まだ異世界
???「フレイム・ヘイズ・ベルフリート!!」
雑魚モブ「ぐぎぁ!!」
長い詠唱とともに発生した炎の塊はその雑魚モブの体を燃え上がらせ、雑魚モブは力なくし地面に倒れた。
その声を聞いた雑魚モブの仲間達が駆けつけてきた。
そこで雑魚モブ達が見たのは倒れた仲間と一人の少女だった。
少女はその雑魚モブ達を見て言った。
「ふんっ!あんた達も今からこの魔法で消し炭にしてあげるんだから!」
完全に敵だと把握した雑魚モブ達は少女を睨みつけ、一斉に襲いかかる。しかし、それよりも早く少女は何かを呟いたかと思うと、腰から抜き出した剣が炎のように紅く燃え上がり薙ぎ払いでそれを一掃した。
斬りつけられた雑魚モブ達はそれ以上動くことはなかった。
少女は静かに剣を鞘に収め、大きな背伸びをした。
「んんーー!よっし、ざっとこんなものね!」
「魔法は噛まないし、剣も凄く軽い!今日は絶好調だわ!」
ここは異世界。現実世界では使えない魔法や存在しない生物が存在する世界。
そしてこの少女、アイラ・レーリスはそんな異世界で戦う1人の冒険者である。
「ふふっ♪この調子なら今日はもっと奥まで進んでもいいかもしれないわね!」
そう言ってアイラは楽しげに歩きだした。だが、そこでアイラは何か奥で奇妙な物が浮いていることに気づく。
それはまるで影、いや闇と言うべきだろうか。ブラックホールのような形をしており異様なオーラを放っている。アイラはそのブラックホールの様な物の前で立ち止まった。
「これは一体なんなのかしら…こんな魔法見たこともないし聞いたこともない…もしかしてエレメンタルフュージョン(魔法と魔法を融合し新たな魔法を生み出す上級錬金術)で誰かが新たに生み出したのかしら…?」
しばらくじっと見つめていたアイラはその闇にゆっくりと手を伸ばし始めた。本当は少し怖くて不安な気持ちもあったが、新たな魔法を目にした冒険者であり、初めて見るものには目がないアイラの抱いた好奇心がそれに勝ってしまったのだ。
そしてアイラの伸ばした手が すぅ と闇に入った瞬間、突如その闇から禍々しい光が放たれたかと思うと一瞬にしてアイラはその闇に吸い込まれた。それは抵抗しようと脳が判断するまでも早くに。
そうしてアイラは異世界から姿を消し、吸い込んだ闇も同時に消滅した。




