メクロ討伐報告
ギルドに帰ってきた俺は、さっそくカウンターに行った。
既に町に入る少し前にインテグラルは解除している。
あとはカウンターに討伐証明部位を持っていくだけ、重いこのメクロを丸ごと持っている俺は、
ものすごく視線を集めていた。
てか重い!
なんだよこれ?30キロくらいあるんじゃね?
非力だからか、腕がとてもだるく、ふらふらしていると
真横から誰かにぶつかる。
「あっ、すいません!」
そういって、そそくさとあっという間に逃げていく茶色いショートカットの少女の姿。
え?俺もしかして怖がられている?
落ち込みそうになるぜ。
少女が逃げていく先はギルドのカウンターだった。
「薬草採集の依頼を受けていた冒険者ですね?こちらが、報酬になります。どうぞご確認ください」
一瞬で薬草の数を数えた受付の女性が、報酬の入った袋を差し出す。
「はい、間違えありません」
「それでは、またの依頼をお待ちしています」
そういって少女は、急ぐようにギルドから去っていった。
あれ?
よく見れば、あの人さっき助けた少女じゃね?
……まあ、いいか。無事確認できたし。
俺は、助けた少女とは別のカウンターへ向かう。
入り口から丁度右側にある長い机の右から二番目の受付カウンターには、翠の髪を腰まで伸ばしている少し背の低い女性が、座っていた。
女性の目の前に来た瞬間なぜかじろりと睨まれた。
はて?なにか失礼なことをしただろうか?
あいにく覚えがないので分からない。
「……メクロ討伐の依頼を受けていた冒険者ですね?こちらが報酬です。どうぞ、ご確認ください」
冷たく硬い声と共に、渡される皮袋を受け取る。
「確かに……」
見てもいないのに言ってみる。
「確認してないじゃないですか、あと、メクロを机に置かないで下さい」
メクロを置いた机がギシギシと音を鳴らしていた。
にしてもこの受付結構いい性格をしている。
打てば響くというのか他の受付と違いずけずけと物をいうというか。
「裸で来た貴方が、言わないで下さい」
どうやら口に出ていたらしい。
ちなみに服をくれたのは、この人だ。
以前他の冒険者が着ていたものらしく、ただでくれた。
見つかった瞬間、しおらしく赤面されたり、衛兵に引き渡されそうになったのはいい思い出である。
「これ買い取ってくれ」
「はぁ、いいですけど、商人ギルドの方が高いですよ?」
「評価ポイントが欲しい」
「素直ですね、言わなきゃいいのに」
そういって手元の水晶にカードをかざす受付。
評価ポイントとはギルドに貢献したということで得られるランクアップに必要なポイントで、依頼以外で得られるポイントだ。
当然貢献度が高いとギルドの覚えもよくなり、ランクアップも早くなる。
小さいことからこつこつ積み上げる俺にとっては、こうすることが一番だと考えた。
袋を開き、報酬を確認する。
「うむ、確かに……」
「偉そうな人だ」
偉そうな受付だ。
ふと思った。
「君の名前を教えてくれないか?」
「私……全裸の人はちょっと……」
「事情があってあのときは服を買う金がなかっただけだ」
「いやなんかうれしそうな顔してましたけど」
「ち、違う、誤解だ!」
「またのご利用をお待ちしております」
仕方なく、俺は、ギルドを出た。結局名前は教えてもらえなかった(泣)
まあぼちぼち書いていきます