表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/133

九話

 勇者の血筋を守る名も無き村を出た私は北上していた。

 村が大陸の南端だと聞いていたからね。

 北上したら町の一つや二つ、すぐに見つかるでしょ?


 それはともかく、実は猛烈に困っているのだ。

 私ってば着の身着のままで村を出たんだよね。

 お金も無いし。

 村に戻って瓦礫を漁ろうかな?

 村長の家とか探せば、当座の生活費くらい出てきそうだよね。


 だけど皆を埋葬した所から視線を感じたら、どうしよう。


 やぁアルマ。

 戻ってきて嬉しいよ。

 おや、何をするかと思えば火事場泥棒だなんて、ボクは悲しいな。


 私の心の中のアルスは情け容赦ない。


 死者にお金は必要ないじゃん。

 私は生きなきゃいけないんだよ。

 必死に言い訳をしてたら、獲物が来てくれたよ。


 「お嬢さん、どこへ行くんだい?」


 欲望でギトギトの目をして私の胸や尻を見ている。

 あいつの想像の中では、どんな目にあわされているのやら。

 でも、知らないフリして聞いてみよう。


 「このへんで大きな町って、どこですか?」

 「あぁ、俺が連れてってやるよ。この辺は物騒なんだぜぇ」


 お前の方が、よっぽど危ないと思うんだが・・・御礼は言っておかなきゃな。


 「まぁ、御親切にありがとうございます。この辺はどうなってるんですか?」

 「なんでぇ、この近くの村の出身じゃねえのかい?」 

 「私、体が弱くて家から出してもらえなかったんです」

 「そうかい。ここは裏街道で人の通りは少ねえんだ。よほどの訳有り以外は通らねえ。南へ行けば港町のフォースティンがある。北へ行けばカレドニア王国で一番の商業都市アルコンだ」

 「そうなんですか。じゃあ、アルコンへ行ってみますね」

 「俺が送ってやるよ」


 そう言うなり俺の肩・・・じゃなくて、私の肩を抱いてきた。

 そして逆の手で俺、じゃなくて私の胸を乱暴に揉みだす。

 

 「なっ、なにをするんですか!?やめてくださいっ!」

 「言っただろ?こっちを通るのは訳有りだってよ。お前身売りされたのを逃げたんじゃねぇのか?」

 「違います!手を離して!」

 「俺が逃げるのを手伝ってやるよ、その代わりに・・・」


 なぁアルス、私は十分に可憐な少女として振舞ったよな?

 私は怒って、こいつをぶちのめしても良いんだよな?


 「いい加減に、その手を離せってんだ!このスケベ野郎!」

 「なんだと?」


 私は胸を揉んでる手の小指を掴むと遠慮なく、へし折った。


 「いてえええぇ!? てめぇ、何をしやがる!」

 「こっちのセリフだ、この野郎! 俺の胸に触っていいのはアルスだけだ!」


 私は一歩前に出ると軽く拳を握って、腕を90度の角度で固定した。そのまま腕相撲の要領で腕を倒しつつ、腰を回転させながら肩を入れてスケベ野郎のアゴを目掛けて打つ。拳が当たった瞬間に腕も振りぬいた。

 いい感じで命中したね。

 私は女の子だし、体重を使って攻撃をしないと大きい男性には勝てないものね。


 スケベ野郎の腰にあった剣を抜くと、未だに立てないスケベに剣を突きつけた。


 「おじさま、私のおっぱいを揉んだ料金をちょうだい」


 できる限り可愛く微笑んで代金を要求する。

 体でお金を稼ぐなんて、どうかと思うんだけど正当な対価を要求してるだけで、強盗をしてるわけじゃないのよ?

 私のような絶世の美少女

 アルスは黙っていれば絶世の美少女って言ってくれたよ

 が、可愛く微笑んで請求してるのに、おじさまは青ざめて震えながらサイフを出した。


 「おじさま、もう立てるでしょ?立ってくださいますか?」


 おじさまは立ってくれた。


 「おじさま、ちょっとジャンプしてみてくださるかしら? あら、音がしましたわよ?ポッケのお金も出してくださいませ。それから靴下の中に緊急時の金貨なんて入れてませんか?脱いで確認させてくださいませ」

 「てめぇ!悪魔か?もう勘弁してくれよ!」

 「あら、おじさま。私、知らない方に荒々しく胸を揉みしだかれて恐かったんですのよ?」


 スケベ野郎は有り金を全部奪われて悄然として去っていった。

 毎度あり~ってなもんかな?

 金貨1枚と銀貨10枚か。

 まぁまぁかな。

 さぁ北の商業都市アルコンへ行ってみよう!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ