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東方神裂録  作者: 黒曜緋芭
8/11

-紅魔館で実践!?バイトと弾幕ごっこ編-

-紅魔館で実践!?バイトと弾幕ごっこ編-




レ「……ん」



レミリアはふと、目を覚ます。



レ「ここは……私の部屋かしらね?」



辺りを見渡すと、赤と黒に統一されている部屋であり、お気に入りのベッドがある部屋だった。



レミリアは身体を起こす。



レ「?傷が癒えてるわね」



身体を見る。



大分血だらけで、これだけでは重傷に見えるが、どこも痛くはなかった。



吸血鬼の身体能力でも、ここまで早くはないはず。



あれだけの傷だ。最低三日はかかってもおかしくは……



レミリアは手で身体を触ろうとしたが、右手が上がらない。



レ「ん?……あら」



レミリアの右手の先には、小さな左手と、レミリアの手を握っている男の手があった。




レ「この人は、私が見た運命の尋ね人かしらね?」




そして……



レ「ありがとう。私とフランを助けてくれて……」



最後は涙を流してしまったが、それでフランが助かるなら安いものだった。




フ「ん~…?」



隣で眠っていたフランが目を覚ましたようだ。



レ「おはよう、フラン」



フ「おはよう?お姉さま?」



レ「何故疑問形あのかしら?」



フランは少し寝ぼけているようだった。




フ「……傷が治ってる」



レ「それなら、この子のおかげよ」



レミリアは左手で、眠っている男の子を指し示す。



フ「誰?」



レ「私たちを、あのゲス野郎から救ってくれた恩人よ」



フ「……この人がやったの?」



レ「えぇ、私が最後までみていたから間違いないわ」



フ「ふ~ん?」



フランは両手を上げて、伸びを始める。



フ「ん~!昨日は傷だらけで辛かったけど、今日は最高潮の気分だわ」



レ「そうね、疲れも一緒に取れているみたいね」



レミリアも伸びをしようとしたが……



レ「……離れないわね」



フ「うふふ、まるで想い人の看病みたいだね?」



レ「ばばば、そんな訳ないじゃない!始めて合うのよ!?」



フ「あははは!!そんなに慌てなくてもいいじゃないお姉さま」



レ「っぐ!……まぁいいわ、とりあえず咲夜でも呼んで」

ガチャ



そんなタイミングで扉が開いたので、咲夜が来たと確信したのだが……




急にレミリアとフランの体が宙に浮いた。



レ「え!?」

フ「うわぁい!」









俺は、後ろから扉が開く音がしたので、レミリアさんとフランさんを抱いて空中で一回転した。



そして、音のした方向に身体を向け、左手を構える。



そして、身体を低くし先手必勝を狙ったが……



咲「はぁ…落ち着きなさい詩音。もう大丈夫よ」



俺は顔を上げる。



詩「咲夜、さん?」



咲「そうよ、警戒を解きなさい。そんなんじゃすぐに疲れ果てるわよ」



詩「すみません、咲夜さんに対して敵意を…」



咲「それはもういいから、それよりお嬢様方は?」



詩「え、と?」



俺は後ろを見る。



後ろには、ぽかーんとしているレミリアさんと、ケラケラ笑っているフランさんがいた。



詩「あれ?なんでそんなところに?」



咲「貴方がやったんじゃない、大方、私を敵だと思って、条件反射で守れる位置にでも移動したんでしょうね……ほんと、呆れるほどの優しさよね」



霊「あら?美徳だと思うわよ?」


魔「いよぅ!詩音!元気にしてるか?」



咲夜さんの後ろからは、霊夢と魔理沙も現れる。



詩「おう、一応元気だ。それより、二人の傷は?」



霊「私は大丈夫よ?元々心力を回復優先で回していたからね」



魔「私は若干だるいかな?トラウマの反動とかかな?」



俺は魔理沙に近づく。



詩「結構辛い?」



魔「ん?まぁ……少しでも休みたい気分かな?はは」



確かに今日の魔理沙は元気さが足りない気がする。



詩「ちょっとお手を拝借するな」



魔「んな!?////」



俺は左手に集中する。



すると、魔理沙の顔色が段々と良くなってきていた。



詩「っと、こんなもんかな?どうだ?」



魔「ぅえ!?///あ、あぁ、どことなく気分がいい、かな?」



魔理沙は俺から少し離れると、両手で顔を触りながら顔を背ける。



魔「はぁ、びっくりした。急に手を握られるなんて思わなかったぜ……///」



詩「?」



俺はなんで顔を背けたのかは分からなかったので、今度はレミリアさんの方に近づく。



レミリアさんは、今だにぽかーんとしていた。



意外と可愛らしい一面な気がする。




フ「おっねぇさま~?お~い?」



フランさんは、レミリアさんの顔の前で手を振ったり、声をかけたりしていた。




詩「レミリアさん、どうしたんですかね?」



咲「…………っは!?まさか」



霊「……そのまさかかもよ、咲夜」



遠くで二人が興味深そうにこっちを見ているが、俺は知らなかった。



フ「ん?…あっ!君は!」



フランさんは俺に気がつくと、すぐに近づいてきた。



フ「ねぇねぇ、さっき私たちをベッドから運んだのって君だよね?」



詩「多分、若干寝ぼけていたのもあるとは思いますが…はは」



フランさんは、うんうんと頷くと、ニヤニヤと顔色を変える。



フ「ねぇ、なんでお姉さまがあんなになったか分かる?」



詩「いえ、特に思い当たる節がなくて…」



フ「そう、ならお姉さまの耳元でこうささやきなさい」



フランさんは俺の耳元に顔を近づけると、小声で話しかけてきた。



フ「………………って」



詩「…随分とキザったらしい言葉ですけど?」



フ「今のお姉さまには十分よ。さぁ!ごー!」



俺は不信に思いながら、レミリアさんに近づく。



詩「お、おーい」



レ「…」



完全に違う世界を見てるな……



はぁ、フランさんのあれをやるか。








詩「レミリア」



俺はレミリアさんの耳元に口を近づけて、言葉を発した。








詩「早く起きないと……お前を食べちゃうぞ?」







レ「うにゃあああぁぁぁぁあああぁあ!!!?!?////////////」








レミリアさんは、顔を真っ赤にして叫ぶ。




そして、最後の仕上げ。



詩「よしよし、大丈夫だよ。誰も君に手は出させないから、な?」




レ「っっっっっっっっ!!!??//////」ボフン!




レミリアさんは、目をぐるぐると回して、完全に混乱していた。




フ「あっはははははははははははは!!!!!本当にやってる~~~!!!」




咲「妹様……趣味が悪いですよ?」



霊「ふむ、やられてみたいわね。朝の目覚ましに」

魔「同感だぜ」



咲・フ「えっ!!?」



霊・魔「」




咲夜さんとフランさんは同時に二人を見たが、魔理沙と霊夢は知らん顔をしていた後だった。









-紅魔館・謁見の間-



レ「さて、詩音といったかしら?」



詩「はい」




レミリアさんは玉座に座ると、完全にさっきまでの雰囲気とは打って変わっていた。



いわゆる、カリスマ、というものだろうか?



心の底から、畏敬の念が現れてくる。



どっちかというと、尊敬の方が適切かな?




霊「さっきのをなかったことにしようとしてるわね?」

魔「あぁ、詩音だけだぜ?気づいてないのわ」

フ「くふふ、お姉さまったら、恥ずかしくないのかしら?」

咲「やめなさいな、お嬢様がかわいそうでしょ?」



レ「あなたたち、そういうのは本人がいないところでしなさい、しかも普通に聞こえてたわよ?」



詩「そうだぞ?泣きそうになってるレミリアさんの身にもなってみろよ」



レ「なっ!?泣きそうになってないもん!」



レミリアさんは、ぐしぐしと涙を拭く。



霊「相変わらず、カリスマの落差が激しいわね」



カリスマに落差が存在することに驚きだが?



詩「ほら、泣き止んで下さい。それで?俺に要件があるようでしたけど?」



レ「え、えぇ……まぁ、運命の件は、さっきの事件で終わってはいるのだけれど……」



さっき?



あぁ、名前も出なかったようなやつの事件のことか。



詩「つまり、あの男からレミリアさんたちを助けるのが今回の運命、ということなんですか?」



レ「そうなるわね。その説は本当に助かったわ」



レミリアさんはもう一度頭を下げる。



詩「もういいですよ、さっきも散々頭を下げてくれたんですから。」



もうこれ以上の謝罪は、俺には必要のないものだ。



レ「そこでよ」



レミリアさんは、人差し指をピンと立てた。



レ「何か、貴方に困っていることはないかしら?」



詩「困っていること?」



レ「えぇ、もし、あるのだとしたら……」



レミリアさんは、玉座から立ち上がり両手を広げる。



レ「この紅魔館の総力を上げて、貴方を手助けしたいと思っているのよ」



霊「お、おぉ、何かすごい展開になってきているわね」


魔「まさか、紅魔館の総力を結束させるとは」


フ「あれ?初耳だよ?」


咲「私もですよ妹様」



詩「う~ん、そこまで大げさにならなくても……」



レ「それじゃあ何かしら?私とフランの命は、そんなにも安い物だと?」



詩「うっ……それはずるいですよ?」



流石にこれ以上は何も言えそうになかった。




困ったことか……



お、そうだ!



詩「なぁ、霊夢」



霊「ん?何?」



詩「一週間だけ、留守にしてもいいか?」



霊「まぁ、別にかまわないけど、どうして?」



俺はレミリアさんの方に向き直る。



詩「レミリアさん、一つだけ頼みごとをいいですか?」



レ「えぇ、いくつでも構わないわよ?」



詩「そこまでは……頼みごとというのは……」






レ「ふむ、お金の価値を改めて知りたい訳ね?」



詩「はい、どれだけ働き、どれだけやればどれだけ貰えるのかを、と」



咲「お嬢様」



レ「そうね、ならさっそく面接をしようかしらね?」



俺は咲夜さんが時を止めている間に持ってきていた椅子に座った。



咲「別に椅子を持ってくるのを手伝わなくても……」



詩「時が止まっている間は暇ですからね」



咲「なら、その間は能力を解除しなさいよ」



詩「嫌ですよ」



レ「あら?それは何故かしら?」



詩「だって」








詩「止まっている世界には咲夜さんしかいないんですよ?」







レ「……」


咲「っ……」







詩「もしの話ですが、もし、紅魔館での仕事が決まったのなら、俺は時が止まった瞬間、咲夜さんの手伝いを最優先にさせてもらいます」



レ「…続けなさい」



詩「では、俺は相手の能力を察知する事が敏感になってきています。なので、時が止まった瞬間は誰よりも早く気付けます」



レ「それで?」



詩「なので、その瞬間に、自分自身の身体能力を活用して、瞬時に咲夜さんの元に駆けつけ、そのお手伝いをしたいと思います」



レ「言っておくけど、咲夜に休みは限りなく無いに等しいのよ?朝は炊事から洗濯を行い、昼には掃除やメイド達の管理、夜には哨戒などね。それでも?」



詩「この一週間、咲夜さんの仕事を限りなく減らし、咲夜さんの休みが増えるのなら、全力で」



咲「……」



レ「何故、そこまでするのかしら?」



詩「紅魔館は綺麗すぎる」



レ「は?」



詩「俺は思った。この紅魔館の屋敷内は角の隅っこにもホコリが落ちていない。窓に霜がついていない。ベッドのシーツは常に新品。まだ見てはいませんが、多分、冷蔵庫の中身は常に一週間分の用意はあるでしょうね」



咲「っ!?」



レ「それは本当かしら?咲夜」



咲「……はい」



詩「完璧すぎるんです」



咲「完璧の何がいけないの?」



詩「完璧すぎるから、簡単に崩れる」



レ「というと?」



詩「咲夜さんはこの紅魔館の全てを管理していると言っても過言ではない。だから……」







咲夜さんが動けなくなったら、炊事洗濯から紅魔館の金銭管理までもが、徐々に崩壊することが決まってしまった。








レ「……」



咲「……」



詩「そしてなにより……」









どれだけ一人の時間を過ごしてきたのかが、計りしえない。









詩「だから俺は、たった一週間ですが、咲夜さんとともに時を刻みたいと持っている所存です。」





レ「貴方が、どんな仕事を請け負ったとしても?」



詩「はい、今までの発言に嘘偽りはありません」



レミリアさんは、一息着くと、咲夜さんを見る。



レ「咲夜」



咲「……はい」



レ「一週間の間。詩音と時を刻みなさい、これは主の命令でもある」



咲「っ!?……いいのですか?」



レ「詩音がその気なのだから、私からは返事は返せないわね」



咲夜さんは俺を見る。



詩「一週間、よろしくおねがいします」



俺は深々と頭を下げる。




咲「……一日で紅魔館を把握し、仕事を教え込みます。休む時間は、皆無になるでしょう。それでも良いですか?」



詩「それで、残りの時間が咲夜さんの休める時間になるなら」








フ「ぶ~……堅い話しばかりでつまんない」


霊「詩音ってあれよね。真面目なのよね?」


魔「あぁ、あれはマジだぜ」






霊「紅魔館に入っただけで状況を把握して、人の人生観を見定めた。あの子は神にでもなるつもりなのかしらね……」







魔「神様か、いいじゃん、それでも私の意思は変わらないぜ?」


霊「あら?それは私もなのだけれど?」



フ「ねぇねぇ、何の話をしてるの?」



霊「家族としての認識よ」

霊「親友としての認識だぜ」







レ「それじゃ、面接を始めるわよ」




霊「え!?さっきのがそうじゃないの?」




咲「あれはただのやる気があるかを聞いただけじゃない」



魔「壮大だ!壮大すぎる面接だぜ……」





レ「えぇと?、まずは……あなたは料理ができますか?」



詩「はい」



レ「掃除は得意ですか?」



詩「いつも境内を掃除していました」



レ「身体能力は?」



詩「人間の本気を体現してるくらいだと思います」



レ「反動などは?」



詩「特にないですね、むしろ、段々上昇している感じです」



レ「本は好きかしら?」



詩「一日中読んでいられますね」



レ「警備巡回とかに興味は?」



詩「興味津々です。守っているんだなって一番実感できそうです」



レ「紅茶入れなどの経験は?」



詩「本格的なのは分かりませんが、記憶的には作業を覚えています」



レ「花の管理は出来るかしら?」



詩「神社で暇つぶし程度には」



レ「咲夜」



咲「合格、ですね。後は仕事を覚えてくれれば、すぐにでも使えます」



レ「そう」



レミリアさんは、俺の仕事を言い渡す。



レ「あなたには、門番・司書・執事・フランの遊び相手・庭師・咲夜のアシスタントとして手伝ってもらうわ」



詩「了解しました。ありがとうございます」







霊「……」



魔「……」



フ「遊び相手!?やったぁ!!」









霊「えぇ~……」

魔「えぇ~……」












よし、頑張るぜ!!








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