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052 シティーレアの会1/2



 そんなこんなで授業が終わり、部活動が始まる。


「ルルアージュ様、こんにちは。今日は何をするんですか?」


「ルルアージュ様、こんにちは。あれ、ここの首は怪我されてますが…」


「嘘!?あの、ルルアージュ様が!?」


ミル、オウガストがそう言ってまじまじとアウレイアの首を見た。


「本当だ…傷ついてる。お強いルルアージュ様が怪我してる」


どうやらミルは強いルルアージュが怪我をしていてしかも傷がそのままあることに驚きのようだ。


「ルルアージュ様、どこの誰がその怪我をさせたのですか?俺が絞めてきます」


「こんにちは、お二人とも。この怪我はわざとではありませんし、もう処置はしてありますので明日にはなくなっているかと思いますわ。剣学で剣に接触してしまったのです。わざわざ心配してくださってありがとうございます」


「…なるほど、剣学で」


オウガストはルルアージュが実力を隠してわざと負けたことを察して頷いた。


「そちらのクラスの令嬢たちはそんなに本気で剣をぶつけあっているんですか?私のクラスは試合でもそんなにやる気は出してない感じですが」


「…ご令嬢方のことはあまり見ないのでわかりませんが、実際に話を聞いてみると爵位の高い家の出身の方は結構成績に必死みたいです」


「そういうことですか。ルルアージュ様のクラスは爵位が高い人たちの集まりですから、みんな成績に必死なのですね。爵位が高いと言えば、ルルアージュ様は成績を気にしていないのですか?」


ミルにそう話を振られてアウレイアはそう言えばと思い出した。


「全然成績のことなんて考えていませんでした。もし、留年したらどうなるのかしら?」


そのルルアージュの発言にオウガストは目を見開いて驚き、ミルは呆れたように首を横に振った。


「ルルアージュ様、留年したら恐らくあなたは家の汚名なので社交界からの永久追放かと。もしくは、公爵様がそれを良しとしていないと思うので学園になんらかの圧力をかけて無理やり留年させないなんてこともあります」


ミルの言葉にアウレイアはなるほど、と頷いた。ルルアージュの成績の負債はアウレイアがルルアージュになる前から溜まっている。


「…終わりね」


アウレイアはそう呟いた。なぜなら、アウレイアはルルアージュの父がルルアージュをよく思っていないように感じたからだ。わざわざ自分のことを卒業させるために学園に圧力をかけることはないとアウレイアは考えている。つまり、アウレイアはなんとか成績を上げて留年回避を目指すか、開き直って人生を諦めるかのどちらかということである。

 だが、アウレイアは留年回避をできるだけ目指したいと思っている。ルルアージュという魂は途中で生を絶ってしまったが、身体は生きている。そして、またいつか彼女はこの身体に戻ってくるかもしれない。その時、ルルアージュが笑っていられる状態を作っておきたい。アウレイアはそう考えている。


「まずは成績をどうにかしないとお先真っ暗ですわ。というわけで、お二人方、私に魔法言語学を教えてくださいませんか?」


ルルアージュの言葉にミルとオウガストは顔を見合わせた。


「えっと、ルルアージュ様。あなたは魔法を使えるはずですが…」


オウガストは控えめな声でそう言った。ルルアージュはその問いに頷く。


「もちろん使えますわ。ただ、私の魔法は魔法言語一切に用いない方法で行っていますので、全く魔法言語を理解していないのですわ」


「ああ、あの『周辺探知』のような」


オウガストは納得したように呟いた。


「そうですわ」


「そういうことでしたら、条件があります」


アウレイアとオウガストのやり取りを静観していたミルがいきなり口を開いた。


「み、ミル嬢…、いきなりなにを」


戸惑うオウガストを無視してミルは言葉を続ける。


「ルルアージュ様だけが私たちに教わるのでは、少し不公平ですわ。私たち『シティーレアの会』は勉学の教え合いをするという会ですわ。よって、ルルアージュ様にもなにかを教えてもらいたいですわ」


「なるほど、いいですわ。私に教えられることでしたら、なんでも教えます。なにを教えてほしいですか?」


ミルの提案をアウレイアは受けた。戸惑うオウガストを片目にミルは教えてほしいことを考える。


「そうですね、私は魔法学を教えてほしいです。課題のリストをクリアしないといけないのですが、魔力量の問題でクリアできないのです」


「では、そのリストを見せてください。で、オウガスト様は何を教わりたいですか?」


その質問に答えようと、オウガストは頭を必死に巡らせる。本当は剣学が苦手なため、剣学を習いたい。だが、ルルアージュに剣を教わるのは自分の中の何かが失われる感じがして、気が引ける。では、何を教わりたいのか。オウガストは思考を巡らす。


 なかなか返ってこない返答にアウレイアは苦笑して口を開いた。


「何もなければ、大丈夫ですわ。提案したのはミル様ですし、無理に教わる必要はありませんわ」


「いや!」


アウレイアは提案を強めに拒否されて驚く。オウガストは思ったより強く出た拒否の言葉を取り繕うように口を開いた。


「…すみません、考えさせてください」


その言葉に、もしかしていっぱい教わりたいことがありすぎて悩んでいたのかもしれない、とアウレイアは思った。そんなオウガストにあのような提案は余計なお世話だった。アウレイアは心の中で反省をしておく。


「…まあ、とりあえず悩んでいるオウガスト様は放置で、ルルアージュ様の魔法言語学を先にやりましょうか。そもそも偉いことを言っていますが、私は学園の学力最底辺です。まあ、これでもルルアージュ様やオウガスト様のお陰で学力が上がったと自負していますが。魔法言語学に関しては、オウガスト様の方が知っているかもしれません」


突如ミルに教える係を振られたオウガストは驚いたようにミルを見た。ミルはその様子を見ていたずらが成功した人のように口の片端を上げた。


「では、オウガスト様。考えている最中、申し訳ありませんが魔法言語学の基礎中の基礎から教えていただけますでしょうか?」


ルルアージュにそう言われ、オウガストは首を縦に頷き、魔法言語学を教えることなった。


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