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おどろ３
バチン、バチン、と音がする
女が 叩いている
昼時から 夜のとばりまで
能面の表情で 叩き続けている
男の子の尻は 黒く紫に腫れ
泣き腫らした顔は
疲れ 諦め 生気がない
それでも 女は 叩き続けている
能面のまま 叩き続けている
バチン、バチン、と
隣の部屋から 女の子が見ている
ずっと それを 見ている
大きな目で 愛らしい顔で
男の子が 叩かれているのを
じっと見ている 不気味に笑いながら
野良仕事から 男が帰って来る
女は 叩き続けている
バチン、バチン、と
男は 隣の部屋へ行き
女の子を 抱き上げ
その顔に 頬擦りする
女の子の 表情が 能面になる
女は 叩き続けている
バチン、バチン、と
男の指は 這い続けている
ねちょり、ねちょり、と
女の子は 能面のまま
夜が 終るのを 待っている
