ままん・黒い館
ままん
ままん ままん
かきまちがいの ままん
ままん はやくね いそいでね
わたしがかんぜんにしおれた
ひなぎくになるまえに
ままん いま わたし
ばらをもいでるから
ままんこれで はなふぶきするからね
たすけて このしずかなへやに
のーうぇあ・まんが
あのきょじんがやってくる
そのまえに
たすけて
わたしがねじれてしまうまえ
そのまえに
ままん ままん
はやく はやくね
ままん ままん
いそいでね
黒い館
夢の中で暗い森を走っていると
黒い館が茂みの向こうに現れた
あれは裁きの館
それとも淫蕩の館
まがまがしい気配に
息が詰まりそうになる
ほら悪魔が一匹
空を切ってやってきた
昼下がりの平和な
図書室の隅で
居眠りをする少女の
セーラーの膝の上
(良いお嬢さんならここで
本のページを閉じるべき)
の但し書きに
愚昧な男が墨を塗っておいたから
もう誰にも
誰にも止められないよ
お前の魂がただれて
腐り落ちてゆくのを