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東方神裂録  作者: 黒曜緋芭
3/11

✝-波乱万丈の一日の終わり-✝







程なくして、俺は静かに紫さんから距離を取る。



紫「ん?もういいのかしら?」



詩「はい、済みませんでした、見苦しい姿を……それと、ありがとうございます」



紫「ふふ、礼儀正しくて勇ましい子、私の好みね?」



ふぅ、紫さんには敵わないな。



それに、心がスッキリとした。



感情の奥底では、確かな不安を持っていたんだな。自分でもびっくりだ。



霊「はぁ、急に貴方が泣き出すから驚いたわよ?」



魔「な?紫は紫で、何かを悟っていた感じだしな」



詩「霊夢さんと魔理沙にも迷惑掛けた、済まない」



霊「別にいいわよ、巫女なんだから懺悔くらい聞くわよ?」



魔「詩音の気持ちも結構伝わったからな、気付かない私たちの方が謝罪したいくらいだぜ」




俺は安心した。



ここは……幻想郷は本当に全てを受け入れてくれる気がした。



ここに来て……良かった。







霊「所で、魔理沙と詩音は何しにここに来たのかしら?」



魔「あぁ、それなんだがな?」



魔理沙、状況を説明中。



霊「ふぅーん?まぁ、さっきのやり取りを見てたら、そんな気はしてたわ」



紫「それなら私のところにく……」


霊「却下、貴方が関わるとめんどくさいことになりそうだから、詩音は私の所で預かるわ」



紫「まぁ、しょうがないわね。詩音、何かあったら私のところに来なさい?胸ならいつでも貸せるわよ?」



紫さんは胸を強調するように、腕を組んでいる。



詩「はは、そのときはよろしくお願いしますね?」



紫「あら?更に貴方の見所を見つけた感じね。別に用がなくても来なさい、いつでも歓迎するわ。それと……」



紫さんは空間を作り、手前で止まる。



紫「私の事は紫で良いわよ?詩音君」



そう言い残すと、空間の闇に消えていった。



べつに俺の事も詩音でいいのに……




霊「さてと、とりあえず泊まる前に……」


詩「あ!その前にいいですか?」



霊「何かしら?」





詩「ここは神社ですから、お参りをしないと」




霊「…………!!!!??」






霊夢さんは何故か、目を見開いていた。



そんな霊夢さんが気になったが、先にお参りをすることにした。



詩「えっと、確かお金を……」



俺はポーチをまさぐる。



そして、俺の財布を取り出した。



何故俺の財布が入ってるんだ?



そして何から何までがこのポーチに入ってるんだ?



とりあえず、賽銭箱に……って



詩「霊夢さん、この世界の通貨ってなんですかね?」



霊「え!?えぇ、と、ね……文ね」



文?確か古い時代にそんな通貨を聞いた気がする。



それに、俺の財布には円しかないな……



詩「円っていう通貨でもいいですかね?」



一応、この神社の巫女の立場である霊夢さんに聞いてみる。



霊「円!!?円って、あの円!?」



霊夢さんという人物には考えられないほどのリアクションだった。



詩「どの円かは分かりませんが、多分その円です」



霊「全部!全部いれなさゴヒュ!?」


魔「ちなみにある万事屋さんのレートによると、1円=100文の価値まで跳ね上がってるらしい」



へぇ、100円=1文だと思ってはいたけど、かなりの円高だな。



俺は財布の中身を見る。



福澤さん=50

樋口さん=1

野口さん=5

小銭=もろもろ




約51万円



レート換算



1円=100文

10円=1貫文=1000文

100円=10貫文

1000円=100貫文

1万円=1000貫文

51万円=5万1千貫文




詩「……ちなみに、町里での家の値段ってどれくらいですか?」



魔「そうだなぁ、100貫文もあればかなり豪華な家に住めるぞ?」



あれ?冷や汗が背中に……



下手すれば、幻想郷の経済状況がひっくり返るぞ?



俺は1万円だけ取り出すことにした。



本当は使えないだろうから全部入れちゃおうと思ったけど、危険な感じがするので止めた。



詩「これから世話になることも含め、幻想郷の平和を祈願して……」



俺は1万円を手の平から滑らせるようにお賽銭箱に入れた。



魔・霊「「いちまんえん!!?」」



二礼二拍手一礼の順の後、気持ちを込めて鈴を鳴らす。



多分合ってないだろうが、気持ちでカバーしよう。



よし終わり。



詩「それで、泊まる前にどうとかって……」


霊「もう何日でも止まって頂戴!なんなら一生をここに住んでもらっても差し支えないわ!いやぁ本当にありがとね詩音!」



魔「ほんと、霊夢は現金な性格だよな?」



魔理沙は後ろで呆れていた。



魔「とりあえず、泊まるところが出来て良かったな?」



詩「あぁ、助かったよ魔理沙。今度お礼をさせてもらう」



魔「おぅ、楽しみにしてるぜ!」




霊「ウフフ、あの大金で何をしようかしら?」




まぁ、この周辺に一部のインフレが起きたと思えば……な?




魔「それじゃあ私は帰るぜ、店でのやり残しがあるからな!」



魔理沙は落ちてた箒に跨り始めた。



詩「魔理沙、今回は本当に助かった。また何かあったら頼むな」



霊「まぁあんたのおかげで大金が手に入ったもんだし、いつでも来ていいわよ。ただし次からは普通に来なさいよ」



魔「そんなことをいわれずとも、気が向けばいつでも来るさ。詩音は恩人だからな、力になれることがあるならいつでも言ってくれ!じゃあまたくるぜ!」





そう言うと、魔理沙は一気にここからすっ飛んで行った。



こう見ると、結構なスピードで走ってたんだな……



霊「それじゃ詩音、空いてる部屋に案内するから来なさい」



詩「は~い」



俺は境内の中に入っていく。



詩「へぇ、神社の手前が賽銭箱で横手側の縁側から入るんだ?」



霊「別にどちらからでも入って良いわよ?偶々私が掃除をする為に下駄に履き替えてただけだからね」



詩「縁側なんて初めてだからな、今度からはここから入ることにするよ」



霊「ふふ、やっぱり面白いわね詩音って」



霊夢さんって結構クールビューティーなところがあるからな、笑うと可愛らしいな……



少しすると、霊夢さんが立ち止まった。



霊「とりあえず、ここが詩音の部屋で良いわよ」



霊夢さんは麩を開けた。



中の広さは8畳ほど、一人部屋としては割としっくりとくる広さだった。



詩「下は畳に扉は襖、電気は無くて夜は月の光。風流だな」



こういう世界は意外と憧れていた。



記憶はないけど……



記憶が無いから、特に不自由は感じないからかな?



霊「とりあえず布団はあるから大丈夫よ、他に必要な物があったら言って、用意できるものは用意するから」



詩「いえ、自分で用意しますよ。泊まれるだけでも有難いですからね」



これ以上甘えるわけにはいかない。



霊「気にする事も無いのに……分かったわ、好きにしなさい。でも、何か困ったことがあったら言いなさい、これでも巫女。力にはなれるわ。」



何故かは分からないがとても心強い。



とりあえず、今は夕方だ。



これから出かけるとなると、結構厳しい。



俺にここの地理は皆無だ。



出かけれない、というのが本音だ。



霊「とりあえず今日は休みなさい。明日にでも人里を紹介がてら買い物に行きましょうか」



詩「そうですね、記憶が無いですから色々疲れましたからね」



様々なことがあったから正直疲れた。



霊「それじゃあ、早めの夜ご飯にしましょうか?」



詩「いえ、寝ることを考えた途端。一気に体が怠くなって来ました。お先に寝させて貰ってもいいですか?」



霊「大丈夫よ。気にすることは無いわ」



そういうと霊夢さんは部屋の中に入って、布団を敷き始めた。



詩「あ、それは俺が……」


霊「いいのよ、どうせ今日だけの事なんだから」



そして、霊夢さんはテキパキと用意を終わらせてくれた。



詩「ありがとうございます」



霊「いえいえ、それじゃお休みなさい詩音」



詩「はい、お休みなさい霊夢さん」



霊夢さんは麩を開ける。



霊「そうだ」



詩「はい?」



霊「私のことは呼び捨てで良いわよ?むしろそうしなさい。こっちは何かむず痒いのよ?」



詩「そうですか、ではそうさせてもらいますね」



霊「それだけよ」



霊夢はそう言うと、部屋を出て行った。



詩「ふぅ……」



今日は本当に色々あったな。



明日は何が起きるんだろうか。



とても楽しみだ。



俺は徐々に瞼が降りていくのがわかった。



いい夢が見れるといいな。



そして俺は眠りに落ちた。









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