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幕間 とある二人の姉妹の団欒は

短いですが、プロローグで出てきた人型魔道兵器(マギア・ロギア)パイロットの女性とギルド受付嬢の姉妹二人の幕間となります。


 とある一軒家で二人の少女が、食事をしていた。


 見れば、木のテーブルの上にある大皿に盛ったいくつかの料理を小皿にとりわけており、酒瓶がやや多い。


 テーブルの上にいる一人は翠の髪を腰まで伸ばしたやや小柄な少女だ

 もう片方は、赤い髪を肩までで切り揃えている背の高い女性だ。


 背の高い女性は、疲れているのか、行儀悪く机につっぷし、時折近くの木製のコップに入った酒をあおり、それを心配そうに小柄な少女が見ていた。


 「姉さん、大丈夫ですか?」


 「もうだめ、死ぬ、死んじゃう」

 

 「お疲れですね」


 「いくら人型魔道兵器(マギア・ロギア)が強くてもたった3体じゃ、仕事かつかつすぎて」

 そこで近くの皿にある前らしものを食べて、酒をぐいっと飲みかぁーっと声を出す姉と呼ばれた少女を

妹が「行儀悪いですよ」とたしなめるも疲れているのがわかっているのか本気で注意などはしない。


 それどころか妹は、お酒が減っているのに気付いたために、お代わりのお酒をとってきて、コップに新たに注いであげると、姉がわーいと子供っぽく笑って喜んでいるのを暖かな目で見守っていた。


 「えへへ、ありがとー」

 「ふふ」

 そんな心温まるやり取りの間も話は続いていく。

 

 「そういえば、この町も昔は、人型魔道兵器(マギア・ロギア)が10体いたらしいですけど、なんか王都とのいざこざとか他の領地との戦いで5体も減ったらしいですね」


 「くそーっ、王都もひどいけど、他の領地とかどうせ相手はギラルクの領地の奴らだろ?あいつら死ねばいいのに」


 「それ外では言わないでくださいね?いまは他の領地の子息とかが友好の名目で街を探りに来てるんですから」


 「そうそう、昼間にギラルクの糞生意気なガキが、うちの領主様に魔道機械の格納庫を見せてくれって言ってたわ、断られてきーきーわめいてた」


 「サージェイルは特に何も?」


 「あいつら基本静かだからね、国の伝統とかしきたりに忠実というか、機械神の協議を狂信しているというか、『無言こそ美徳』を実践してるん

じゃない?」


 「あれ実践する人中々いませんよ、よっぽどの信仰家ですね」


 「そうよね、社にもサージェイル家の連中は欠かさず通っているみたいだし、今のところこっちはたぶん下手なことしない限り大丈夫そう」


 「あー、人型魔道兵器(マギア・ロギア)増えないかなー、これじゃ体が壊れちゃうわ」


 「それは難しいでしょう、人型魔道兵器(マギア・ロギア)の材料って機械でしょう?あれだけの巨体を賄うのにいったいどれだけの機械を討伐すればいいのやら。

そりゃDランクみたいな大物なら2、3体で済むらしいですけど、そうなると逆に魔道機

械が、逆に破壊される恐れがありますから、うかつに討伐に挑めないっていう問題が出ますし」


 「夢の無い子……」


 「夢の無い子といわないで下さいよ」


 「もっと夢をもって、あんたの職業はなに?」


 「ギルドの受付嬢です、冒険者に用心と現実を教えるのが仕事ですね」


 「そうね、確かにあんたは夢とか語るタイプじゃなかったわよね」


 そういっている間にどんどん姉のお気に入りのお酒をついで手渡せば、ニコニコとソレを飲み干す。

 酒瓶の数はすでに3本を超えている。

 妹は姉を甘やかしすぎかもしれないとそろそろ誰かが見ていたら苦言を呈しそうな有様であった。


 「ふぅ、ところでさ、ねぇ聞いてよ、今日の護衛依頼」


 「商隊の護衛依頼でしたっけ?」


 「そうそう、それなんだけどさ今日ね」


 「森の中全裸で歩く変態に会っちゃったわ」

 ぎくりと肩をすくめる。

 心当たりがありすぎるからだ。

 「この国で全裸とか死刑ものよまったく」


 受付嬢の脳裏にとある男の姿が思い浮かぶ。


 「信じられる?」


 「せ、戦闘の後とかなら仕方ないんじゃないでしょうか?」

 なぜか受付嬢は、その男を弁護していた。

 「そぉ?」


 「うちの貴族は、まあ領主様が寛大ですし

貴族のサージェイル家なら問答無用で死刑でしょうが、戦闘で服が壊れるのは珍しくないですし」


 「まあ、確かにそうだけどね」


 「せっかく魔物と戦ったのに、同じ人間から否定されたり、攻撃されたらやりきれないですよ」


 「むぅ、それもそうね」


 酔っているのかとくに疑問に思うことなく、姉はうなずく。

 しばらくして姉が静かになる。

 「……」


 「あら?今日はほんとにお疲れみたいですね」

 どうやら姉は寝てしまったらしい。


妹はそれを見て、姉をかいがいしくベッドに運び、

女性一人を持ち上げられのは、かつて妹が冒険者であったからでもある。


「ふぅ、お休み、姉さん」

そういって妹は、姉に優しく布団をかけ、額に軽くキスをする。

「ふふ」



そのあとなにごともなかったかのように妹はあっさり食事を終え、あとかたづけをしていく。

仕事が終わり、平和な姉妹の夜の日々が今日も過ぎていく。







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