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六十四話

 地上から、ド~ン、ド~ンと大きな音がする。その音に続くように振動が私達のいるところへ伝わってくる。先ほど地上を見た感じでは、殆どが廃墟のようになってしまった。何人かの兵士や民間人が地上をウロウロしているので、危険だから地下へ降りるように注意したのよ。

 そしたら、一人の兵士に飛んでくる時の音で着弾の位置が分かるから大丈夫って言われちゃった。


 「ホントに分かるの?」

 「ええ、大丈夫ですよ」


 そこへ、ヒュ~ンと大きな岩が飛んでくる音がする。


 「じゃあ、これが落ちるのはドコよ?」

 「そうですねぇ……あの協会のあたり、ですかね」


 見ていると確かに大きな放物線を描いて、大きな岩は兵士が指差したあたりに命中した。


 「言ったとおりでしょう?」

 「これは凄いわね! 私もこれは分からないよ」

 「まぁ落ち着いていれば着弾位置は分かりますから、危険はないですよ」

 「そうなの? じゃあ良いけどさ。でも、地上で何をしてんのよ?」

 「使える武器や生活必需品、食料の回収です。とくに武器などは万が一、敵が堀を越えて上陸してきたら、使われてしまうかもしれませんからね」

 「なるほどね」


 こういう技能を持った奴が、結構いるんだとしたら、どういう戦術が使えるかな?

 私達は地下にいる限り大きな岩が落ちてきても実害はない。

 敵が堀を越えて城へ侵入してきた場合、心配なのは地下へ降りる階段を見つけられてしまうことかな。

 地下への階段や通路は狭いから大勢で戦闘するには不向きだよね。敵にしてみれば大型魔族は入れないし、数で押し切る事も難しいはずだよ。

 ただ、私達のほうには兵士や騎士だけじゃなくて、一般人もいるから地下での戦闘が始まったらパニックにならないかな? 外へ出る通路もあるから、そこから一般人を逃がす手もあるけど目立つと出入り口が魔族に見つかっちゃう可能性もあるよね。そこからも魔族が侵入してきたら、挟撃されて全滅しちゃうかもしんないなぁ。

 だとしたら、こういう兵士達を目立つように行動させて、砲撃を続けさせる方が良いのかな?

 その間に、あのカタパルトを破壊したら良いかもしれないね。


 「あのアルマ様、どうなさいました?」

 「あ、ううん、なんでもないよ。ちょっと考え事をしてたんだよ」


 ヒュ~ンと、また大きな岩が飛んでくる音がしたんで、兵士に聞いてみた。


 「ね、今度はどこに落ちるのかな?」

 「そ~ですね……!? こっ、ここに直撃します!! 逃げて下さいっ!!」

 「ひええええええええっ!?」


 全力でその場を離れて3秒後に巨大な岩が落ちてきた。

 危なかったわよ、ほんとにもう。

 地上にいる連中に危険はないと判断して、私は地下へと戻ってきた。


 姫様に呼ばれて臨時の会議室に行くと、副隊長とスレッジと何故かニコがいた。そして、解放軍に残っていたはずのシードとサラの顔があった。


 「先生、僕達も手伝いに来ました」

 「解放軍に内力を教えました。あとは自分で修行するしかないですから、私達は先生のところへ来たんですよ」

 「先生、兄貴達は?」

 「あの六人には勇者の事を調査する為の旅に出てもらったのよ」

 「それじゃあ戦力的に厳しいのでは?」

 「そうよ。だからアンタ達二人を徹底的にこき使うからヨロシクね?」


 二人は口では大変だと言ってるけど、顔は大変だなんて言ってない。望むところだと言わんばかりで頼もしいったらないわね。

 そして姫様から昇進させましたとの説明つきで、副隊長が、ううん今は隊長だね。が、挨拶してくれたんだ。


 「シンと申します。隊長の意思を継いで頑張りますので、よろしくお願い致します」


 それじゃあシードにサラも来たことだし、カタパルトを破壊しましょうかね。


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