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ギルドを出て、ひと騒動 貴族登場

こつこつと書いていきますよっと。

 ギルドを出て、最初にすることは宿探しだった。しかし、運の悪いことにどこの宿も開いていない。

 仕方ないのでギルドに戻ると、受付の姉ちゃんが、いい感じの宿を紹介してくれた(相変わらず名前は教えてくれないが)


 素早くその宿でチェックインを済ませる。

 その後、街中を適当にぶらぶらする。


 「さっさと降参したほうが身のためだぜ?」

 「ふん、あんた達なんかに誰が降参するもんですか」


 町を歩いていると10人の男達に囲まれている二人の少女が見えた。

 それにしても今日はトラブルが多い日だ。

 まったくうれしくないため、ついボヤきたくなってしまうほどに。


 ローブを来た魔術師風のツリ目をしたやや小柄な金髪の少女と同じくローブを着た水色の髪をもつ子はとてもおとなしそうな少女だ。


 お互いにらみ合っていて、動かない。


 ちなみに周囲の人は見て見ぬフリだった。

 この世界の人間が特別冷たいわけではない。ただこれが普通で、何の得もないのに助けようというのが異常なのだ。


 男達は、2人の少女の体を嘗め回すように見て、少女達は、片や怒りを覚え、片や怯えを感じて

いる。

共通するのは2人とも嫌悪感に身を震わせていたことだ。


 10人対2人の少女。

 このままでは、少女達に待っている運命は、決まっているにも関わらず誰も助けようとはしない。


 どうしようか考えていると


 「ちょっと、そこのあんた!!」


 俺はきょろきょろと当たりを見回す。

 しかし、それらしき人はいない。

 やれやれいったい誰に声をかけているのやら


 「あんたよ!あんたっ!!ちょっと手を貸してよ」

 しかし、どうやら相手は俺らしい。

 とはいえ、ちょっと待ってくれ。


 「俺のギルドランク知ってるか?ランクGだぞ?」

 ちなみにGランクとは最弱のランクである、ギルドの評価ポイント以外ではランクが上がらないため、機械が無かったり、時間がない冒険者は、ランクをあまり挙げられていないことが珍しくないのである。


 俺の場合は、召喚された国にこき使われて、ギルドに行く暇が最初の登録のとき以外無かったからだが。


 「盾ぐらいにはなるわ」


 ひでぇ!!

 不満の色を見て取ったのか、少女の片割れは眉を吊り上げて、睨み付けてきた。

 「あんた!!私貴族よっ!もし見捨てたら、このこと保守派の貴族連中にいいふらしてひどい目に合わせてやるからねっ!」


 保守派は何か知らないが、貴族はまずい。ここは俺を召還した国とは別の国だが、貴族という人種のヤバさは知っている。


 曰く気分次第で平民をその場で斬り捨てる

 曰く気分次第で平民の仕事を奪い、クビにする。

 曰く気分次第で平民の財産を奪う。


 こうしてみるとろくでもないな、貴族。

 もう、見捨てちゃおうかしら?でも権力に逆らうのはまずいしなぁとか思っていると集団が武器を手に襲い掛かっていった。


 「……」

 「きゃあ!」

 「奔れイカヅチ、『サンダースプレッド』」


 身を竦ませ、怯える少女の前に立ったさっき俺を脅してきた金髪の少女の詠唱で現れた黄色い閃光が男の1人を狙う。

 

 閃光はいくつもに別れ、上下左右から挟みこむように男達を狙った。


 「魔術かっ!?」

 「がっ!?」

 「ぐぅうっ!?」

 「っ!!」


 いくつかの光の粒子が当たり、男達が倒れたものの、まだ6人はいる。


 金髪の少女は気高にも杖を構えているが、もう詠唱する時間はない。

 あったはずの少女にとっての彼我の距離は、なくなり、

 剣を手に襲い掛かる男達に対して少女2人は抵抗する術を持たなかった。


 ――振り上げられた斧や剣が振り下ろされる間際




 ああ、もう今日インテグラルの耐久時間あんまりないのに……嘆きと共に俺の体は、既に動いていた。


 バイクヘルメットのような頭部と痩身のしかし、強力な防御力を持つ外殻装甲を一瞬で纏うと、

 俺は、躊躇せず男達と少女の間に飛び込んだ。


 「なんだ!?」

 「ぐぇっ!!」

 男の驚愕や、野太い悲鳴を背景にして、男達を蹴散らすように少女達の前に飛び込んだ。


 「ふざけんじゃねえぞ、こらぁ!!」


 倒れた仲間に激昂し、向かってくる男達に向けて回し蹴りを繰り出した。


 「うぎぃいっ!?」

 肉を殴るイヤな感触と共に男達の体が吹き飛ばされる。

 身動きがとれなくなった男達を確認する。

 うむ、見事に伸びてるな

 「……解除」


 体を覆っていた白銀の装甲が、粒子となって解け、まもなくして消える。

 今日はもう外殻装甲の使用限界だ。これ以上は限界を振り絞る必要がある。

 できれば避けたいものだが。どうなるか。

周囲を見回すと先ほど襲われかけていた二人の少女が、驚いたようにこちらを見ていた。


 もし処刑しようとしてきたら、返り討ちにして逃亡するしかないかなぁと考えながら、俺は

 背を向けてここから離れようとした。




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