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戦闘狂は今日を楽しむ  作者: 椿 飛輝
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第十話_力と速さ

大変分かりずらい文章で申し訳ないのですが、前回まで『颪柴 志斎』が主人公のようになっていましたが、今回から『八裂 喜助』に主人公が戻りますのでご了承ください

 八裂は刀をゆっくり抜くと、敵が戦い乱れている中に入っていく


「くそ 敵の援軍か」


「誰だアイツ村のやつか 構わねぇ全員殺ってしまえ」


 どちらの味方でもない、八裂の乱入は両者を混乱させた。

 八裂はゆっくりと近づき、斬りかかってくるものを次々と斬り伏せた


「なんだコイツ」


 次々と倒れる味方を前に八裂に向けられたその声は酷く怯えていた。


「お前らの味方じゃないのか」


 怯えるソイツの様子を見て、ようやく状況を把握したその男こそ『颪柴(おろしば) 志斎(しさい)』だ


 逃げる敵には目も向けず、残る二人は互いに睨み合っていた


「この村に来た目的はなんだ」


 志斎の問いかけに八裂はボソリと呟く


「喉が乾いた」


「なんだと」


 志斎は一瞬、戦う必要のない相手なのかも知れない、そう思った

 しかし、八裂の返答は普通じゃなかった


「さっきまではな 今は喉の乾きなんてどうでもいい」


 志斎は一度刀を持つ力を緩めたが、すぐさま力を入れ直す


「お前と戦いてぇ ただそれだけだ」


 その言葉を引き金に、八裂は走り出す

志斎は八裂の攻撃を刀で受けるも、想像以上の攻撃力に一瞬怯んでしまう


「なんて力だ」


 受けきれない程ではない、しかし正面で受け止めてしまえば、剣に伝わる振動が直接手に流れ込み、痺れたような感覚に陥る。


 一度目の攻撃で、この威力なのだから連続で受け止めるようなことは出来ないだろう。


 怯んだ志斎に八裂は、すかさず次の攻撃を繰り出すも既のところでかわされた。


 志斎は驚きの表情を隠せなかった

八裂は刀を肩に乗せると志斎の顔を見据える。


「その程度なのかよテメェは」


 八裂は容赦なく次の攻撃を志斎に仕掛ける

刃を横に流すも、八裂の手には何の感触も無く、あるのは空振りの感覚のみ。


 次の瞬間、いつの間にか身を屈めるような形で八裂の腹部あたりに潜り込んだ志斎は、脅威敵な速さで剣を振るう。


 あまりの速度に八裂は志斎の動き、それから攻撃を捉えることが出来なかった。

 八裂は軽く後方に後退る


「おい どういうつもりだ」


 腹部に微かに鈍い痛みを感じてはいるが、出血は無い。八裂が受けた志斎の攻撃は峰打ちだった


「決して容赦はしていない 普通の奴なら骨が砕けるほどの力で攻撃したはずだ」


 その後も八裂が仕掛け、志斎がかわし峰打ちを入れるという先ほどと同じ流れで、やり取りが行われたが一つだけ違うことがあった。

 それは志斎の攻撃を受け止めたということだ。

 八裂は剣を右手で振るが、空いている左手で志斎の刀を受け止めた


 志斎は思わず引き下がる

この男、既に俺の動きに付いてきているのか と頭の中で考えていた。それを分かっているかのように八裂は口を開く。


「確かにテメェの速さには追いつけねぇ でも普通に考えりゃ俺を殺す気のねぇテメェが狙ってくる場所なんて予測が付くだろうが」


 その通りだった。下手な場所を狙えばいくら峰打ちとは言えども死ぬ可能性が出てくる。だから志斎は確実に死なないであろう場所しか狙っていなかったのだ。


「お前はなんのために戦っている」


 この質問が志斎にとって凶と出たのか吉と出たのかは分からないが、この先の八裂の返答は確実に志斎の内なる力を引き出すきっかけとなったことに間違いはない。


「楽しいからだよ」


 この時の八裂は、殺し合いに心からの喜びを感じるそんな表情だった。


 この男を、このまま生かして置く訳にはいかない。ここで俺が止めなければいけない。

 八裂の表情は志斎をそんな思いにさせるほど、言葉に一切の偽りなく子供のような無邪気さを感じさせるほどのものだった。


「悪いがお前をここで殺さないといけない」


 冷静に剣を構え直す志斎に対し、八裂は表情を変えることなく呟いた


「楽しくなりそうだ」



 

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