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東方神裂録  作者: 黒曜緋芭
7/11

✝-最強の吸血鬼と最凶のトラウマとただの記憶喪失-✝






-レミリアsaid-





レ「きっさま!!」



?「おっと?いいのか?俺に攻撃をしても?」



レ「ッギリ!!」



コイツ、一体何者なの?



多分身体能力はそこらの人間と同じはず。



しかし、能力が……



?「ふーん?反抗的な目つきだな?なら……」



男は、突如として私の妹の方に目を向ける。



レ「なっ!?貴様!!」



?「ははは!これは傑作だ!この妹君にはまだこんなにもトラウマが眠っているのか!」



?「ぐぅ!?」



私の妹、フランドール。スカーレット。



今までは、地下室に幽閉していたのだけれど、この男のせいで、外に出されてしまった。




?「それなら、ほほう?妹君よ。君はおねぇちゃんが大好きなんだね?でも……そのお姉さんが君を地下へと閉じ込めた。これは覆らない事実何だよ?」



フ「知ってる、それは私が悪いからで」

?「イヤイヤぁ!本当はこう思っているのだろう?……憎い、殺したい、なぶりたい、壊したい……とね」




フ「ッ私は!!」

?「っふ、-闇の叫び声-」



フ「うあああああぁぁぁぁあああぁぁぁあああああぁぁあぁあ!!!」



レ「フラン!!」




こいつの能力、それは……



心の傷の体現化。



しかも、心理を覗けるおまけ付き。



別に声や気持ちを覗かれるわけではない。



過去をのぞき見られるということだ。



それを通じて、トラウマを見つけ出し、それを身体ダメージとして通す。



この能力は、長年生き続けてきた私たちにとっては天敵と言わざるを得ない。




レ「やめなさい!!」



?「は?なに?それが人に頼む態度なの?」



コイツ!……



レ「ッ…お願いします、妹を……離してください。」



私は頭を下げる。



すると、男は私に近づく。



そして、私の頭に手を置くと……



?「頭がたけぇんだよ!!」





ズガァァン!!




レ「ガハッ!?」




な!?コイツ身体能力も高いの!?



?「どうしてって顔だな?特別に教えてやる」



男は調子に乗ってきたのか、話を始める。



?「俺、実は転生してきてな、そこで、神様にあったんだよ」



レ「かみ、さま?」



?「そうだ、なんでも間違って俺を殺したみたいでな?そのお詫びに、好きな世界に転生する権利と、能力を二つだけもらえたんだ」



レ「……」



にわかには信じ難い話の内容だが、今は信じ得ざるを得ない状況。



?「そこで俺はいったのさ、身体能力の最大限の向上と今みたいな……」



男はフランを見る。



?「人の心の傷を、身体のダメージにする能力をな!」




レ「くそっ、汚い野郎め」



?「あ?今なんつった?……今なんていったんだぁぁぁぁ!!!」





ドグシャァァァ!!!



レ「あぐぁ!!?」



私は頭を思い切り振り抜かれる。



頭が割れるように痛い……



意識が朦朧としてきた。




?「っち!本当は惨めに生かしといてやろうと思っていたが、止めだ。今すぐ殺してやる」



男はまた、足を私の頭に置くと、徐々に力を込め始める。



ミシミシッ!



レ「ガァアアアァア!??」



?「どうだ?ゆっくりと頭が割れていく感想は?あぁ?」



私はこんなやつに殺されるのかと思うと、涙が出てくる。



?「なんだ?泣いてるのか?ははは!傑作だ!高貴な吸血鬼様が、人間の俺に畏怖を抱いて涙を流してるぜ!」



くそ、こんなやつには、最後まで涙なんか見せたくなかった。




今だけでいい、神様でもなんでもいい。



たった一度だけでいい。



私の願いを叶えて。




フランを、私を……






レ「…………助けて」




?「なんだ?命乞いのつも」


ギギィ



男は扉の方を向いた。



私も同時に扉の方を向いた。







-レミリアsaid・END-





俺は今までの会話を聞いていた。




本当は様子見だけと思っていた。



しかし、思っていた状態よりも、ひどかった。



だから俺は思わず……





扉を開けた。






詩「すいませぇん、ここに呼ばれた者なんですけど?」



?「あぁ?今は取り込み中だ。出直してこい」



しかし、男は考え直すと、俺に話しかけてくる。



?「そういえばお前、見かけない顔だな?」



詩「良くわからないんですが」



?「……お前、ここが幻想郷だってのは知ってるのか?」



詩「勿論、今いる世界の名前なんですから」



?「ふむ、なら、東方は知ってるか?」



詩「とうほう?なんですそれ?」



?「……なるほど、転生者ではないのか」



男は納得した感じで、頷いていた。



詩「そういえば、ここの館の主って、あなたですか?」



?「ん?おお、その通りだ。良く気がついたな?」



詩「いえ、オーラで分かりますからね」



?「そうかそうか!お前はよくわかってるな!」



詩「あぁ……だから」



俺はその場から消えた。







詩「その足をさっさと……どけろぉぉぉぉぉ!!!!」






?「ぐぼあぁぁぁ!!??」






がががががががゴガァァァァァン!!!




男は、かなりのスピードで地面と摩擦を繰り返しながら、壁に思い切りブチあたっていた。




俺は、足元にいた少女を抱き起こす。



レ「コフッ!」



詩「いいよ、無理して喋らなくても、あなたが館主のレミリアさんですよね?」



少女は頷く。



詩「なら、少し待っていてください。すぐに助けがきますから」



俺はレミリアさんを抱き上げると、近くの少女にも近づく。



レ「ふら、ん」



詩「大丈夫、彼女も一緒にたすけるから」



俺は左手で、軽く肩に触れる。



少しだけだが、出血のほうが止まった。



これで、応急処置的にはなっただろう。



ん?回復も出来るのかだって?




霊夢の殺気を浴びたら、能力が一気に進化したみたい。



軽い傷くらいなら、回復させれるようになった。



俺は右手を前にレミリアさん。



左手を後ろにフランさんをおぶりながら、すぐに扉の前にたどり着く。






詩「済みません、扉の外に出したいのですが、両手が……ですので、ここで少し休んでいてください」



俺は左手で最後にレミリアさんに触れると、離れる。



レ「ま、て」



詩「まだ、無理しないほうが……」



レ「いい、から、き、ききなさい」



俺はレミリアさんの話を少し聞いた。



相手の能力と、身体能力の高さを。




詩「分かりました。では……」



俺は後ろを見る。




詩「おい、どうせまだ生きてるんだろ?」



?「っぐ!?てめぇ……」



男は、ガレキの下から現れた。



血だらけで……



詩「お似合いの格好だな、おい?」



?「殺す、てめぇはぜってぇころしてやる!」




男はフラフラと立ち上がる。



俺も、左手を構える。



?「てめぇは直に殺す!」



男は少し足を前にだす……




シュバン!!



男が目の前に突然現れる。



詩「!?ぜあぁ!」



左手で弾くように、男の右ストレートを防ぐ。



?「なに!?」



詩「っふ!」



?「ぼげぁ!!?」




男はまたも、壁まで吹っ飛ぶ。



しかし……



詩「(俺の身体能力が上がってるのか?吸血鬼を圧倒している男を、俺は更に上回っている……)」



この力は、どこまで上がるのだろうか?



でも、このまま押し切れば……勝てる!




だが……





後ろから、大仰に扉を開ける音が聞こえた。



霊「詩音!助けにきたわよ!」


魔「待たせたな!」


咲「お嬢様!ご無事ですか!」




やばい!?この状況は……




?「うごくなぁぁぁぁ!!!」




皆は一度、止まってしまう。



そこが一番の失敗だった。




?「そこのお前、よくも俺を何度も殴ってくれたな?」



詩「っち!?」



俺は先手を打とうと動こうとしたが……



?「おっと?いいのか?誰が傷つくのやら?」



詩「…………」



俺はその場で止まってしまう。




咲「お嬢様!妹様!あぁ、なんてお姿に……これをやったのは……」



咲夜さんは、俺の目の前の男を睨みつけた。




?「はっ!十六夜咲夜だよな?俺に逆らおうってのか?」



咲「黙れゲスが!今その口を開けなくさせる!」



咲夜さんは、どこからともかくカードみたいなのを取り出す。




なんだあれは?




俺は始めて見るものだった。




咲「-幻世ザ・ワールド-!」





詩「これは、止まった時間の世界……しかも俺も動けるのか?」



俺は周りを見る。



霊夢は止まっていた。

魔理沙は止まっていた。

レミリアさんは止まっていた



動けるのは、俺、咲夜さん、そして……



?「くくく、俺には時の現象はきかねぇぞ?」



男は笑いながら、一気に咲夜さんに近づいた。



咲「早い!?だが、見えないわけではないわ!」



二人は、格闘の壮絶な応接が繰り広げられていた。



俺は身体能力が上がっているせいか、二人の動きに全く驚異を感じなかった。




詩「あれ?チャンスじゃね?」




俺ってば、意外と……ひどい人間かも。




俺も一気に咲夜さんと男の所に近づいた。



二人は俺が早いのか、気づいて居なかった。




狙い目は……



詩「せあぁ!!」



?「な!?ぐべぁらぁあぁぁ!!?」




背中側の右脇腹中心部分。




あれでは、息をすることもままならないだろうな。




咲「うわぁ……不意打ちに適度な弱点特攻とかひどすぎないかしら?」



詩「何言ってる?レミリアさんを傷つけただけでなく、咲夜さんを攻撃していたんだ。容赦の欠片も感じないよ」



咲「……あなた、いつか後ろから刺されるわよ?」



詩「それって咲夜さんから?」



咲「いえ、色んな女性からよ」



詩「なにそれこわい」






こんな話をしていたが、決して油断をしていたわけでは無いと思う。



しかし、無常にも世界の時間は止まっても、俺たちの時間は動いていた。



更に不幸は続く。




ピキィィィン




詩「世界が戻った?」



咲「スペルブレイクよ、時間制限が終わった証拠よ」



スペルブレイク?



またも、俺の知らない単語が出てきた。







?「もう、許さねぇ……皆纏めて苦しめぇぇぇぇぇ!!!」



男は、所々が折れ曲がっており、出血が止まっていなかった。



だが、奴は普通に立っていた。



詰まるところ、余程のタフなのか……神経が死を予見して、麻痺してるのか、だな。




男は叫ぶ。






?「-闇界の絶望とともに-!」







霊「!?あぁぁああぁあ!!?」

魔「があぁぁぁぁあああぁ!??」

咲「ぐぅうぅううぅううぅぅ!?」

レ「ぐっ!?あぐっ!?」

フ「…っ!……っっ!!?」



詩「な!?一度に複数の人間を相手にできたのか!?」



?「ふはははははは!!!苦しめ!死ねぇ!惨たらしく死に晒せぇ!!」





俺は、左手が目に入る。



能力を複数に?



俺にも……出来るのか?




詩「……能力を、複数人に分けるイメージを強く。全体に振り分けるイメージを」




俺の左手が、感覚が、何かを感じ取った。




霊「くぅ……」

魔「ふ、うぅ……」

咲「はぁはぁ……」

レ「っ……」

フ「うぅ……」




何とか、成功はしたみたいだ。



男のおかげで、自分の能力の可能性を教えられたみたいで癪に障るがな。




だが……



詩「ちょうど五人までみたいだな……いわゆる定員オーバーってか?」



つまり、俺には能力の加護が受け付けていないということ。




?「また……またお前か、いつも、いつもいつも邪魔ばかりしてくるな」



詩「はっ!ここの主の言葉を使わせてもらうとしたら……-運命-とかってやつじゃないのか?」



?「……もういい、お前、死ねよ」





男は告げる。





?「-闇の叫び声-」



詩「……」




……




?「な!?-闇の叫び声-!」



俺は自分の身体を確かめる。



どこも痛いところはなかった。



?「なぜだ!?ちゃんとトラウマを!過去を!ダメージにする能力は発動しているのに!」




過去?




詩「……あぁ、なるほどな」



俺は思い出す。








詩「俺…………記憶喪失なんだわ」



?「は?」



俺は男の後ろに回り込む。



詩「皆を苦しめたんだ、相応の対価を、な?」




俺は右足を振り上げた。



男の下半身に。





?「っっっっっっっ!!!?!!?!?!??!!?!?!!?!?!?!」







俺も思わず、離れて抑えてしまった。





これは、潰れたな……




軽く本気でやったし、男も宙に1メートルは飛んだもんな。





男は泡を吹きまくって、気絶した。



そして、徐々に光の粒子となって、空間に消えていた。











少し状況が収まると、俺は急いで霊夢たちのところに走っていった。



詩「皆!大丈夫か!?」



霊「私は少し辛いわ……」

魔「痛い……」

咲「油断したわ……」

レ「私よりもフランを……」

フ「うぅ…」




俺はすぐに行動する。



俺は咲夜さんの手を取ると、自分の左手と重ねあわせた。



咲「な、なにを!?」



詩「すいません、少し我慢してもらいますね」



俺は集中する。



すると、左手は呼応したのか、感覚が研ぎ澄まされていく。



咲「……傷が」



俺はすぐに手を離すと、尋ねる。



詩「咲夜さん、レミリアさんの部屋の場所を教えてください」



咲「え?えぇと、二階の奥から3番目よ」



詩「ありがとうございます、それから、頼みごともいいですか?」



咲「大丈夫……ね、傷も治ってるみたいだし」



詩「では、霊夢と魔理沙の治療をお願いします。俺はレミリアさんとフランさんを部屋まで連れて行きます」



咲「……分かったわ、こちらは任せて」



俺はレミリアさんを左手で後ろに背負い、フランさんを前に抱え込む。



傷が深いのはレミリアさんだ。少しでも早く怪我を治して上げたからな。



咲「お嬢様を、お願いします」



詩「任されました」



俺は走るまでもは行かないが、できるだけ急いで二階を目指した。







-レミリアの部屋-



俺はすぐにベッドへと二人を下ろした。



詩「流石に服は替えれないよな……」



俺は二人の血だらけの服を見て、躊躇う。



詩「服はいつでも着替えられるし、すぐに怪我の治療だな」



俺は二人の手を近づけると、フランさんの手を下、俺の次に、そしてレミリアさんの手を重ねるように繋いだ。



これなら、同時に回復を促せる。



俺は手を握りながら考える。









眠い












俺は手を離さないように、ベッドに顔をうずめた。





今日は疲れたな……












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