部は。
イジメに関するお話です。
どうぞ。
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私には親友と呼べる友達がいた。
いつも嫌な学校もあの子と一緒なら乗り切れる気がした。
そんな風に思っていたのに。
彼女はイジメの標的になった。
私は彼女を救うべきだった。
彼女は私の目の前で助けを求めていた。
だけど私は、周りの目と自らの保身のために逃げ出した。
聞こえないふりをしたのだ。
周りも全員何も聞こえないように振舞っていたから。
最低だと思った。けど私には勇気も無かった。
その翌日に彼女は自殺した。
遺書に世界への呪詛を書き殴って。
その日からおかしくなった。
彼女をいじめていた主犯がバタバタと急死や事故を繰り返したのだ。
典型的な怪談話のように思えたが、真実だった。
いや、怪談話の方がまだ優しく思えた。
怪談話のようにここで終わって欲しかった。
主犯の子らへの災いが無くなってしばらく経った後。
クラスで少しずつ異変が起き始めた。
みんなの耳が少しずつ難聴を患い始めた。
先生も含めた全員の耳が。
最初は気になりもしなかった。
しかし、会話に支障が出始めた頃。
ひどい人はほとんど音が聞こえなくなっていた。
クラス全員がなるのはおかしいとみんなで話しあった時、一人が多分このように言ったのだろう。
「彼女の呪いがまだ続いている。聞こえないふりをした私達に天罰を与えている」
と。
私も既にほとんどの音が聞こえなくなっていて、合っているかは微妙だったが、私はそう思った。
私はクラスの代表で、彼女の親友だったこともあり、彼女の墓へ謝罪と共に呪いを解きに行った。
私は、彼女の墓の前で深い後悔と共に彼女の霊を弔った。
「聞こえないふりをしてごめんなさい。もうみんな後悔して、反省もしているわ。私たちを許して、お願い…!」
私は手を合わせてそう言った。
しかし、何も聞こえなかった。返答も何も。
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とても中途半端な終わり方に見えますね。
これの解釈は人それぞれです。
私の解釈をあげるとするならば、
取り返しのつかないことはこの世には沢山ある。
ですかね。
おっと、これ以上はネタバレですかね。
それでは、次の語り部まで
Au revoir