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ルオスへの警戒とサリアの依頼料



 「ポーションとか剣とか盾とか、食料とか準備しておきましょう!」


 「じゃあ、私、いい雑貨屋知ってるんで、案内しますね!」


 「なら案内は任せるわ、このまま皆でいきましょう」


 ルティアの鶴の一声で俺達一行は、近くにある雑貨屋にむかった。


 俺は、移動の最中もルオスに対して警戒しながらだ

とぼけたような顔をした大男だが、コード『鑑定眼』で見たステータスは、本物。


 ルティアもシリアも見たところ魔法職だ。近接戦闘には向かず、咄嗟の際に一番先に動けるのはこの中で実力不明のサリアを除けば俺だけだ。


 なら俺が警戒しなければいけない。

 しかし、俺だけが警戒するのは正直無理がありすぎる。

 そこで俺は同行者を何気なく見た。


 「眠い……よー」

 

 ぶつぶつとつぶやきながら、人形のように顔立ちが整ったサリアは、自身の青い髪の毛を釣り糸のように一斉にだらんと地面に垂らし、ついでに腕と顔も地面に向けて歩いている。


 これもうゾンビみたいだな。

 周囲の人間もいくら容姿がかわいくとも不審者は嫌なのか、必死に目を背けるか、気味悪そうに逃げていく。


 ちなみに黒いローブを着たサリアは、俺が服を買うときに一緒に買ったブーツに、店主から

おまけでもらった鈴のチョーカーをアクセサリーにして胸元につけている。


 「聞いてるか?」


 「……ん」


 俺が近づいていることを視線を向けずとも理解していたのかサリアは、ゾンビ姿勢のまま頷いてくれた。


 さすが『監視』の権能持ち。気配を探ったりできたり、周囲の視界が広いのは、当たり前とでもいう

態度だ。


 そのゾンビ姿勢はいい加減やめてほしいが。

 ていうか立ったまま寝そうだ。


 それはまずいので、俺は、自分の目的を達するべくサリアに話しかける。


 「サリア、俺がルオスを見張れない時はお前が警戒していてくれないか?」

 

 「……えぇ?」


 無表情のままだが、雰囲気でわかる。

 サリアはめちゃくちゃ不満そうだった。


 だが、ここで俺が折れるわけにはいかない。

 このままずっと俺が警戒しているのは少し現実的じゃないし、俺が視線や意識をどうしてもルオスから外さないといけない場面が出てくるかもしれないからだ。


 「頼むよ、あいつがここで暴れたら、危ないどころじゃないしさ、できることならなんでもするから」


 「ん?……なん……でも?」

サリアの目が爛々と光る。

さて、何を言い出すか?

 「じゃあ……昨日の……宿屋の……ごはん……また……食べ……たい」

予想以上に安い内容だった。

 「……そんなことでいいのか、よし、この依頼が終わったら好きなだけ食わせてやる」

 

 「う……む、なら……いい……よ」

 満足げにうなずくサリア。


 こうしてサリアが、戦闘中などの俺が他のことに気を取られているときなどにルオスを見張ってくれることになった。


 サリアとの交渉とも呼べない交渉を振り返るとサリアが、ちょろ過ぎて不安になる気もするが。


 いや、ここは報酬などいらないというのを遠回しに言ってくれたと考えよう。


 飯につられたわけじゃないさ。


さっきと一転して気分よさげにゾンビ姿勢で歩いているサリアを見て不安になる。


 釣られたわけじゃないよな?そうだよな?







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