決戦の地にて 魔法神の加護と本気の長谷部3 そして彼女は追い詰められ
遅くなり過ぎました。
でもとりあえず投稿します。
かつて森だとは、思えないあちこちがクレーターだらけの元森の中私は3つの敵と相対していた。
長谷部とあの男がいる上に破壊者のグレネードが私を狙っているのがわかる。
ほぼ大破しているような状態で、執念深く狙ってくる機械に思わず苛立ってしまう。
どうして私ばかり狙うのか。
少しくらい他のやつを狙ってくれてもいいじゃないと悪態をついてみてもその砲口の先が変わるはずもない。
障壁では完全には防げないのはわかっている。
次に喰らえば私の耳は完全にだめになるだろう。
そうなれば立つこともきっと危うい。
この状況いちかばちか破壊者のグレネードの弾丸を私の光で消しても長谷部とあの空間魔法の男が残っている。
2人は、私の隙を決して逃がしはしまい。
それでも私はかすむ視界の中諦めず、光の魔法を唱えようとして
『アル……』
ああ、背後で二つの魔力がうごめくのがわかる。
こいつらは、破壊者に魔法を使った瞬間に私を攻撃する気なのがわかる
なんとか、背後の二人に無詠唱で魔法を唱えようとしたけど、疲労で照準がふらふらして全然定まらない。
耳のせいもあるけど、それ以上に疲労で集中力が途切れちゃってるのがわかる。
そんなに2人とも遠くないのに。
さっきは崖の上からも長谷部に当てられたのに、悔しいなぁ。
疲れと全身の出血と両耳の痛みのせいでかすむ視界のなか、
私はそこで悟る。
ああ――これ、どうみても詰みだ。と
はぁ、こんなことならルオスを連れてくるんだった。
あの男なら長谷部の相手はともかく、破壊者の相手はできたかもしれないのに。
でも、私は、あいつに背中を任せるほどまだ信用なんてできていない。
なら結果は変わらなかっただろう。
例えルオスを連れてきても警戒先が増えて戦闘どころじゃなかっただろう。
ならだれがよかったのか?
シリア?
リーナ?
お父様
人型魔道兵器?
んー、なぜかどれもしっくりこないわね。
浮かぶ顔はいくつかあるけれど、彼らのうち誰が来てもこの状況を打開できる気がしない。
じゃあ誰?といわれると唸ってしまうけど、ふいに一人だけある男の顔が浮かんだ。
そうね、もし背中を任せられる相手がいるとしたら――それは
ドンっ!という音が聞こえた。
障壁になにかがぶつかる音じゃない。
「えっ!?」
背後の魔力は動いていない
なら長谷部
あの空間魔法の男?
答えは誰でもなかった。
見れば、破壊者の肩部になにかが突き刺さっているのが見えた。
グレネードの発射はなかった。
どうやらあの突き刺さった物体のせいでグレネードが発射できないようだ。
誰?なんていわなくても見覚えのあるその攻撃に思わず頬が熱くなるのが自分でもわかった。
「大丈夫か、ルティアッ!」
背後から聞き覚えのある男の声がはっきり聞こえた気がした。
私の耳はもうほとんどだめになっているはずなのに。
夢かと思っていると景色が目まぐるしく回った。
普段背が低いことを気にする私の視界が高く舞い上がる。
子供を抱えるように抱えられ、胸に押し付けられた。
(こいつ、結構筋肉あるのね……)
思ったよりもたくましい胸板にすごくどきどきした。
「あんた、なんでここに……」
見上げれば、いつもより高い視界の中心にその男の顔はあった。
初めて見た時はなんて頼りなさそうな男だと思った。
だけど、冒険者なら多少は強いはず。
最低でも詠唱の時間稼ぎになるだろうと思い、無理やり脅して助けさせようとした。
我ながらひどいが、街中で満足に強い魔法も使えない私には手段を選ぶ暇もなく、町の人間は誰も助けてはくれないのなら、そうするしかなかったのだ。
せめて少し高い報酬を払おう。それがせめての詫びになればと思っていた。
だが、目の前でその思惑はあっけなくくつがえされた
私の詠唱時間を稼ぐどころか私とシリアを襲おうとした男達をたった一人で倒してしまったのだから
だから、次に見た時は機械に変身したので警戒した。
機械は、私達の国ではかなり複雑な位置にある。
信仰される機械神がいる一方、機械神から逃げ出した眷属は魔物以上に凶悪で人類の敵だった。
神のように敬う一方でその子である機械姫は私達人類の敵なのだから。
当然、助けてくれたからといってすべて信じるわけではなく
人に化ける機械の可能性を疑った。
自分を助けてくれたからと言って機械を警戒しないなんてできない。
機人の可能性もあるけど、機械が化けていない保証もない。
ましてや私は機人が苦手だ。
貴族でも、次の瞬間、怒鳴られるんじゃないかって今でも時々怖くなるから
次に見た時は、貴族殺し(マジシャンキラー)から逃げていた私を腕に抱えて、立ち向かう意外に
勇敢なところのある顔だった。
私を抱えながらも、見事貴族殺し(マジシャンキラー)を倒してしまった姿は生意気ながらもほんのちょっとだけかっこいいと思ってしまった。
私は、ずっと助けを求める資格なんてないと思っていた。
私は貴族だから
魔法神の加護を受けた化け物だから。
でも私を助けてくれた人には助けられる資格がある。
サラもシリアももちろんあいつも。
そうだ、あいつは助けられるべきなんだ
助けてくれたのなら助けられる資格があるんだから。
今度は私が助けないとって思った。
それに任せてといったのに、助けられるなんてやっぱりかっこ悪いじゃないか
正直自爆と変わらないし、合わせる顔がない。
けれど、そういえば、昔から私は助けられてばっかりだったっけ
サラは死にそうな私に薬と確かな幸せをくれた。
サージェイル領でお父様とはぐれた時、リーナは私をお父様のいる場所まで案内してくれた。
健康になっても相変わらず体力がない私にシリアは回復魔法を唱えてくれた。
そして今、私はヤマダにも助けられている。
ああ、でもそんなことを素直に認めるのはなぜかどうしようもなく癪だ。
だから私は……
「ふ、ふんっ!か、かっこ悪いところ見せたわねっ!」
赤くなった顔が血で少しは隠れていることを祈りつつ、じっと見られていないか少し不安になりながら、そっけなくそういった。
あともう一話もう少しでいけそうなので、ただいま執筆中です。




