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八十八話

 どれを倒すか、どれなら早く倒せるか。こいつらが連携したらマズイ。できるだけ三体が視界に納まるような位置を取る。狼が前足を突き出してくるのを咄嗟に飛んで逃げるんだけど、着地点にはカマキリが待ち構えていた。剣で相手の鎌を迎え撃つんだけど、残る三本の鎌が斬りかかってくる。すかさず剣から手を離して両手に内力を集中させて素手で受け止める。

 内力が足りなかったのか、手の平はうっすらと切れて血が滲んでいた。地面に着地したのも束の間で、まだカマキリの鎌は一本残っていて、それが襲い掛かってきた。何かを考える暇すらなくて、反射的にバックステップして後ろへ下がったんだけど、腿を切り裂かれてしまった。

 出血は大した事はない。これを切り抜けたら治療すればいい。ふと、私の頭上に影が差し掛かるので、背後を振り返るとデカブツが巨大な金棒を振りかぶったところだった。さすがに、これは避けれないので内力を集中して金棒を受け止める為に両手を頭上に上げる。


 しかし、デカブツは金棒を振りかぶったまま立っている。よく見ると首の所に誰かがいた。それはスレッジで私に気を取られたデカブツに背後から近寄って首を掻き切ったのだ。デカブツの生首が落ちてくる。そして振りかぶったままデカブツは背後へ、地響きを立てて倒れた。


 「さすがのアルマ姐さんも三体相手じゃ苦戦しますなぁ」

 「助かったわ、ありがとう! お礼にホッペにチューしてあげるよ」

 「いや、そいつぁ遠慮しときますぜ。後が恐いんでね」


 どういう意味だよ、それ。


 「まぁ、もう少し私らを頼って下さってもいいですぜ」

 「じゃあ、あと二匹を任せてもいい?」

 「いきなり丸投げですかい? 勘弁してくださいよ」

 「ジョーダンよ! じゃあ攻撃は隙があったらで構わないから、あいつらの気をひいてちょうだい」

 「ま、その程度でしたら」


 スレッジが加わったことで、敵は私だけに集中できなくなった。その効果はてきめんで、私に対する攻撃が雑になってきてる。何しろスレッジはデカブツの首を落としてるからね。迂闊なことをすれば他の二体も瞬殺されてしまうだろう。

 私はまず、狼の元へ突っ込んでいく。落とした武器を拾って突き出された前足を剣で払った。狼はすかさず巨大な口を開けて私を食い千切ろうと噛み付いてくる。私は噛みつき攻撃を避けきれない体を装って、あえて右腕のみを噛ませた。

 内力で防御を強化してあるとはいえ、狼は右腕を食い千切ろうと首を振っている。このままでは本当に腕を食い千切られてしまいそうなので、私は内力を解放することにした。サラがブタ野郎を相手にやったように、私は狼の口の中から内臓に向けて直接内力を熱として放射したのよ。

 まぁ弟子のサラが、あのくらいの事をやるなら師匠の私はもっと高度な事をやってみせないとね。というのは冗談で、本当は狼の動きが速いんで止める為に、噛ませたんだけど代償は大きかったなぁ。


 「大丈夫ですか!? 先生!!」

 「右肩の辺りが、酷く噛まれて力が入らないよ。ブランブランしてるわ」


 シードが敵の攻撃を避けて下がってきたときに、私の血まみれの姿が見えたらしくて声をかけてきたんで、素直に現状を言うことにしたの。そんなシードは不定形の敵と戦ってるみたいで苦戦していた。サラみたいに内力を熱として開放できれば、あんなスライム野郎なんかザコなんだけどね。


 「シード、あのスライムは私がやろうか?」

 「何を言ってるんですか! 後ろに下がって休んで下さいよ!」


 シードに怒られたけど得て不得手ってもんがあるんだし、スライムなら何とかなると思うんだよね。カマキリはスレッジに任せるか、シードとスレッジで倒すかしてもらってさ。そしたら危機感を覚えたからなのか、シードが内力を使ってスライム野郎を凍らせてた。一皮むけたね、あとで頭を撫でてあげようかな。

 でも、ああいう不定形な奴ってのは凍らせるのはダメージにならないんだよね。溶けたら元通り足止めくらいにしかならないんだよ。そんな風に思って見ていたらシードは凍らせたスライム野郎を粉々に砕き始めた。いや、砕いてもダメだって、溶けたら元通り……

 おや? 砕いた破片から何かを探してるね。小さい破片を見つけだして、それをドコへ持っていくのかと思えば、さきほど倒したブタ野郎の死体のとこだね。ブタ野郎は仲間が死体に穴をあけて、そこから染み出したラードにロウソクの芯をつけて燃やしてるんだけどさ。

 死体の脂に破片を漬して火をつけたね。そんな悪趣味な事をして何がしたいんだろうか。


 「シード、何をしてんのさ?」

 「あの不定形の高位魔族の核を見つけたんで、火をつけてます」


 よく見ると小さな核と思われる破片は氷が溶けて火に包まれている。それほど火力が強力なワケじゃないんだけど、何しろ核を守る部分は凍って離れた位置に転がってるし、直接火あぶりにされて煙を上げながらのたうちまわってる。シードはブタ野郎の身体からあふれ出すアブラを集めて核にかけているし。

 うわぁ……敵ながら一番報われない死に方したんじゃなかろうか。同情はしないけどね。

 

 高位魔族の残りは二体。下級魔族は半分くらいが逃げ腰になってるみたいだ。あと少し頑張ればいいんだよね。


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