表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
東方神裂録  作者: 黒曜緋芭
4/11

✝-町里の先生との出会い-✝



サッ、サッ、サッ



俺の手元にある箒が音を立てて、木の葉やゴミを集めている。



霊「ふあぁ……さて、掃除を、って、何やってるのよ詩音?」



霊夢が眠そうにしながら鳥居前にやって来た。



詩「ん?ただの掃除さ。泊めてもらってるお礼の一環」



霊夢は呆れた顔になった。



霊「随分と律儀な正確なのね?私にとってはお賽銭だけでも十分助かってるのに」



詩「あれはただの物だ。俺は行動で物事を解決しようとは思わないけど、それなりの働きがしたいだけなんだ。だから気にしないでくれ」



霊「そう。あなたがそう言うのなら構わないわ。ありがとね」



詩「俺が勝手にやってるんだ。お礼なんかいらないよ」



霊「ふふ、ただの独り言だと思って頂戴。私は朝ごはんを作ってくるわね。掃除は適度で済ますのよ」



霊夢は踵を返すと、神社の中に戻っていった。



うーむ。霊夢の行動が一々格好良いな。



俺は掃除を再開した。



と言っても、大体の掃除は終わったから後は用具を片付けるだけだ。



そして俺は、霊夢と食卓に着いた。



霊「そうだ詩音。里に着いたら買い物ついでに紹介したい人が二人ほどいるのだけど大丈夫かしら?」



詩「おぅ、時間だけは結構余ってるから大丈夫だ。人との繋がりも広げて起きたいからな」



今はこの世界で生きていくことが先決であり、賢い選択だと思っていた所だ。



霊「なら行きましょうか。用意はする?」



詩「嫌、荷物は全部ここに入ってるからな」



俺はポーチに手を置いた。



霊「そう、じゃあ行きましょうか」



霊夢はそのまま、外に出ようとしていた。



詩「おいおいおい」



霊「ん?何よ?」



詩「何で巫女服何だよ、女の子なんだから私服に着替えろよ」



霊「……これが私の私服なんだけど?」



は?



いやいやいや!?



詩「男の俺が言うのも何だけど、お洒落とかしないのか?」



霊「うーん、巫女だからかしら?」



詩「俺に聞かれても……」



ということは、一着も服がないのか?



全部巫女服?



詩「よし決めた」



霊「何をよ?」



詩「買い物ついでに霊夢の服を買う!」



霊「……は?」



霊夢は何とも言えない顔になっていた。



詩「うん、我ながら面白い考えだ。なら今回は俺がコーディネートさせてもらうから、出費は任せてもらおう」



霊「いやいや、私は巫女服だけで……」



詩「駄目だ!女の子なんだから私服ぐらい持ってないと!」



俺はさっさと正面玄関に歩いて行った。



詩「ほら行くぞ霊夢。大丈夫だ。絶対に似合う服を探してやるから」



霊「……ほんと、面白い人ね」



俺にとっては何が面白いのかは分からなかった。





そして、俺たちは町里に向かって並んで歩いて行った。





-町里-



詩「おぉ~、何か古い時代の感じがする場所だな」



周りは瓦を基調に木造の家々が立っている。



霊「それはそうと、どうするの?買い物と紹介する人に会うのとどっちから行く?」



詩「人から会おうか、買い物は帰りにでもできるからな」



霊夢は分かったと頷いて、先に歩き出した。



それにしても、優しい雰囲気の里だな。



武器屋に道具屋、宿屋なんかもある。



俺が周りを見ていると、前方に珍しい建物を見つけた。



詩「へぇ~寺子屋なんてあるのか」



霊「その寺子屋に用があるのよ」







-寺子屋-




俺たちは、正面の扉から中へと入っていった。



詩「木造建ての学校か、いい雰囲気だな」



霊「そんなものかしら?私は見慣れてるからよく分からないわね」



霊夢は歩みを止めず、どんどんと奥へと歩いていく。



詩「そう言えば、時間帯はいいのか?よく考えると今は授業中なんじゃ……」



霊「大丈夫よ、ここの寺子屋は好きな時間に授業に参加出来るのよ。何か用事があったり、急用なんか出来ると普通に帰れたりもできるしね?」



へぇ、随分とフリーな学校だな。



詩「やっぱり子供とかが多いのか?」



霊「そうねぇ、比率で言うと子供が多いのだけれど、大人もたまに学びにここにやってくるわよ?それに……」



霊夢は扉の前で止まった。



霊「どっちかというと、人間じゃない方のほうが多いかも知れないわね」



詩「……は?」



それはどういう……



霊「ま、みれば分かるわよ。あなたが先に入る?」



詩「そうだな、そのほうが面白そうだ」



俺は霊夢の隣に行くと、扉に手を掛けた。



さて、どんな授業風景なのかな?



俺は楽しみを胸に秘めて、ゆっくりと扉を開けた。












?「おっケーネ(慧音)キラッ!!」





詩「お……おぉう?」










?「……」



詩「……」




えっと、……え?




?「キャハハハハ!!」



?「わ、笑いすぎだよ~チルノちゃん」




詩「その、し……失礼しました!!」



俺は急いで踵を返して

?「ま、まってくれ!?弁解を、弁解の余地を!!?」



霊「ま、まぁ、聞くくらいならいいんじゃない?詩音」



詩「いや、別に悪いことをしてはなさそうだったけど……」



?「あ、ありがとう…」



そして、目の前の人は、生徒の前ではいたたまれないのか、違う部屋へと案内してくれた。



?「コホン、それじゃ話すぞ?」



詩「え、えぇ」



霊「手短にね」






--------

----






?「よーし、お前たち!これから抜き打ちの質問式テストをやるからな~」



チ「えぇ~!?聞いてないぞ~!!」



大「いや、だから抜き打ちテスト何だよチルノちゃん?」



?「いつものように、この箱の中に質問内容の紙が入っている。引きたい人はいるか?」



チ「はいはーい!最強のアタイが引く!」



そして、チルノが箱の中に手を入れて中から紙を引いた。



チ「これだ~!!」



?「ふむ、算数と書いてあるな」



チ「!!!!???」



大「あ~あ……」




ここからがあの悪夢の始まりだった。



?「なんだチルノ?自信が無いのか?」



チ「ち、違うし!サイキョーのアタイが自信無いわけないし!」



大「ち、チルノちゃん、落ち着いて、ね?」



?「ほう?なら答えれなかったら宿題を増やすからな?」



チ「ぐっ!……なら、私が正解したら、先生自慢の-アレ-やってもらうからな!!」



?「ふっ…答えれたらな?」



周りの生徒も面白がってか、意外と盛り上がってしまって……



その問題がこれだったんだ。





3(5+6)-4(4+2)=?






意外にも、子供には解けない問題が出てしまった。



だが……




チ「分かった!!」



?「は?」



チ「答えは…………………9だ!!」




3(5+6)-4(4+2)


15+18-16-8


33-24


=9




?「ば、馬鹿な……正解だと?」



チ「やった~~~~~!!!!」



大「すご~~い!!やったねチルノちゃん!!」




そして、周りの子供たちがはやし立てるんだ。



アレやって、アレやって……と。




私は意を消してアレをやってしまった。




ガラッ



?「おっケーネ(慧音)?キラッ」




詩「お、おぉう?」








------

---------------











詩「その、済みませんでした……」



?「こちらこそ、醜態な姿を見せてしまった」



詩「いえ、醜態なんて……むしろ、可愛かったかと」



?「うぇ!?///か、かかかかかわいい!!?」



霊「ふ~ん?詩音はあんなのがいいんだぁ?」



詩「そういう訳じゃないさ。この人の見た目は、真面目で気難しそうに俺は見えた。

だが、話しているときなんかは、全く別でむしろ、分かりやすく丁寧に話してくれたり、

授業の様子とかは楽しそうだった。そんな人があんな無邪気な行動に出たりしたんだ。

ギャップってやつか?そこが可愛いと思ったんだよ」



?「///もういい、これ以上は聞くに耐えん」



霊「……」



詩「霊夢だってそうだしな」



霊「え?」




詩「霊夢の第一印象はキツそうな人だなと俺は思った。

しかも現金な人ともね?でも一緒に過ごしている内にそれは変わってきたんだ。

何も分からない俺に色々教えてくれたり、世話を焼いてくれたり、俺の会話に合わせてくれたり……

普段は冷淡でキツイ人かもしれないけど、過ごせば過ごすほど中身は別に見えてくるんだ。

そういうのも俺は素敵だと感じてるんだがな?」




霊「むぅ~///あなたは天然なのか素でやってるのか分からないわね……」



?「いや、正直者なんだろうな、きっと」



詩「?何の話だ?それでだが」

霊「あ~はいはい、もういいわよ。詩音の気持ちはとても伝わったわ。……かなりねボソッ」



?「あぁ、かなりなボソッ」



詩「ん~?なんかよくわからんがわかった」




あ、そういえば……



詩「済みません、自己紹介がまだでしたね?僕の名前は神裂詩音。身体能力が高いと分かっている人間です」




?「ふふ、中々面白い紹介の仕方だな?ではこちらも」



彼女は姿勢を正し始めた。



慧「私の名は上白沢慧音かみしらさわけいね。半人半獣の若干人間と思ってもらって構わない」



半人半獣?



詩「その、失礼だとは思いますが、半獣というのは?」



慧「本当に呆れるほどに礼儀がいいな詩音君は、だが、悪くはない」



慧音さんは僅かに微笑むと、話し始める。



慧「私の中に流れる半分は人間の血、そして、もう半分は……白澤の血だ」



詩「……もしかして、聖獣の白澤ですか?」



慧音さんと霊夢は同時に驚いていた。



霊「あなた凄いわね?普通なら分からないものなのよ?」



慧「君は随分と博識なんだな?」



詩「いえ、偶々自分の中に知識があっただけですよ。記憶が無いのにこういう知識はあるものなんですね……はは」



慧「……記憶がない?おい、霊夢」



霊「はいはい、今説明するわよ」





---少年少女説明中---





慧「ふむ、紫の能力が聞かないとなると、きっと私の能力も聞かないのだろうな」



詩「度々申し訳ないのですが、慧音さんの能力はなんですか?」



紫が境界線を操る程度の能力



霊夢が空を飛ぶ程度の能力



魔理沙が魔法を使える程度の能力



俺は…………



慧「私の能力は-歴史を食べる程度の能力-だ」



詩「歴史を……食べる?」



霊「簡単に説明すると、過去にあった事実を抹消」

慧「違うわ!」



慧音さんが霊夢に横頭突きをかまされていた。



痛そう……



慧「まぁ、人々が歴史を認識するのに最も大切な信頼の置ける-現実-を見えなくすることが出来る能力だと思ってくれればいい」



詩「範囲などは?」



慧「?そうだな、この人里くらいなら普通にいけるぞ?」



詩「つまり、あるはずの人里が発見できないが、人里はそこにあったということは知っている。という状況に出来るわけですか?」



慧「……本当に素晴らしいな君は、そこまで能力を認識できたのは紫や幽々子たちくらいの者だけだと思っていたが……」




霊「詩音は策略的な思考の持ち主ね?」



詩「俺が策略的?面白い冗談だな?」



俺は軽く笑い飛ばす。



どっちかというと、前線で周りをサポートする中衛タイプだと思っているんだがな。



霊「策略で聡明、身体能力が高い人間……仲間であり続けたいわね」



俺は返事を返さなかった。



もし、記憶が戻ったら……



俺は頭を振った。



慧「それで?君の能力は何だ?」



詩「え?俺にも能力があるの?」



霊「……完全に忘れてたわ」



え?俺の能力って忘れられてたの?



詩「あ!そういえば……」



俺は以前、紫さんに泣きついたことがあった。



あのときは胸が一杯で、頭痛なんてものは感じなかったが思い出したことがあった。




------------------

-----------




神「それで?最初の能力はどうする?」



詩「そうだなぁ、身体能力が元々高いんだから、防御に重点をおいておきたいかな?」



神「神器の-ローアイアス-でも召喚できるようにしておくかい?」



詩「A○フィールドとかでもいいんじゃね?」



神「絶界とかは?」



詩「アクセラレータも面白そうだな!」




まぁ、話が長くなったので省略。





詩「よし!なら左手に能力を宿し、効果は防護。最初は自分だけだが、使えば使うほど徐々に効果範囲、強度が上がっていくという能力で決定だな!」




神「うん!満足の行く話し合いだったね!」



詩「しかも、強くなってく過程が恐ろしく早くなっていくという裏設定が」

神「あぁ!?そこは言わない約束じゃないか!」






---------

----------------








詩「前の俺はどんなやつだったんだ?」



俺は頭を抱え始める。



霊「どうしたの詩音!?また頭痛?」



おっと、心配をかけているみたいだな。



詩「悪い、能力を思い出していたのを忘れていてな?今思い出した。」



慧「……思い出していたのを忘れていた、か。天然か?」



霊「それで?何の能力なの?」



詩「そうだな、あえて言うなら-絶対守護障壁-こちらに合わせて言うなら……」




-守れる程度の能力-



強くなれば……






全てを守れる程度の能力








詩「いや、夢物語か……」



俺は一人呟く。



幸い、誰にも聞かれていなかった。



慧「守れる程度の能力か……」



霊「しかも、今の効果範囲は一人ねぇ?」



詩「ちなみに、発動条件は左手がキーになるみたいだ」



しかも、使えば使うほど強くなれるというお墨付き。




霊「進化する能力は結構珍しいわね?」



慧「そうだな、まぁ、魔理沙の能力なんかは一応当てはまるわけだがな」



魔理沙の能力も、努力を重ねれば使える魔法の量は増えるみたいだ。






詩「っと、随分と長居していたみたいですね。慧音さんもまだ授業があると思いますし、僕たちはそろそろお暇しますね?」



慧「ふむ、特に気にすることでもない……というわけには行くまいしな。悪いな、気を使わせてしまったみたいで……」



詩「いえ、貴重なお時間をありがとうございました。」



俺はその場で頭を下げ、すぐに立ち上がった。



詩「それでは」



霊「また暇があったらくるわね」



慧「そのときは詩音も一緒に来い、いつでも歓迎するからな」



俺たちはその場を後にした。










評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ