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おどろ  作者: 沖崎りぃ
5/6

おどろ5


ギシ、ギシ、と 音を立てて

塀に沿り ゆっくりと

乳母車が 押されてくる

中には 赤子が 眠る

けれど 毛布で くるまれ

顔も 体も 隠されている


塀は 高く 長く

剥げた 炭の色に

おぼろな 赤い月が 映り

固まった 血のように

どこまでも 続いている


薄闇に 黒い ほうかぶりで

顔を隠した 奴が

塀に 紛れ 夜に 隠れ

忍び 走り 逃げてくる


手には 濡れた刃物が 握られてる

先程 奴は 初めて

人を殺めてきた ばかりである

覗き見える 口は 喘ぎ 震え

臭い 息を 吐き続けている


どこかで カラスが 遠吠える

おぅぅ、おぅぅ、と おぅぅ、おぅぅ、と

奴は 驚き 振り返り

汗を滴らせ 目を凝らし

刃物を 強く 握りなおす


泥のカエルが 目を動かし 奴を見る

足の長いのが 塀を 這い過ぎる

赤い月が 雲に隠れ 闇となる

奴は 臭い息を 吐き出し

ほうかぶりを 深く被り直し

再び 忍び 逃げ 歩き出す

その前に ヌラリと

乳母車が 現れる

 

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