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メクロの真実とサリアの目とエクストラコード

 あのあと

 俺はサリアにいまできる『インテグラル』を強化できる方法がないか聞いてみた。


 「……」


 ん?

 無口なのは珍しくないが、なぜか返事がない。

 どうしたんだろう?

 俺はサリアのほうをよく見てみると

 なんとサリアは、目をつぶっていた!


 「……」

 「……」

 「……」

 「……」


 まさか寝てるんじゃないだろうな?

 俺は試しにサリアの頭をぽんぽんと叩いてみた。


 「……はっ!?」


 こいつ、寝てやがったな!


 「……ん、ちょっと……疲れてた」


 むむ、そういうこと言われると

 ルオスの監視とか、長谷部との戦いでの奇襲とか

 いろいろしてもらったしな


 ただでさえ面倒くさがりなのに、ここまでしてもらったら話の途中で寝られたからって怒るに怒れないじゃないか。


 「んー?……手は……ある」

 「ホントか?」

 「んー……」

 「寝ないでお願い」

 「だいじょ……ぶ」

 「……………おっ?」

 本当に大丈夫か?

 サリアはうつらうつらしながらも、ぼんやりとしたように見える無表情を浮かべながら、やや寝ぼけたように話し始めた。

 

 「例えばこ……れ」


 そこには何もないように見える。

 なんだ?


「試しに……インテグラルを……使って……腕を……振るって……みて」

 俺は、インテグラルを使用する。

 一瞬にして白銀の外殻装甲が体を覆い尽くす。

 俺はサリアに言われた通り、白銀の右腕を宙に向かって振るった。


 「こうか?」


 ぶんと音を立て、強化された筋力で俺の腕が振るわれるが、当然何かに当たった様子などはない。

 しばらく見てても手から光線が飛ぶようなこともないし、


 むむ、こんなことして何の意味が

 そう思っていたのだが、突然空中から青い光現れ,

 俺に向かって吸収され始めた。


 権能の回収を確認しました。

 分類 権能「監視」

 コード『予測』を入手しました。

 対象物の行動を予測するコードです


 これは機械を倒したときと同じ?


 「!?なんだこれは」


 いま腕を振っただけでコードが一つ?


 「機械を……倒した……から」

「機械!?そんなのいたのか!?まったくみえなかったんだが」

 ホント全然見えなかったんだけど、ていうか感触もないんだけど。


 「目に……見えないほど……小さい……」


 「そ、そうなのか」

 おれはそこでふと疑問に感じた。

 「そいつはまだここにいるのか?」


 「?ここにも……いる」

 サリアはすっと部屋のほかの場所を指さした。

「いいか?」

「ん」

 なにを聞かれたのかわかったのだろう、サリアは快諾してくれた。

 俺は腕を振るった。


 するとさっきと同じように青い光が現れ、向かってきた。


 権能の回収を確認しました。

 分類 権能「監視」

 コード『静止眼』を入手しました。

 認識速度を加速させ、一時的に景色を静止してみることのできるコードです。


 「ちなみにここには、その見えない奴はどれくらいいたんだ?」


 「すっ……ごく小さいから、だいたい……1000体……くらい?」

 「なっ!?」

 めちゃくちゃ多いな

 そりゃ、1000体も倒せばコードの二つくらいは手に入るか。

 するとサリアは、説明が足りないと思ったのか

 「メク……ロ……は囮……本……命は……目に……見えない……くらい……小さな……機械[メクロ]の……群れが……世……界の……監視を……する」


 思えば監視とは相手に気づかれてはならないものだ。


 誰の思惑か知らないが、

 メクロという雑魚の魔物に注意を集めておいて、小型のナノマシンサイズのメクロを本命にして世界の情報を集めているのだろう。


 「メクロって、お前が作ったんだよな、いまさらだが、壊してよかったのか?」


 「壊しても……いい……むしろ……壊して」


 「こいつ……らは……勝手に……増える……から……視界が増えて……うっとう……しい」

サリアがそういったとき、今までではじめて苛立ちのようなものを見せた。


 「私が……作ったのは……最初の……メクロ……だけ……それ以外は……知らない……気づい……たら……勝手に……増えて……た」

いつになく饒舌に話すサリアは、しばらくして疲れたようにため息を吐くと


 「気づい……たら私の……視界が……増え……続けて……いた」

 「そうか」


 自己増殖機能みたいなものだろうか?

 なんにせよ、そりゃ迷惑な話だな。


 「ところでもうここには、そいつらはいないのか?」

 サリアは首をゆっくりと動かし、あたりを軽く見まわした。

 「ん……もう……ここには……いない……」

 「そうか」

 どうやらあれで全部らしいな。

 「ありがとうな、おかげで手っ取り早くコードが得られたよ」


「う……ん……どういたし……まして」

コード『静止眼』と『予測』

俺はサリアのおかげで新たに二つのコードを手に入れることができた。

少しだが、間違いなく強くなれた。

けど、残念だが、長谷部に対抗するには、まだまだ足りない。


 「すまん、聞いてばっかで悪いんだが、他に俺の『インテグラル』が、強くなれる方法はないか?」


 「もっと……強く……なりたいの?」


 「ああ」

サリアはんーと宙を見ながら、唸ったあと、

 「一応……ある」


 「本当か?」


 「でも……たぶん……めちゃ……くちゃ……しん……どいし、つらい……よ?」


 「かまわない、教えてくれ」


 「ん」

 サリアはゆっくりと言葉を確かめるように話し出した。

 「その能力……それは……お母様の……分……身の……ようなもの」



 「わたしが……視た……ところ……奪われた……権能を……回収して複製する……働きがある……みたい」


 「なら……私……の目も……取り込め……る……はず」


 「!?」


とんでもないこといいだしたな。


 サリアはいつのまにかあの子供の頭部ほどもある青い宝石を手に持っていた。

 その青い宝石をサリアは俺に差し出し


 「……それを……胸に……当てて……みて」


 やや躊躇いながらも、言われた通り、サリアが渡してきた青い宝石のようなそれをインテグラルの胸部に押し付けてみた。


 「……」


 なにもおきないな。


 「あれ……?……故……障?」


 サリアさんマジっすか?


 ここまできてそんな……


 と思っていたらひゅんと俺の視界にウィンドウが現れた。



 権能の回収を確認しました。

 分類 権能「監視」

 エクストラコード 「監視」を入手しました。


 おお!

 一時期焦ったが

 よし、これで


 だが安堵してすぐ、ウィンドウに表示される文字がなにやらおかしくなっていた。



 エラー

 エラー。

 インテグラルの容量が不足しています

 インテグラルのコードが不足しています

 エクストラコードの取り込みに失敗しました。

 

 ……エラー。


 スペック不足により、権能の取り込みに失敗しました。

 再試行

 エラー

 エラー

 エラー

 ……暫定処置を行います。


 権能媒体を取り込んでいる間、一時的に権能の一部の使用のみ可能となりました。

 この権能を完全に取り込みたい場合、コードの取得と成長が必要不可欠となります。



 エクストラコード 「監視」を使用しますか?


 YES 

 NO ←



 YES ←

 NO


 「だ……め」


 俺は試しに使おうとしたのだがサリアが静止の声を上げたため、踏みとどまった。


 「使ったら、たぶんしばらく起き上がれなくなる……ここぞというとき」


 つまり切り札ということか。


 「ありがとう、あとで必ず返すからな」


 「いい……あげ……る」


 いやこれお前の目だろ?

 どんだけ嫌いなんだよ。








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