第八話_後悔なき虚無感
戦いは終わった
敵の姿はもう無い、志斎はゆっくりと地に倒れる隊員へと近づいた。
「よくやってくれた おかげで俺は生きている」
そいつは閉じ掛けの目で志斎の顔を見つめ、消え掛けの声で伝えた
「隊長 ありがとうございました 俺たち武士として一番幸せな死に方が出来ます」
「そうか 今までありがとう 俺はこれからも生き続ける お前達に守ってもらったこの命で」
志斎を見続け目を細め、静かに微笑んだあと体の力が無くなった。最期微かに何か言っていたような気がするが、聞き取れなかった
志斎の隊員は今の彼が最後に天へと向かった
俺が隊を離れ一人で突っ走った時、コイツらはどう思っていたんだろう。追いたくても追うことの許されない状況で何を考えていたんだろう
彼らの覚悟を聞いた志斎は、そんなことを考えながら歩き続けていた
そんなこと、もう分からない
今言っても伝わるか分からないが、どこかで見守ってくれているから聞いてくれ
「すまなかった」
俺は結局覚悟できないままだった
俺はこれで後悔はしていないのか、分からない
もしあそこで全員守っていたならば、もっといい気分で帰れたのかな
一瞬そんなことを考えたが、すぐに自分は後悔していないと思い直すことが出来た
「ありがとうございました」
あれは心から感謝している様子だった
もし守っていたとしても、お礼は言われていただろう 嘘偽りのある礼を