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おどろ  作者: 沖崎りぃ
2/6

おどろ2


草が枯れ 地が枯れ 死臭が沸き立つ

泥の蛙は 動かない

耕しを 忘れ去られた畑に

群れをなし ぐるぐる、ぐる、と

野良犬達が 廻っている

地の底の 臭いを探し

ぐるぐる、ぐる、と 廻っている


一匹の犬が 牙を剥き

威嚇しながら 肉を(こわ)ばらせ

男を 睨み (うな)っている

(そば)の泥では その水を

足の長いのが 飲んでいる

男は首に 脂汗を (したた)らせ

けれど 目を反らし 指遊びをしている


鼻をつけ 臭いを嗅ぎ 泥を横切り

野良犬達が 小屋へと なだれ込む

足の長いのが 驚き 泥に(おぼ)れる

蛙が 舌を伸ばし (かす)めとり

動かず 鳴かず 咀嚼(そしゃく)する


()えた犬達が 餌に群がる

爺の碗が 転がり

婆の碗が 割れる

ガツガツ、ガツ、と 喰い千切り

野良犬達が 咀嚼している

血を滴らせ 咀嚼している


臭いを辿り 鼻を()り付け

喉を鳴らし 爪をたて 牙を剥き

犬達が (ふすま)を (かじ)っている

襖が 揺れる

ギィ、ギギギ、

襖が 揺れる

ガタ、ガタタ、


赤子が 気配を感じ 手足を振る

婆が来て 食事が出来ると 口を動かす

嬉しそうに バタバタと

嬉しそうに パクパクと


野良犬達が 咀嚼している

爺の腕が 転がっている

婆の額が 割れている

赤子には 目と鼻と耳がなかった

襖が 揺れる

ギイ、ギギギ、 ガタ、ガタタ、


小屋の外で 男が泣いている

不快なほどに たかく ながく 響き渡らせ

いつまでも 泣いている

おうぅ、おうぅ、と おうぅ、おうぅ、と

 







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