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東方神裂録  作者: 黒曜緋芭
6/11

✝-紅き気高い吸血鬼の住まう屋敷-✝





詩「さて、今日は好調な感じだし、どこか行ってみようかな?」



霊「あら?行く場所を決めたの?」



霊夢はご飯の後片付けをしながら、返事を返してくれる。



詩「あぁ、せっかくの記憶喪失だ。存分に楽しみたいしな」



霊「ふふ、普通は落ち込む筈なのに、前向きなのね?」



考えても記憶は戻らない。



それを分かっているから、逆に考える。



今を楽しもうと……




霊「それで?どこに行くのかしら?」



詩「それなんだがな?命連寺にでも行こうかと」

?「失礼します」



俺は立ち上がって、左手を構える。



霊夢を後ろに匿いながら。



?「あら?お早い決断ね、でも……霊夢を守ることは意味無いと思うわよ?」



詩「……何故?」



?「霊夢は、幻想郷一に近い実力の持ち主だからよ」


詩「だが、見捨てる……なんて選択肢は、皆無だとは思わないか?」



?「さて……ね?」






俺の左手が、何かを感じ取る。



そして…………








全てが止まる。









詩「(な……に……?)」





俺の体が動かない。



しかし、目の感覚は生きている。



だが、動かすことは出来ない。




そして、俺は見た。




この現実の中を、軽やかに動いている……急に現れた彼女を。





彼女は、ナイフをどこからともかく現れる。




それを、俺の首に構える体制となった。




詩「(なら……逆手に!)」







現実が……正気を取り戻す。



詩「ッ!?」



俺は構えていた左手を真上に弾くように上げる。



?「なっ!?」



更に追い打ちを掛ける。



右手の人差し指と中指を突き立て、彼女の首に立てかける。




?「まだ!」




また……






現実が息を止めた。




また、左手が何かを感じる。





詩「(今度は、目と口が動くように?)」




しかし、息は止め。目を固定する。




詩「(何故、動ける箇所が増えている?)」



そんなことを考え、彼女を見守る。




彼女はどこからか、ナイフを出す。




数が異常だった。




詩「(か、数が多すぎるんだが……)」




彼女はまだ、ナイフを投げ続ける。



もう、百はいってるんじゃないか?




俺は汗が吹き出るのを感じる。




これは、流石に……やばい。



左手の能力と言っても、まだ、範囲や威力が分かっていない。



ましてや、刃物のナイフという凶器。



普通に考えて、左手で弾こうなんて考えることはできるはずもない。





詩「(せめて、霊夢を背に急所を外しながら当たるか……)」



そう決断した。






時が……動き出す。






俺は、左手を心臓に。



右手を首に。



頭を少し傾ける形となった。






詩「(来い!)」




俺は、最後まで目を閉じることはしなかった。




だが、目の前の起きた現象が見抜けなかった。




ガキキキキキキキキキキキキン!!





全てのナイフが、俺の目の前から弾かれていた。




霊「……そろそろ、人の居候に手を出さないでくれる?……私もキレるわよ?」



霊夢から、霊気が溢れる。



詩「あ、が……」




俺は動けなかった。



あの現実空間とは違った。



完全に動けなかった。



否、動かせなかった。




全身の細胞が叫ぶ。




動いたら……死ぬ。




霊夢は本気で怒っているのだ。



俺の、為に。




?「っく!?」



彼女の方も、動けないようだった。




霊「で?何のようなのかしら?咲夜?」



軽いうわごとのような切り出し。



だが、殺意の霊気は収まっていなかった。




詩「れ、霊夢……ごめんな?」



霊「違う、詩音が謝ることじゃないの。」




?「……悪かったわ」



彼女は頭を下げる。



この気配の中で頭を下げれることに驚かされた。



俺は、喋れるところまでは行けたが、今だに動かせない。



霊「……詩音、どうする?」



詩「どうするも何も……俺は、霊夢に……」



霊「私に……なに?」







俺は、俺で空間を止める事が出来る。




なんてことを、後に霊夢達は語っていた。




あと、何故あそこの場面であの言葉の選択を?



なんてことも言っていたな。




詩「霊夢に、笑顔でいてほしいだけなんだ……」




霊「んなっ///!!?」




?「ぶふぉ!?」




霊気が、止まった。




霊夢は顔を赤くして停止。



彼女はむせていて、再起不能。





5分後。





俺・正座

?・正座

霊・怒り浸透



しかし、霊気は出ていなかった。




霊「大体詩音はね!?なんでそうも嬉しいことを言っているのかしら!?そもそもね、急に笑顔でいてほしいなんて言われても笑えるはず無いでしょうが!?それからね(ry」




詩「??」


?「あ、足が……」







霊「で?咲夜、用はなに?」



咲「はぁ、やっとね。用は」

詩「あ、少しいいか?」



二人はこちらに顔を向ける。



詩「俺は神裂詩音。最近能力に目覚めた人間だ」



咲「え?あ、そのぉ」



霊「……あなたも自己紹介しなさいってことよ」




咲「わ、私の名前は十六夜咲夜いざよいさくや紅魔館の主。レミリア・スカーレットお嬢様のメイド長をさせてもらっている人間です」




詩「へぇ!メイド長ですか、凄いですね!」



しかも、あの伝記書に載っていた紅魔館。



本の中では、かなりの有名な館。



その館の全てを任されるというメイドの長。



咲「うっ……純粋な眼差しを感じるわ」



霊「ほんと、殺されかけたのを忘れているのかしら?」




霊夢は呆れていた。



確かに殺されかけてはいたが、結果は生きている。



なら、それでいいと俺は思う。



おかしいか……な?




咲「まぁ、用というのは私からではなく、お嬢様から……ということになるわね」




詩「お嬢様?レミリアさんが俺に用事?俺はあったことがないとは思うんだが……」



霊「なに?また-運命-がどうとかってことかしら?」



咲「おっしゃるとおりよ。-運命-の導きに従い。急を要するだとかで」



詩「-運命-……ねぇ?」



運命は……信じない、かな






詩「それで、その用事は何時ごろの予定なんですか?」



咲「……今日、になっていますが」


詩「霊夢、急いで支度をするんだ」



霊「イヤイヤ、一応断りの返事くらいしてもいいでしょうが」



詩「何を言っている霊夢……女性の返答を断る事が俺にできるとでも?」






霊「……………で、出来ない、かも」



咲「それは大変ですね、霊夢も……」





詩「ま、信頼出来る人に限る……だけどな?」



咲「あら?私は信用できることにされているのかしら?」



詩「霊夢が貴方の行動を許すくらいだ。それは絶対の信頼を意味する」




霊「なんて重さの信用さ……とても辛いわ」



咲「そこまで信用されているあなたもあなたよ、霊夢」




俺たちは、物の数分で用意を済ませさっそく出かけることにした。




詩「さて、どうやっていこうかな?」



咲「え?そこからなの?」



霊「どうって、飛んで行けばいいじゃない?」




皆は覚えているか?俺の能力を……




詩「俺に飛行能力は存在しない……否!!断じて存在しないであろう!!今!ここに宣言する!!神に誓って!盟約に誓って!幻想郷に誓って!!」




霊「そこまで宣言しなくていいわよ……」



咲「何であんなにテンションが高いのかしら……」



何故テンションが高い?愚問だな。



初のお出かけ、しかも紅魔館。



町里は含まれはしない。




ま、幻想郷に来てからの始めての見物ということだな。




咲「どうするの?霊夢」



霊「……仕方ない、おんぶとだっこ。どっちがいい?」


詩「お姫様だっこで」








俺は今、両手を上に上げて空に浮いています。




詩「くそぅ……これが孔明の罠だとでもいうのか?」



霊「冗談で聞いた私が馬鹿だったのよ」



咲「噂に互い無い面白い人ですね」



噂?



咲「どうしてって顔をしてるわね?私は人里に買い物によく出かけるのよ、そこでよく人々が噂をしているのよ」



詩「なんて?」



咲「優しくて気配りがよくできる良い子。そして皆を幸せに出来る面白い子ってね?」





やべぇ、人里での俺の噂が半端なくやべぇ……




俺、そんな子なの?




咲「ところで、あなたって何歳なの?」



詩「え?知らん」



霊「」

咲「」



詩「むしろ俺が教えてほしい」




霊「……格好良い時は16から18歳」


咲「テンションが高い時や冗談を話すときは12から15ってところかしら?」




詩「つまり、俺は12から18歳ってことか」



霊「幅広いわ!!」



そんな話をしてると、前方に何かの影を発見。



詩「霊夢、前方に注意してくれ」



霊「ん~魔理沙ね」


咲「魔理沙ね」



ま、俺は霊夢に全てを任せるしか方法はないんだがな?



魔「いよぅ!何してんだ?」



詩「なに、ただのパーティーへの招待を受けただけさ」




魔「もしかして、紅魔館か?咲夜もいるしな」



霊「私はついでよ、詩音は呼べないみたいし」



咲「分かるとは思うけど、私は案内役よ」



詩「俺は防御を捨てたただの人間さ」



両手を上にした状態だ。



何も出来ることはできないしな。




魔「ほう?無防備ですか?」



詩「ふっ……俺を倒せるかな?」



魔「ならば、こちょこちょの攻撃だな」



詩「殺せぇ!?いっそ殺してくれぇ~!!」



こちょこちょだと!?何も出来ない俺にこちょこちょだと!?



魔「よ~し、お望み通り……に!」



魔理沙は、八卦炉を構える。



詩「あの、魔理沙さん?何故構えているのかな?」



魔「何故って……殺すんだが?」



詩「本気!?こいつ本気にしてやがるぜ!?」



霊「やめなさい魔理沙、私に迷惑がかかるじゃない」



咲「私にも当たるんだから、あとにしなさい」



詩「そんな!?俺に後で死ねと!?」



霊「大丈夫よ、あなたは死なないわ……私が守」

詩「止めて!本当に死んじゃうから!?」



死亡フラグではないが、何かいやな予感がした。




霊「そうだ、魔理沙、あんたの箒に詩音を乗せてやってよ」



魔「私は別にいいが、詩音のプライドが心配だぜ」



詩「俺は乗らないぞ?女の子乗りなんてだれが……」



咲「え?さっきはお姫様だっこって……」



詩「女の子乗りよりは全然ましだ!!」



咲「なんで!?私には違いがわからないわ……」




そうして、俺はこのままの状態で飛行を開始した。




咲「そろそろね、アレが私たちの館。紅魔館よ」



俺は目の前の景色を眺めた。



詩「真っ赤……だな」



すごい、本当に紅、朱、赤、血色。



詩「血、を模しているのか?」



咲「そうね、血を表しているのかも知れないわね」



霊「確かに、的を射ているわね」



魔「むしろ、そうなんだろうぜ」




俺たちは、紅魔館の前で降り立つ。



詩「いやぁ、快適な空の旅だった」



霊「嫌味かしら?」



詩「は?霊夢の手を握れたからだろ?それ以外に何がある?」




霊「うにゃ~~~!!!??//////」




咲「凄まじい程の天然生殺しね……」



魔「……イイナァ」



咲「は!?」バッ



魔「」サッ



咲夜は勢いよく魔理沙に顔を向けたが、魔理沙は違うところを向いていた。




そして、俺は騒ぐ霊夢をおとなしくさせ、紅魔館の入口に立つ。




詩「にしても、でかいなぁ。門だけでもこんなに大きいなんてな」



隣で咲夜が呟く。



咲「美鈴がいない?お花の手入れかしら?」



メイリン?中国人……なのか?



そして、俺は門をくぐり抜けた……が





ゾワッ




詩「!!???」



俺は左手を皆の前に出す。



つまり、前に出るなということ。




霊「どうかしたの?詩音」



詩「咲夜さん」



咲「何かしら?」



俺は重要なことを聞く。



詩「レミリアさんは……いつも殺気、などを振りまいているんですか?」




咲「……ありえないわね、そもそも、お嬢様は殺気を出す相手を見極めるはずよ」



なら、この悍ましい程の殺気は何だ?



この殺気の中に、狂気の類も混じっている。



だが、同一人物ではないのは確かだ。



つまり、相対している?



詩「咲夜さん、紅魔館には図書館に二人、門に一人、地下室に一人、謁見の間に一人、そして咲夜さん……これで合ってますか?」



咲「……何故?」



詩「早く!」



咲「それに補足をするなら、妖精メイドも含まれるのかしら?」



そいうのなら、図書館に避難させるはずだ、図書館の主が。



なら、危ないのは……





詩「咲夜さん、貴方の能力を最大限に生かして、急いで図書館に向かってください!」



咲「さっきから何なの!一人で考え込んでは質問を繰り返して!いい加減に」

霊「咲夜、急いだ方がいいかもよ?」



咲「霊夢まで!」



魔「私もそう思う。何か嫌な予感がするぜ?」



霊「私の勘もよ」



咲「……分かったわよ、図書館ね?で?どうすればいいの?」



詩「ひとまず、図書館が安全なのを確かめたら急いで僕の所に合流してください。多分、それでいけるはず……」



まず、相手の素性が分からないが……



吸血鬼二人を圧倒していることに……驚きを隠せない。





詩「魔理沙と霊夢も、咲夜さんと一緒に行動を!道中は特に気をつけて」



霊「詩音はどうするのよ?」



詩「この嫌な予感の中心部に行く」



霊「なら私も」

詩「駄目だ、図書館へは最高戦力の方がいい、それくらいの危険がある」



魔「だが、お前はその危険の中心部にいくだろう?」



詩「だからこそだ、最初の接触が鍵となる。つまりブラフだな」



霊「……危険なものだからこそ、大きなハッタリをかけるわけね」



詩「俺ができるのは時間稼ぎ。確認が終わったら急いで俺と合流してくれ」



咲「あぁ!もう!分かったわよ!霊夢、魔理沙、さっさと確認しに逝くわよ!」



魔「うわぁ……逝きたくないなぁ」


霊「同感ね」



咲夜を先頭に、3人は図書館を目指していった。






-紅魔館・エントランス-



俺はすぐに内状状態を確認する。



詩「特に荒らされている痕跡は無い、錆び付いた匂いもなければ鉄の匂いもしない。-まだ-ここは大丈夫みたいだな」



俺は急いで、中心部へと向かう。



館は基本、謁見の間を中心に作られていく。



つまり、正面から入ったということは、真っ直ぐが謁見の間になるはずだ。



まぁ、戦争に強い国城は簡単には作られていないけど……



俺は階段を駆け上がり、正面の扉を開ける。



詩「この先か……」



一応、この場所は踊り場みたいなものかな。






俺は扉の前に着くと、中から声が聞こえる。











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